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TVHRのサニーちゃんのこと

みなさんは、TVHRという猫の避妊去勢手術の術式をご存じですか?私は知りませんでした。

通常の避妊手術は、卵巣摘出 or 卵巣&子宮を全摘出しますが、TVHRという術式では卵巣を残すため生殖能力は失われるものの、生殖ホルモンの分泌が促されるため、発情行動が出ます。雄猫の場合は睾丸の摘出ではなくパイプカットのみ施され、同じく生殖能力は無いものの発情行動は残ります。

なぜTVHRなのか?不妊化により猫の数をおさえるのと同時に、手術済みの猫が発情行動や縄張り争いを通じ、負傷したり感染症に罹患することで、成猫の数を減らすことを意図した術式だと聞きました。

そんな術式を施されたのは、昨年7月に奄美大島から我が家にやってきたサニーちゃん♀です。

我が家に来る直前

サニーちゃんは、「ノネコ管理計画」の下、奄美大島で「ノネコ」(野生猫)として捕獲され、とても晴れた夏の日に我が家にやってきました。英語で晴れた日はサニー、そして奄美大島の佐仁(さに)海岸にちなんで、名付けました。

「ノネコ管理計画」では希少動物を捕食する外来種として「ノネコ」を捕獲し、捕獲した「ノネコ」に適正な飼育環境(室内飼育)を提供できるよう譲渡を目的にしています。ただし、引き取り手がいないと一週間で殺処分されます(譲渡目的なのに命に期限が付けられている矛盾)。今のところ、あまみのねこひっこし応援団!メンバーが捕獲された「ノネコ」を必死に引き取っており、殺処分ゼロです。

「ノネコ管理計画」に書かれているとおり、捕獲したネコに適切な飼育環境を提供するものであれば、TVHR術式で避妊去勢手術する必要ないのでは?なぜなら、TVHR術式は、野良猫を野良猫のままにして数を減らす目的の手術です。そして、TVHR術式を施されたネコは発情行動が出るため、室内飼育には向きません。「ノネコ管理計画」に反するように思います。 

なぜそのようなことが起きるのでしょうか。「ノネコ管理計画」は環境省が主導し、外にいるネコの去勢避妊手術は市町村が実施しているからです。別々のものです。市町村は増える野良猫に困り、去勢避妊手術を施し、リリースし、餌やりを禁止しています(地域猫活動ではないです)。市町村が去勢避妊手術を施したネコをリリースし、それを「ノネコ管理計画」で環境省が捕獲。おかしな話です。「ノネコ管理計画」には疑問がたくさんありますが、それはまた別の機会に。


さて、話はサニーちゃんに戻ります。サニーちゃんは小柄なクリクリお目目の中毛サビ猫。我が家にやってきた当初はガリガリでノミがひどく、毛並もまばらでした。しかし、最初から人馴れしていましたし、ちゅーる大好きでしたのでお外で可愛がられていたのでしょう。お腹空いていたのか小柄な大食いで、毎朝5時にご飯をおねだりしに私を揺り起こす子でした。好物はお魚です。

獣医さんから「この子はかわいくなりますよ」とお墨付きいただき、栄養価の高いご飯を一生懸命あげていたら、体つきもしっかりしてきて、しばらく経つと毛が生え変わり、とっても愛らしい長毛のサビ猫ちゃんに変身しました。

我が家に来て約2週間。毛はまだまだら
約3か月後のサニーちゃん。
毛並みビューティフル
左がサニーちゃん。
大食いエプと争って朝ごはん

そして、その後里親募集サイトでサニーちゃんを見つけてくださった里親様が譲渡会に来てくださり、我が家にやってきてから約4カ月でトライアル開始となりました!成猫の家族探しは難航すると言われる中、わずか数カ月のことでした。

しかし、正式譲渡までは時間かかりました。もともと我が家にいるときから粗相がひどく、ベッドカバーや防水シーツ、布団などを洗うのが日課でした。我が家が多頭でストレスだと思っていた粗相は里親さんのところにお届けしても治らず、さらにお届けしてから始まったサカリのような大きな鳴き声の影響がありました。

サニーちゃんはさくら耳ではありますが、奄美大島の書類に「卵巣が残っている可能性あり」と記載され、TVHRの可能性がありました。

獣医さんに開腹していただいた結果、2つの卵巣と全て切除されているはずだった子宮の一部も残っており、その3ヶ所にはいずれも嚢胞ができていました。そのまま放置していたら病巣になっていたとのことです。

2回も開腹され、慣れないエリザベスカーラーや術後服を着用されたサニーちゃんは、術後ぴたっと粗相と激しい鳴き声がおさまりました。
そして、その後すぐに正式譲渡の申し出をいただきました。

2回目の術後(里親様のおうちにて)


とにかく人懐こくて、人間の食べ物も大好きな食いしん坊サニーちゃん。人間の都合で2回も捕獲され、TVHRという術式のせいで2回も手術されることになりました。

どうかこれからは里親様の元で幸せでありますように❤️里親様から写真付きのお便りをいただくたびに幸せそうで、本当に嬉しく思います。里親様、サニーちゃんを大切にしてくださりありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

おしっこには苦労しましたが、サニーちゃんは本当にかわいかったです。あんなにサビ猫が愛らしいとは。サビ猫の魅力を教えてくれたサニーちゃん。大好きだよ。
いつまでも幸せにね


サニーちゃんの幸せな様子は、来月開催のパネル展でご覧いただけます。

パネル展
「奄美からきたノネコたち Vol.5」
開催のお知らせ!

"ノネコ"と呼ばれ、⽣まれ育った奄美⼤島で住む場 所を失った猫たちのパネル展です。
奄美から引っ越し、ずっとのお家をみつけた 元ノネコたち67匹(64組)が、家族と幸せに暮らす今の様⼦を写真と⽂で紹介します。

【日時】
11月17(金)~19日(日) 13時~18時
【会場】
カフカの猫/東京都渋谷区神宮前3-6-19
【EVENT】
●春風亭百栄さん落語会/18日 18時~19時半頃
(木戸銭1,000円・要予約)
●チャリティねこネイル/18日 13時30分~17時30分
(1本500円)
●ひっこし応援団団長ノネコトーク/19日14時~15時頃
●猫グッズ販売
●喫茶コーナー
●その他

里親様のおうちで気持ちよさそう
里親様になでなでされてリラックス

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