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ダイヤグラムと時刻表のはなし

ダイヤグラムと時刻表

≪ダイヤグラム≫
 横軸を時間軸、縦軸を移動方向(下り列車は上から下へ移動、上り列車は逆)としたグラフ形状のもので、その路線を走るすべての列車が一目でわかるようにしたものです。

凡例
 ●下り列車は左上から右下へ右肩下がりのライン
 ●上り列車は左下から右上へ右肩上がりのライン
 ●下り列車と上り列車のラインの交点がすれ違いをする場所と時間を示す 

 ただし、単線の路線の場合はこの交点が必ず駅や信号所などのすれ違い可能な施設で交わらなければ、正面衝突してしまうことになります。
 また、同じ下り列車でも、速度の遅い列車(普通列車)(グラフの角度が緩い)と速度の速い列車(特急や快速列車)(グラフの角度が急)が同一線路を走っている場合、グラフが途中で交わってしまう(前を走る遅い列車に後ろから早い列車が追い付いてしまう)ことがあります。これも、早い列車が遅い列車を追い越しできる設備を備えた駅や信号所などでグラフが交わるようになっていないと、追突してしまうことになります。

 どこで列車がすれ違ったり、どこで追い越しが行われたりなど、限られた線路を無駄なく効率的に使用するために各鉄道会社が検討するためのツールがダイヤグラムなのです。

 ダイヤグラムは市販されていないので、時刻表に記載されていない情報(大きい駅以外での列車の到着時刻)は例外を除いて同一時刻に到着発車するものとみなします。

[使用写真]フリー素材 https://photock.jp/

≪時刻表≫
 時刻表は、ダイヤグラムから必要な情報を抜粋して、鉄道利用者が必要な列車を検索するために使用するツールです。
 利用する駅で何時何分に乗車する列車が発車するのかが一目でわかるため、利用する側としてはダイヤグラムよりも見やすく、使いやすいものとなっています。

 ダイヤグラムは鉄道事業者が列車の運用管理の基礎となる部分を検討するために作成するものであり、時刻表は乗客が必要な列車を検索するための冊子で、それぞれ役割が異なったものなのです。

 しかし、私のような時刻表愛読者は、時刻表に記載されている情報から、それ以外の情報も類推するためにわざわざダイヤグラムを書き起こし、全体像を把握しようと日々模索をしているのです。

 一例をあげてみましょう。

(表1)時刻表とダイヤグラムの相関関係

 上記の表は、既存の時刻表から、私がダイヤグラムを書き起こしたものです。

(表2)表1の部分拡大図①

 下り普通列車(3129F)[①]を見てみましょう。
 この路線は、普通列車と快速列車を同じレールの上で走らせているため、必ずどこかで、快速列車が普通列車を追い越すことになります。
 時刻表をみると、3129F列車は岡崎駅に11時38分(紫四角で囲った部分)[②]に到着し、6分間停車し11時44分(緑四角で囲った部分)[③]に発車することになっています。この6分停車の間に、何が起きているのでしょうか。何もなければ、客の乗降が済み次第発車すればよいのに、と思うところですが、ダイヤグラムを見てみると、豊橋を後から発車した新快速(5323F)[④]が急角度で普通列車を追い上げてきているのがわかります。時刻表をみると、岡崎駅に11時42分(オレンジ四角で囲った部分)[⑤]に到着し同時刻に発車しているのがわかります。つまり、普通列車はあとからくる快速列車の到着を待って先に発車させてから発車していることがよくわかります。この例は岡崎駅が大きい駅のため、普通列車の着発時刻が記載されているからわかりやすい例です。

(表3)表1の拡大図②

 もう一例見てみましょう。
 上り普通列車(3126F)[①]の蒲郡駅での挙動です。時刻表だけみると、前の駅である三河塩津駅を11時51分に発車[②]しており、蒲郡の発車時間は12時ちょうどとなっています(蒲郡は発車時間しか記載されていない)。距離は2.3km、他の列車をみると、三河塩津駅を発車した3分後には蒲郡を発車している列車もあります。これらの事実から、蒲郡駅には12時以前の11時54分頃(赤四角で囲った部分)[③]にすでに到着しており、後から来る快速列車(5322F)[④]に追い越されるのを待っていると推察できます。
 このように、時刻表に記載されていない部分を推理し、実際に乗りに行った時に、その推理通りに列車が動いているのを確認できた時の感動、こういうのでよいのです。

 そういった少し変わった視点から時刻の羅列を眺めてみるのもまた一興ではないかと思ってもらえるよう、みなさんに発信し続けたいと思っています。。

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