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大切な本㉓「辛口サイショーの人生案内」

誰かに相談したいとき

新聞紙上や雑誌での「人生相談」「お悩み相談」のコーナーが好きだ。市井のいろんな立場や境遇の人たちからの相談は、ひとつひとつが人生の機微に満ちている。主婦に学生、単身女性や退職後の高齢男性…悩みごとからその人の人生観や価値観があからさまにもなるし、時代背景や社会情勢も透けて見えたりもして興味深い。海外での「お悩み相談」はどんなものがあるんだろう?

最相葉月さんの書かれる「絶対音感」「セラピスト」などのノンフィクションの数々、とりあげるテーマも多様でどれも大好きなのだけど、読売新聞紙上の連載「人生案内」は神すぎる回答でもう芸の域。 相談者への愛が満ち満ちているし、その美しい日本語は読みながら恍惚感に浸ってしまうくらいだ。

鴻上尚史さんの回答も毎回とても丁寧で、相談者に寄り添う気持ちだけでなく最大限考え抜いたお返事をされているのだろうなということがひしひしと伝わってくる。お二人に共通するのは上から目線の「指南」でなく常に対等な目線で語りかけるように答えられていること。上野千鶴子さんは彼女らしい明晰さでビシッと「~なさい」なんて回答することもあり、それもまたカッコよく頼り甲斐ありあり。

人柄に共感力、膨大な知識、推察力に文章能力…あらゆる人間力が試されるお悩み相談の回答者の顔ぶれ。人生の大先輩が担うものだと思っていたけれど、これからきっと自分と同世代や若い方も名を連ねていくのだろうな。

悩むことはただネガティブなことじゃなくて、解決するだけが答えでもなくて、その過程で自身を顧みたり誰かのことを思いやったり。自分もどこかの誰かも、孤立せず相談しあえる関係をもっていたい。


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