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不動産投資と実現可能性1

いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は「不動産投資と実現可能性」の授業をもとに記事を作成したいと思います。
初回の記事のため、今後の記事で使用する用語や数式の解説がメインです。

なんだその授業?と思われるかもしれません。
この授業では不動産投資の意思決定について実践的に学ぶことができます。
不動産開発学が専攻ですが、開発者であろうと投資家であろうと、プロセスの中で一番初めの意思決定について学ぶことになります。

授業が2~3週間に1回実施されるため、記事は4本程度が予想されますが、お付き合い願います。


Net Present Value

Net Present Value(NPV)
 →将来の支出と収入を特定のレートで割引き、現在の価値に直したもの

どうでしょう?お判りいただけますでしょうか。
例を使って解説してみましょう。

FredとAntheaの2人がいるとします。
それぞれ$1000を5年後に、もしくは$750を今すぐ貰えると言われました。
2人の選好について説明します。
 Fred:保守的でリスクはとりたくない
 Anthea:リスクをとることに躊躇しない
ここで、オーストラリア国債の金利が3.5%(無リスク資産)、株式市場のリターンが9.8%であるとしましょう。
この場合、Fredが受け入れられる年利は3.5%、Antheaは6%であると仮定します。
では、2人はどんな選択をするでしょうか?

Fredの場合
仮に、$750を受け取って、それを5年間年利3.5%で複利運用するとしましょう。
5年後の運用総額が$1000を超えていれば、目の前の$750を受け取った方が得することになります。
では計算します。
 Future Value(FV)=Current Value + Return on Investment
 FV(Y1)=$750+(1+3.5%)=$776.26
 FV(Y2)=$776.26+(1+3.5%)=$803.42
 …
 FV(Y5)=$890.76 < $1000
出ました。
5年後の将来価値は$1000を下回っていますね。
なので、Fredは5年後に$1000を受け取る方が得することになります。

Antheaの場合
同じように$750を受け取って、それを5年間年利6%で複利運用するとしましょう。
5年後の運用総額が$1000を超えていれば、目の前の$750を受け取った方が得することになります。
では計算します。
 Future Value(FV)=Current Value + Return on Investment
 FV(Y1)=$750+(1+6%)=$795.00
 FV(Y2)=$795.00+(1+6%)=$842.70
 …
 FV(Y5)=$1003.67 > $1000
出ました。
5年後の将来価値は$1000を上回っていますね。
なので、Antheaは今すぐ$750を受け取る方が得することになります。

すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、FVの導出式は文字式で表すと以下のようになります。
 FV(Yt)=PV(1+R)^t
将来価値は現在価値に(1+割引率)の期間乗をかけたもので表せます。
そのため、現在価値は式を変形すると…
 PV=FV(Yt)/(1+R)^t
となります。

Internal Rate of Return

投資に必要な支出額の現在価値と投資によって得られるキャッシュフローの現在価値の総和が等しくなる割引率

式で表すと
 R=((FV(Yt)/PV)^(1/t))-1
複雑ですね。
現在価値で測った将来価値を期間の逆数乗し、それから1を引いたものです。

例で考えてみましょう。
FredとAntheaは$750が5年後に$1000になるかどうかを判断基準としていました。
つまり、$750投資したら現在価値で$1000になるかを考えていたわけです。
IRRとはこの場合の割引率を指します。
 R=(($1000/$750)^(1/5))-1=5.922384%
となります。
Fredの将来価値が$1000に届かなかったのは、Fredの割引率がIRRよりも小さかったためであることがわかります。

ここで別な例も考えてみましょう。
投資額$15,000,000で4年間物件を運用します。
毎年投資額に対して6%の収益が発生します。
5年目は収益に加えて売却益$20,000,000も加わります。
計算してみると、IRR=18.09%、と算出されます。

この意味は何でしょうか?
IRRの特徴は単なる利回りではなく、時間を考慮した利回りであるということです。
仮に、3年目で同額の$20,000,000で売却をするとした場合、IRR=24.98%と上昇します。
これは短期間で収益を上げられることが評価されていることになります。
実際のキャッシュフローで見ると、3年目で売却する場合は4年目の収益を得られていないためキャッシュフローは低下しています。

まとめ

今回は簡単な用語の解説と計算式の導出を行いました。
今後は今回学んだ内容をもとに、投資モデルを構築したり、投資にGOサインを出すかどうかを見ていきましょう。

それではまた次回。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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