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スゴ母列伝

「いい母は天国に行ける ワルい母はどこへでも行ける」

というサブタイトルのこの本。
堀越英美さんの本です。

私が最初に読んだ堀越英美さんの本は「女の子は本当にピンクが好きなのか」でした。これが本当におもしろくて、次に手に取ったのが、今回タイトルにした「スゴ母列伝」です。

この本では、「すごい人の母」たちの知られざる母としてのエピソードをまとめ上げてあります。

まず最初に読んだのが「芸術は爆発だ!」の岡本太郎の母「岡本かの子」について。

驚いたのはこのエピソード。有名なエピソードで岡本太郎も自身のエッセイに綴っているそうです。

その母は一日中私に背を向けて、庭に面した机の前に座って、いつも書きものをしていた。私が暴れたり、わめいたり、まったく答えてくれないのにたまらなくなって背にとびついて行くと、うるさがって、私を柱や箪笥の鐶に兵児帯で縛りつけてしまう。私は裸で、本当に犬の子のように、四つん這いになって母の背中を悲しく眺めていた。

こんな風に「子育て」されても岡本太郎になってしまうんだな・・。

それから、太郎がパリに滞在中に母かの子が亡くなるのですが、その後の父・一平からの手紙にも泣かされました。

(・・・)「太郎には太郎の生涯がある」と、おかあさんは君を突き離し、君から離れてこんなことがいえるおかあさんではない。おかあさんの潜在意識は、業感は、寧ろ君と共に確実に在り得られることを絶対に信じ切ったが故に、こういい切れたのだ。(・・・)


また、著名人になった太郎が男子高校生との座談会で、母親のことを鬱陶しいと語る高校生たちに一喝するセリフ。

一人の女性が、そんな小生意気な口をきく男の子をそこまで育てる、その間にどんな人生のドラマを経てきたか。恐らく息子には言えない悩み、悲哀、絶望感、さまざまの深い思いを「母親」という役割の中に押しくるんで、懸命に母親としてふるまってきたのだ。

うちの息子はまだ3歳にもなっていないので、「うざい」とも言いませんが・・「そうだそうだ!!」と声を上げたくなりました。

その他にもマリー・キュリー、マリア・モンテッソーリ・山村美紗などなど・・

たくさんの偉人の普通じゃない母たちが登場します。

もはや「普通」って存在しないな、と気付かされると同時に、「自分はこのままでいいよ」と太鼓判を押してもらえること間違いなしな育児本(?)です。

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