セーフィー 7年2ヶ月の軌跡。ARR約90億/売上100億円に迫る -パートナーセールスの戦略と実行-

こんにちは。セーフィー株式会社で執行役員 営業本部副本部長 兼 VPoS(セールス)をしている鈴木竜太と申します。先日、twitterで投稿した内容が多くの反応をいただいたので、改めてnoteにまとめました。

鈴木 竜太(すずき りゅうた): セーフィー株式会社 執行役員 営業本部副本部長 兼 VPoS。2016年にセーフィーへ営業部長として入社後、2018年10月にパートナー営業本部長、2020年12月に執行役員に就任、2023年にはセールスイネーブルメントオフィスの立ち上げをリードし現在に至る

私がセーフィーで経験してきた7年2ヶ月間の学びを、これから似た道を歩む可能性があるベンチャー企業の経営者の方や営業責任者の方、パートナーセールスを立ち上げようとしている方、営業組織の強化に取り組んでいる方の参考になればと思い共有いたします。
私も日々試行錯誤しながらチャレンジを続けていますので、このnoteを通して新たな仲間との出会いがあれば幸いです。

※注)セーフィー(4375)は上場企業となる為、詳細な数字や将来の予測等についは一切触れておりません。詳細の数字や進捗等は公式のIR資料を参照ください。


パートナーセールスの戦略と実行


パートナーセールスがここ数年のベンチャー企業やSaasを提供する企業の営業戦略の1つとして注目を集めていることもあり、2021年上場後2年間で約20社程へ勉強会等を実施させていただきました。これらの勉強会で受けた質問や内容も参考にしてまとめています。
パートナーととも市場を創造し、開拓し、変革を起こすことで日本経済の発展、更には企業活動・地域活動に関わる多くの方に豊かさが広がることを願っています。

1.パートナーセールスの戦略は経営戦略の一部として考え、事業戦略と同レベルで策定する

  • パートナーとの契約は、企業同士の重要なパートナーシップとなるため、経営メンバーが直接パートナー戦略に関与しコミットすることが重要です。将来にわたって双方のビジネスが成長し発展することが本質的な目的であり、双方の経営ビジョンの実現のために不可欠な仲間(=パートナー)になる可能性が非常に高いからです。営業のチャネルとして捉えたり自社サービスを相性よく販売してくれるパートナーと考えるのは一旦止め、経営目線でパートナーシップを構築することが重要です。

  • パートナーに対して事業戦略や成長可能性を説明することは、投資家に説明するのと同じくらい重要です。経営者がその役割を果たせる場合は理想的ですが、時間の制約などで難しい場合もあります。そのような場合は、パートナーセールスの責任者がそのレベルの説明ができるようになる必要があるでしょう。

  • お互いの事業が成長するためには、人、モノ、金、情報を胸襟開いて提供し合い、中長期の戦略を共に描くことが重要です。企業であれば必ず事業戦略を策定すると思いますが、パートナーとの取り組みも同様です。事業戦略のフレームワークは多々あるのでここでは割愛しますが、経営戦略との整合性を保ちながら、パートナーと共に事業戦略を策定することを強くお勧めします。

  • 業界の四隅パートナー※はどこになるのかを長期的な視点を持って考えることが必要です。短期目線で四隅を考えてしまうと、足元の売上げ貢献が見込める企業に焦点を絞りがちになり、四隅を見誤る可能性があります。四隅パートナーとは、エンドユーザーから見た際に絶大な信頼を得ていて、且つ業界企業から見ても絶対に外せない商流を保持している企業です。さらに、四隅パートナーを徹底的に理解・分析し、パートナーに眠る資産を自社の事業と関連させることで価値を高めることができたらベストです。

※セーフィーの四隅パートナー戦略については以下の記事などが詳しいです。ご参考まで。

2.パートナーセールスの実行は事業戦略に沿って取り組み、直販営業も重要視する

  • パートナーセールスで実績が出るには時間がかかります。概ね1.5年〜3年で実績が出始め、3年目以降に大きくスケールするのが理想でしょう。ただし、事業戦略のないパートナーセールスは、数字の積み上げに終始し一次関数的な成長に留まり大きくスケールすることは難しいでしょう。

  •  チームメンバーは、事業戦略のマイルストーンを理解し、それに向けて日々の活動が一貫した線になっていることを常に意識する必要があります。顧客ターゲット、勉強会や営業資料、メルマガ1つとっても、そのアクションが事業マイルストーンに向かうための実行になっているか、常にマネージャーとメンバーで考え、単なる営業支援に留まっていないかを振り返ることが重要です。

  • パートナーセールスを立ち上げる以前に直販営業が重要です。まず、サービスが一定のPMF(Product Market Fit)をしている必要があります。PMFしていないサービスをパートナーが販売するのはほぼ不可能です。PMFの考え方はさまざまですが、パートナーに展開できる状態として以下の5つが必要だと考えています。①ターゲット市場の顧客インサイトを理解していること。②サービスのROIを定量的に説明できること。③具体的な事例をストーリーとして話せること。④サービスのデリバリーフローが構築されていること。⑤サポート体制がありFAQなどが準備されていること。これらの条件が最低限揃っている必要があります。これは直販における営業ファネルの基本です。パートナーセールスを始める前に、これらの5つの条件がクリアされているか確認しましょう。

  • パートナーセールスのメンバーも直販営業をすることが重要です。サービスの理解はもちろんのこと、バックオフィス全般の動きも理解することで、パートナーの中で構築すべき体制が明確になります。パートナーを大きく巻き込む場合には、営業の支援だけでなくバックオフィス全般の効率を考慮する必要があります。例えば、顧客との契約書やサービスの納品方法が複雑な場合など、ボトルネックになる要素は事前に自らの経験を踏まえて可能な限り解決しておきましょう。

  • パートナーセールスチームを立上げ後も直販営業と定期的な情報共有を行うことが重要です。パートナーだけの事例ではセールスパターンが単純化してしまう可能性があります。直販で成功している一連の取り組みをパートナーメンバーが常にキャッチアップし、そのナレッジをパートナーへ展開し続けることは非常に効果があります。これは営業活動に限らず、マーケティング、社内Ops、サポートについても同様です。

  • サービスのプライシングも常に意識する必要があります。原価から算出するプロダクトアウトの価格、顧客ニーズから算出するマーケットインの価格、競合他社の価格、更にここにパートナー視点での価格を考慮することが重要です。サービス品質が良いことまたは同等であることを前提に、競合よりも高い価格でも市場と商流によっては市場を大きく獲得することは十分に可能です。


HOW TO や セーフィーでの具体取組みは外部インタビューなども参考に頂ければ幸いです。

以上、パートナーセールスの戦略と実行について、私がセーフィーで学び実行してきた事をポイントを絞って共有させていただきました。

次回は、『関連売上約100億を生んだ1プロダクトのプロジェクトオーナーとしての商品企画からリリースまで』についてまとめたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。




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