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私、日本文学のことって何も知らなかった……。

先日、自分で気付いて本当に衝撃的だったことがある。
「私って、日本文学のこと、何も知らなかったんだ……。」
いや、正確には「知って」はいる。大学院の修士まで出て、どっぷり7年間日本文学という沼に首まで浸かって過ごしてきたのだ。自分が専門にしていた時代について、語ろうと思えば好きなところ、素敵なところ、楽しい薀蓄だっていくらだって語れる。こんな作品があって、作品同士はこんな関係で、なんて系譜だっていくらだって示すことができるし、特徴的な作品を紹介することだってできる。だけど……。
私が持っているのは「知識」であって、それぞれの時代を取り巻いていた雰囲気や空気までを楽しむまでには至っていないんだわ、と実感してしまったのだ。
きっかけとなったは「藤原道長」。藤原道長は平安時代のヘソとも言うべき人物で、この人以前と以後で分けることができると思っている。だけど、私は藤原道長が『枕草子』に『大鏡』に『栄花物語』に出てくることは知っていても、何歳まで生きて、どんな仕事をして、どんな家族構成で、どんな人生を過ごして、誰と仲が良くて誰と仲が悪くて、どんな暮らしをしていたかなんてことを一切気にせずに暮らしていたのだと意識さえしたことがなかった。ということに気が付いてしまった。
大学を離れて3年。今ほど博士課程に進まなくてよかったと思ったことはない。もしも、博士課程にまで進んでいたら、研究という当時を知るための手段が目的へと変わってしまって、このような感慨に取りつかれることはなかっただろうと思う。
幸い、調査できる環境は整っていて、欲しいと思った資料は難なく取り寄せて調べることができる。知りたいと思った情報を調べることができるだけの訓練も、これまで嫌というほど行ってきたのだ。
専門としていた平安時代に限らず、興味のある時代や題材について取り上げて調査し、自身の糧とできれば嬉しい。

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