糞ちぎり日記

私の糞人生をちぎって、一口サイズの糞をつくりましたので、ご賞味ください。
今回は7ちぎりです。

冷ややかな読後感をプレゼントしましょう。


①進歩

二十一歳。
ゴミ袋を結べるようになった。
他人と同じように結べたことに大喜びした。
その日、藤井聡太が八冠を達成した。
私は背面が白紙の歩。

②面白い話

お客さんがレジ打ちのときに変なことを口走った。不意をつく言葉で、面白かった。
誰かに話したかったが、相手がいなくて、そのうち忘れてしまった。

③車

父が私をとばして、弟に車を譲った。
成人を迎えている私をとばして、未成年の弟に譲った。
いないものとされている。

④インスタグラム

同級生の男女がUSJで撮った、たのしげな写真がストーリーにあがっていた。
夜勤バイト中、ハエが飛び回る暗い便所でそのストーリーをみた。
こっちのほうがホラーナイト。

⑤唯一の友人

唯一の友人がスワイプしているスマホの画面がみえた。
インスタグラマーにアンチコメントを打っていた。
アンチが唯一の友人。

⑥カップル

名古屋駅周辺で美男美女のカップルと何組も何組もすれちがい、羨ましくて、「なんで俺は俺に生まれてきてしまったんだ」と落ち込んで歩いていると、べちゃりと、靴の裏に水の感触。
ゲロだった。
モテないで、なげいて、ゲロまで踏んだ。

⑦バイト

同級生たちと焼肉に行った。
気の遣えないやつらなので、私が肉を焼く係。
このさきの人生の展望を語り合う流れになったときに、
「おまえはこれからもコンビニバイトつづけるの?笑」と半笑いで言われる。
「コンビニに骨をうずめるよ」と返してその場は盛り上がったが、私は自分のお気に入りの職場のことをどうしようもない職場としてオチに使ってしまった。それは、コンビニで働く同僚たち、あの優しい人たちの人生にバツをつけたようなものだ。
その後、私は同級生の為に肉を焼きつづけた。自分の取った肉は冷めてしまっていた。



以上。
明るい気分になっていただければ、幸いです。

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