時刻表に乗る番外編 路線あれこれ #13 函館本線②
江差線・松前線・海峡線
函館近郊の鉱物資源を運んだ路線たち
江差線は大正2年(1913年)に上磯からの石灰石を輸送するために開業しました。その後昭和11年(1936年)までに江差まで延伸され、江差線は全通しました。
昭和63年(1988年)に青函トンネルが開通すると、一躍脚光を集め、五稜郭-木古内は「津軽海峡線」の一部となり、交流電化され、活況を呈するようになった一方で、木古内ー江差は旅客の減少が著しく、北海道新幹線開業の2年前の平成26年(2014年)にひっそりとその歴史に幕を下ろしました。
松前線は、松前付近で産出されたマンガンを輸送するために、戦前の昭和12年(1937年)に建設がスタートしました。しかし、戦後の産業構造の変化や、並行道路の整備などで輸送量が減り、国鉄再建法における第二次特定地方交通線(輸送密度2000人/日未満)(1398人/日)に指定され、昭和63年(1988年)青函トンネルの開業一か月前に廃止となってしまいました。
海峡線は、本州と北海道を結ぶ青函航路に変わる新たなルートいわゆる、青函トンネルとして、昭和29年(1954年)、台風による青函連絡船洞爺丸沈没という世界的にも大きな海難事故を契機に建設が促進されました。
青函トンネルは、津軽海峡を横断し本州と北海道を結ぶ延長53.85kmの長大海底鉄道トンネルです。
海底部の掘削では4度の大出水事故による水没の危機を初めとした難工事の連続でしたが、様々な技術開発や工事関係者の努力と奮闘の末、昭和58年(1983年)に先進導坑、昭和60年(1985年)には本坑が貫通し、昭和63年(1988年)に海峡線として開業しました。
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ほぼ同時期に開業した、本四連絡橋いわゆる瀬戸大橋の開通により、日本列島の4島は一本の鉄路で結ばれたことになります。
海峡線の開業と共に、上野から北海道へ直通する「寝台特急北斗星」などが走りはじめ、北海道の豊富な農作物が多くの貨物列車によって、北海道から本州へ直接運ばれるようになりました。
海峡線の開業は人と物流の流れを大きく変え、平成28年(2016年)には北海道新幹線が新函館北斗まで開業したことにより、東北新幹線と北海道新幹線が直接つながり、新幹線で東京から乗り換えなしで北海道まで行くことができるようになりました。
江差線・松前線・海峡線を走った優等列車たち
急行 えさし 函館ー江差 昭和55年(1980年)廃止
急行 松前 函館ー松前 昭和55年(1980年)廃止
急行 はまなす 青森ー東室蘭ー札幌 平成28年(2016年)廃止
特急 白鳥 八戸ー函館 平成28年(2016年)廃止
特急 スーパー白鳥 八戸ー函館 平成28年(2016年)廃止
寝台特急 日本海 大阪ー青森ー函館 平成18年(2006年)青森ー函館廃止
寝台特急 北斗星 上野ー東室蘭ー札幌 平成27年(2015年)廃止
寝台特急 カシオペア
上野ー東室蘭ー札幌 平成28年(2016年)廃止
寝台特急 トワイライトエクスプレス
大阪ー東室蘭ー札幌 平成27年(2015年)廃止
次回へつづく
〔参考文献〕
・JR時刻表2024 7月号 (株)交通新聞社
・全国鉄道地図帳 昭文社
・駅名来歴辞典 国鉄・JR・第三セクター編 石野哲著 JTBパブリッシング
・日本鉄道旅行歴史地図帳 北海道 [監修]今尾恵介・原武史 日本鉄道旅行地図帳編集部[編] 新潮社
・鉄道ジャーナル 2021年4月号