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2020年に詠んだ句と歌

・川柳編

ひとつひとつ自由を積み上げて孤独
ロックに生き浪花節で死ぬのが漢
最後には帰るからこそ旅なのだ
左前脚失った犬がゆく
隠してた菓子食べたやつ呪われよ

・俳句編

炎天や赤色巨星空半分
ハッブルに壮大な心霊写真
あたし海賊やからね天狼星
湯治宿菊人形の首がない
まだ許し方が足りない吊るし柿

・俳句ポスト 2020年人選集

雪女月の切り取る影絵かな
上京を見送る風や姫女苑
梅雨寒や朽ち果てるまで部屋にゐる
目を閉じて地球最後の蝉を聴く
藤袴校庭駆けぬけるらいてう
ライターを庇う背中や野分吹く
増えてゆく三面鏡の中の月
上弦の月インドラの矢を放て
熱燗や臓腑の腐れたる匂ひ

・短歌編

雛飾り片付けながら父が言う来週家に連れて来なさい
知ってるかコロナ以前の恋人はマスクマンではなかったことを
ご先祖に有名人がいなくても僕はなんとか生きてきました
アフリカに餓死する子どもたちがいて賞味期限の切れた弁当
真夜中にわたしの影が伸びてゆき月に触って少し震えた

宮坂変哲



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