2/26 今朝の夢

みんな道着で畳の上に正座している。青白い顔した坊主の先生だけ黒い袴をはいていて、何人かだけ先生の前に列になって技を受けられるので彼らは昔からの道場生だろうと思った。先生はゆるゆると右手を出していき、門下生の胸に触れたところで体がウニッとなると生徒は吹っ飛んでいった。どんどん飛ばされ倒されていくが、ぜんぜんできるようになりたいと思わない。
「手の形をこうして、当たる瞬間にだけ握り込んでんだ、あれは」
後ろから仁村さんが教えてくれた、見れば先生は中指と薬指だけ折り込んだ形の掌を突き出している。
しかし、飛ばされる生徒は自覚していないがあれは同調だ。かけられる側が同調しているから、あれは知らない人やわかる人が受けたら効かないな、と思いすでに飽きている。少しだけ開いた襖の向こうに小さな写真立てや賞状が飾られていて、ヒゲモジャの男の顔写真が目に入る。ブルーシートを通して入り込んだような薄暗い青い光の廊下。旅館の宴会場は、人がいない昼間は景色ががガラリと変わるのだな。
父親が本棚を設置しているので、その本棚は奥の棚と前のスライド式の棚の縦に二段になっていて、奥の本は取りづらい、そこにさらに僕が回転式の丸い本棚をスライド式の空いている半分に設置する。収納だけを意識した、これでは奥の本は何も取れないじゃん、と思って振り返ると父親はいつの間にか採石工場のど真ん中に巨大な大理石の扉を作っていた。優に5mはある。ただ扉が立っているだけだが、扉の奥には真っ暗闇が広がっていた。
別の先生がやってきて、方角を意識して
「東はこっちやね」
礼をする。音楽をかけて、その音楽を聴きながら胸を押されると簡単に倒れる。次に、地方の方言民謡を聞かされる。宴会場に元々あった縦長の黒いカラオケマシーンにカセットテープを差し込んで流す。ガラスケースには日本人形やどこぞのお土産のよくわからない煌びやかな置き物が陳列されている。その曲を聴いただけで、押される前から体が重くなっているのを感覚できた。この先生は本物だ。

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