TCAA2022-2024 受賞記念展 サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」@"サエドッグのシフトがやばい"都現美
西洋美術館で開館以来初となる存命作家の展示(ここは未来の~)が、東京都美術館ではキリコ展が、そして都現美ではホー・ツーニェン展が始まってたりするが、せっかくなので俺は無料のこっちに行くぜ!
(といいつつキリコ展も初日に行って感銘を受けていた模様・・・)
尚、文中敬称略
ホーツーニェンは1500円だがこっちはタダ!!
サエボーグがめちゃくちゃ頑張っているので見に行く価値はあると思われ
TCAAとはなんぞやとかいろいろあるが、そんな細けえ(日本美術界の内輪の)話はどうでもいいんだよ!
津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」
こんな作家で、金美大(この略し方を県外でするのかはしらん)の先生である
今回の作品はハーフミラー(で、あってると思う)を使ったものと、ビデオインスタレーション的なものだった
ハーフミラーってのは、普通の鏡が90パー以上の光を反射するのに対し、半分くらいしか反射しないから向こうが透けてみえるやつだ
(飛行機とかのHUDに使われてるアレ
▼生活の条件
ハーフミラーに人の行動が投影されてる部屋
ソファーとかあって、写ってる人と同じような行動がとれる&周りがすごく暗いため、写ってる人と自分の体が入れ替わったというか、同期しているように感じられることがある
ラマチャンドランの「脳の中の幽霊」に鏡をつかって幻肢痛を治療する話が出てくるが、こんな感じに脳みそはわりと簡単に見えてるものを自分と思いがちらしいというのを実感できる作品になってる
で、ステートメント的には
「カメラさん、こんにちは」っていうのはこの後でてくる作品のことである
正直作者のいってることがよくわかんねえんだけど、とにかく身体性なんですよっていう浅い理解でいる
結果的にだがこれはすげえよかったと思う
▼振り返る
通路の先に実はカメラがあって・・・という作品
遅れて再生されるため、自分がいま見てる通路と、画面に映る通路が食い違う
まあ、言っちまえばそれだけである
解説もそれかい!!!
これについては通行人によってリアクションが異なるとこがおもろかったっすね
それだけでなんとなくリレーショナルっぽい作品になる
▼カメラさん、こんにちは
よりによって写真をとってないが、中央には食卓をもしたインスタレーションがあり、そこに座ると投影されてるビデオ(写真のやつ)の中に座った人もダブルイメージ的に登場できる
なのでここでもハーフミラーと同じく、現在と過去(記録)の重ね合わせを実現できる
自分は家族っていう存在に対する気持ち悪さみたいなものがある人間なので、それを客観的に見る形になるこの作品はけっこう好きだった
サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」
というわけで次の展示にいく
サエボーグについては以下を参照
上記で言及されてる作品の動画もある
とはいえ本人のこれ以上ないくらい簡潔な𝕏の自己紹介あるのでそれで十分な気がする
というわけでみた結果は以下
この圧倒的なインスタレーション空間!!!
まじですごい これが無料!!タダ!!(←重要)
昨年イギリスでいろいろみてきたがぜんぜん負けてないのでさすがだと思いました
なんか妙に薄暗いが、それはサエドッグがまだ起きてない状態だから暗いのだった
で、この農家の納屋風のゲートをくぐると主役登場である
お客は数人いたが、積極的に触れ合おうとする人もいて、そうするとサエドッグもそれに対して反応していた
こうなると完全にリレーショナルアートっぽさが出てくる
という感じである
サエドッグのシフトがやばい
ちゅうわけでこの展示はサエドッグの中の人次第なわけだが
え? あの人、毎回1~2時間もあれやってんの???
しかも金土は1日4ステージ・・・
GWのシフトはこんな感じらしいので行く人はタイミングはかってもらうといいと思う
まあ、だいたいサエドッグいるけどな!
ぜんたいてきかんそう
津田作品は、暗い所でハーフミラーをつかった作品はみる人の体の感覚が分離されそうな体験を与えてくれるという点でよかったし成功してると思った
作者の思惑どおりなのかはともかく、なんか変な体験なのは間違いない
一方で、体験が純粋にすごいっていういうより、トリックアートを見たときの感覚に近く、それでいいのか?ちゅう感じがしたのも事実である
出展作家がほぼほぼもの派になった「トリックス・アンド・ビジョンズ展」じゃないけど、見た目の面白さ、思想的な意図、美的な何か、とのバランスはむずくて正直よくわかんないが、津田作品について主観的な評価でいえば、「なんかわかんないけどすげえ!」(←美的達成)よりも、「面白い、不思議」(←手品的うれしさ)の方が明らかに勝っていた
そういう意味ではサエボーグ作品の方が自分には刺さった
まず、単純にスケールがデカイ
これはテーマがそもそも「なんで愛玩動物みたいな中途半端なもんが存在できるのか」とか、そういうデカさがあるので妥当だとも思う
で、そのデカイところが背景にあって、人間の感情とかそういうミクロな層で観客は鑑賞する形になるのもいい
実際に観客はやたらでかいインスタレーションの中で、それに比べれば小さいリアルなサエドッグと対面するが、進化とかの歴史のうえで自分たちがいる、ということをくそでか背景が象徴してくれてる
また、サエドッグとの距離感も絶妙で、これが観客ごとの対応の差異を生んでて、これが作家が気になってることなんじゃないかとも思った
(やたら関係しようとする人とぜんぜんしない人がいる
ただ1点だけ文句をいうと、作品説明の進化論の理解は間違ってる
「進化論的過程における 「競争原理」に従うならば生き残る」のは進化論(ダーウィニズム)じゃない
進化論が言ってるのは「自然選択」であって、そこにはなんの「競争」も「適者生存」もない
わけわからん形をした「ふるい」が突然飛んでくるのが自然選択なので、それにまえもって適応したり、競争したりすることはできない。
・・・ということは言っておきたい!!!
ともあれ、無料展示でGWもがんばるサエドッグのためにもみんな都現代美術館にいってほしい
1500円浮くと何がいいのか?
津田とサエボーグをみて腹いっぱいになれば企画展をみないで済むので1500円浮くことになる
その1500円で都現美2F「二階のサンドイッチ」でメシを食える!
ここは美術館併設の飯屋、カフェの中では例外的にコストパフォーマンスがよく、なに喰ってもだいたいうまい
もちろん美術館併設のアレなので安いわけじゃないが他よりだいぶマシ
外で食えば映えるし、ぜひ行ってほしい!!
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