マガジンのカバー画像

芙美湖葬送―芙美子は芙美湖に還った。

27
妻の葬送記を小説化しました。死んで20年になります。私も老いました。気がついたら87歳になっていました。コロナもやって来ました。先に何が来るか分かりません。だから疎開を体験した貧…
小説の背景は、東京大空襲、疎開、田舎での苛め、家庭内差別、脱出願望、ちゃぶ台一個・リンゴ箱式箪笥と…
¥110
運営しているクリエイター

#エッセイ

小説「芙美湖葬送」読み切り版

小説「芙美湖葬送」読み切り版

心静かに死なせたかった

 昨夜も、主治医とは、二回目の器官挿管をどうするかについて話し合った。肺炎菌や、緑膿菌の他に、さまざま細菌が肺を侵しているから、もう自己呼吸が出来ない。器官挿管して、人工的に酸素を送るしかない。

 しかしそれも一週間が限度である。
 挿管と接触した部分に炎症が起きるから。一週間したら抜管して、新しいパイプと取り替えなければならない。その時にまた苦しむ。その苦しみを見てい

もっとみる
小説「死ぬ準備」原稿順序不同版①

小説「死ぬ準備」原稿順序不同版①

第Ⅰ この星でうまれた

1-なぜか地球であるたまたま生まれたのが地球なら死ぬのも地球である。地球は太陽系第三惑星で太陽系全体からすれば小さな点にすぎない。その太陽系も天の川銀河系の辺境にある。天の川銀河系は太陽系などの恒星群を伴ってアンドロメダに近づいている。

その銀河系宇宙は、何処へ向かっているのか。
誰も知らないし知る必要もない。

そんな太陽系第三惑星・地球という小さな青い星に私は生まれ

もっとみる