ラブカは静かに弓を持つを読み終えて

「ラブカは静かに弓を持つ」を読み終えました。
久しぶりにとても素晴らしい小説を読みました。
本屋大賞ノミネートということはもちろん、表紙の美しさと魅力的なタイトルに惹かれて購入しました。
スパイ×音楽小説という題材、音楽教室と日本音楽著作権連盟を舞台にしている珍しさにワクワクしながらページを捲りました。
私は、音楽を題材にした作品が媒体問わず好きなのですが今まで触れたどの作品よりも苦しくて、切なくて、愛しくて、温かいお話でした。

2章はもう涙なしでは見られず…かすみさんとコンサートで出くわした時の会話でボロ泣きでした。
かすみさんがほんとに素敵な子で…かすみさんだけでなく、ミカサで出来た仲間たちがどのキャラも魅力的でした。

もちろん主人公の橘君もとても素敵でした。
浅葉先生との関係性も良いな、と思いました。
橘君個人の心情変化、2人の関係性の構築、そういうのがとてもとても丁寧に描かれていたからこそ1章ラスト辺りからの展開が辛かったです。
このままバッドエンドで終わってしまうのかなって不安でしたが、アンサンブルコンサートからエピローグの流れで、ほっとしました。
100%のハッピーエンドではないけれど、橘君の未来はこれから先もいい方向へ少しずつ進んでいくんだろうな、と感じられるラストでじんとしました。

作中出てくる音楽の数々が聴きたいのでいつか、映像化して欲しいですね。

とても良き作品に出会えて、また一つ好きな本が増えました。
電子書籍が流行っている時代ですが、私はやっぱり紙の本が好きです。
次何が起こるんだろう、ページを捲るのが怖い…そんな想いになるのは紙の本だからこそだと思っています。
スマホでは得られないかな、と個人的には思います。
紙の本の手触りとかも好きなんですよね。
表紙はデータでも見れるかもしれませんが、やっぱり生が良いです。
特にラブカみたいにこっている表紙は。

私も創作をしていますが、この作品を読んで特に感じたのは主人公の心情変化を丁寧にしっかりと描いているととても好感が持てて主人公が苦しいと一緒に苦しくなるし、ひやひやする場面ではドキドキするし、楽しそうな場面では、よかったねって思えるなと当たり前のことかもですが、改めて感じました。

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