偏愛シネマアワード2020 第1部
ようこそ『偏愛シネマアワード』へ! このアワードは、未だ何者でもないシュンチャカが、その年に観賞した映画の中からベストテン形式で映画作品を紹介する年末の独りよがり祭典です
タイトルにもある通り、受賞作は私個人の"偏愛"によって選出されます。シネフィルでもなく、現場に関わってるわけでもない。ただ推し俳優を眺め、推しクリエイターの思想を覗きたいがための動機で映画を観賞しているのかもしれないという、このグラグラな自分のスタンスを見つめ直す機会でもあり、同じ偏愛を持った人と繋がりたいという目的で今年から開催致します。
尚、この偏愛シネマアワードはRadiotalk及び各種Podcastとも連携しています。文字ではなかなか伝わりにくい表現や感想はラジオを通して聞くことが出来ますので、そちらも合わせてコメント等でお楽しみください!
作品賞 ベストテン
映画にランキングを付けるべきではないのよ! これは大前提として据置ながら、平気な顔して良作を縦に並べるこの苦しみ。
偏愛シネマアワードにおける作品賞は、独断的な総合評価として順位付けしたランキングになります。結果は以下の通り!
1, 『レ・ミゼラブル』 (2020)
カメラは武器になる
もうこの写真が全てをものがたってるんだよな、、インターネットが全てをつなぐこの監視社会になる前にも、カメラには大きな力があったし、レンズを向ける行為に責任が伴うことを再認識した。
舞台はパリ郊外のスラムと言っていいほど地域だが、この映画で描かれている"現実"は、世界各地で起きている。「カメラは武器になる」という監督の一貫したテーマが視覚として観客を圧迫してくる映画。ラストがえぐい。
2, 『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』
🍍🦉🐛
愛を語る上で社会的な性別は関係ない。
この映画と『ブックスマート』が生まれてしまった時点で基準がもうガラッと変わった気がする。👍🏼👍🏼👞🦊
背景と衣装のカラーリングのリンクがめちゃいい。
"Jumping point"
エリーと父エドウィンにとってここはあくまで通過地点。全く電車の止まらぬ駅で駅員をしていることがとても分かりやすい象徴。この話はやっぱりエリーが次の駅まで乗り継がないと終わらない。
"It’s a sin. You are going to hell".
ポールがエリーに発したこのの二言が重すぎる。
ここからポールや地域の宗教観がしっかり見せられてる気がする。
前半でなりすまし文通からのデートへと準備ではあからさまだったエリーによるポールの成長はここから自ら成長していく。ように見える。
"Turning point"
教会での一件のあと、エリーとアスターの再会のシーン。アスターが出てきた家の柵にデカデカと掲げられた看板にTurning pointの文字。このエリーとアスターの道路で話しながらの物理的な距離感よ。道路の一線を隔てるふたりね。
3, 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
それ、カーディー・B?
ダブル主演のビーニー・フェルドスタインとケイトリン・デヴァーは見事にヲタクを演じ切り、物語をテンポよく転がしてゆく。どんなストーリーにも悪役は存在するが、ここには誰ひとりとしてそうではない。モリーが密かに思いを寄せていたジョックスの青年は実は優しくヲタクな一面があったり、クラスに1人はいるお金持ちの彼は全然傲慢じゃない。少し嫌味なカースト上位の女子生徒には帰りに車で送ってもらったりと、本作はキャラクターのステレオタイプをぶち壊してゆく。その人のパーソナリティと知性を切り離し、そこに存在する多様性にわざわざ言及しないのは、もう当たり前になってきてるんよな、、
4, 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
劇場公開してくれてありがとう!DCとワーナー!!
ムチャクチャな性格でバラバラな女性達たちによって組まれた最凶チーム。その目的は、ただブラックマスクを倒すためだけ。無駄にベタベタと仲良くしたりじゃれ合うことはない。「キライなあの女とも、これ対しては意見が同じだから、横に並んで一緒に戦う」シスターフッドのストーリーテリングのパワーはここにあり、まさにこの作品はそれを体現している。
5, 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
I’m so sick of it. But I’m so lonely.
フローレンス・ピューめっちゃキテますね。。ロックダウンの時にはインスタのストーリーで歌い散らかしながらオーガニックな料理をひたすら作る姿を披露してくれました。
米国での公開時に衣装が現代的すぎるといったような批評もあったらしいですが、自分は全然やっちゃえって感じですね。映画はナマモノなので、その時代だからこそできる出力や表現方法が時代を超えて残るんだったらコスチュームデザイナーの個性を焼き付けちゃった方が絶対面白い。
6, 『羅小黒戦記』
ししょーーーーーーー😭
クセなさすぎ!!素晴らしい👏👏
あと音響がすごい。
日本のカルチャーがミームとしてめっちゃ綺麗に消化されててすき。クセを感じないのは日本的表現や米国のカートゥーンなんかも織り交ぜにしてフラットな状態で見せてくれてるからなのかとも思った。急にコミカルなシーンやリズムになる演出の段差を全く感じないし、これを20〜30代で作り上げたっていうのはそれだけでこれからが楽しみですね。
テーマとか芯のメッセージはアメリカが散々使い回したものだけど、これを中国製作で語るとなると意味合いちょっと違うよね。罪滅ぼしは続く。というか始まった?
賛辞しかない。
7, 『スキャンダル』
結局戦い続けるしかない
2月21日公開なのでコロナにギリぶち当たってしまっているのが本当にもったいないが、劇場で観れてよかった作品。108分間、ただただぶちのめされます。
シャーリーズ・セロンがわざわざ右翼側の監督にオファーをしてこの映画を完成させたことにすごく意味があると思うし、事件後から公開までのこのスピード感よ。こういう映画に携わりたい、、、
8, 『82年生まれ、キム・ジヨン』
観客参加型シスターフッド映画
韓国の作家チョ・ナムジュの同タイトルの小説を原作としているが、そこにあるのはフィクションなんかではなく、現実だ。だからこそジヨンの閉塞感に満ちた日常は多くの人の共感を掴む。そしてそのジヨンの怒りを、私たちは現実社会にぶつけ、変革を起こさなければならない。それによってこの映画は、キム・ジヨンと、画面のこちら側の観客によって成り立つシスターフッド映画なのではないか。必要なのは、共感ではなく行動だ。そんなふうに監督に言われているような感覚を覚える作品。
原作の感想をPodcastで配信中ですのでこちらも合わせてぜひ!
9, 『ジョジョ・ラビット』
外に出られる喜び
スカヨハのあのシューズの演出ほんましんどいな。うまいのよな。
今年は"うちで踊る"ことを余儀なくされた年だったけど、この映画のラストみたいに外に出て、誰かと心踊らせたりできる時を今は待つしかないのかもしれない。この制約の中でどう表現するかを面白がりながら模索していこ。
10, 『シカゴ7裁判』
大統領選のタイミングに配信されてた気がする。今年はなぜか裁判映画をよく観るなと思ったら、配信との相性なのかなと思った。こういった長尺でノンフィクションでかしこまった風格のある映画ってなかなか劇場で観る人少なく集客厳しいだろうし、やるとしても配信プラス劇場公開っていう形がベストなのかな。Netflixとロックダウンによってかなり映画公開のシステムや文化に変革が起きた年に生きていて、尚且つその状況下でも劇場で映画を享受出来た記憶は残しておきたい。
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