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スマートで温かい接客

今日カバンを買いに行きました。

ずっと気になっていて、何度かお店にも通って、今日はじめて背負ってみた。鏡の前に立って、、いや立つ前からほんとうは心は決まってた。
一生の相棒にする!(大げさ…)と心に誓って、
さて色はどうしよう。濃い茶色と薄い茶色。お店のお姉さんと話しながら優柔不断な私はウンウン悩む。

。。うむむむ。

…よし明るい色にしよう!
さあ、レジへ、のはずがここで終わりじゃなかった。
その革の特性とつくる工程上、同じ明るい色でも一点一点濃淡がちがう(らしい)。親切なお姉さんのご好意によって、私の前には全く同じ種類のふたつの明るいバッグが並ぶ。

むむむむむ。

在庫をふたつ並べてもらってまたもウンウン悩む。お姉さんはそっとその場を離れ思う存分悩ませてくれる。

そのときおじさんが隣で別のバッグパックを見ていた。
ふと私が熱い熱い視線を送っていたバッグにも目をやる。

別のお姉さん「良かったらそちらも見てみられますか?」
私は一歩身を引いてどうぞと身体で示す。
お姉さん、おじさんの棚の前にバッグを二つ並べる。ほんの少し(5秒くらい)説明したあと、
「こちら色違いで、濃いお色もあるんです」
そう言ってさっとバッグをとりかえる。そして私に会釈しながら「すみません」とそっと述べる。

かくして私はまた思う存分悩めるようになったのだけど、お姉さんのとっさの対応がすごくスマートで、どちらのお客さんにも(この場合はおじさんと私)配慮した瞬時の判断に思わず惚れ惚れしました。

私だったら、おじさんの前にバッグを置けなかったかもしれない。
私だったら、おじさんがその場を離れるまでそのバッグを戻せなかったかもしれない。

接客に100パーセントの正解はない。だから、難しくて面白い。
私もジャンルは違えど学生時代のアルバイトから数えると、もう8年以上接客業に携わってきた。それがほんの些細なことであっても現場で選択や判断を迫られるとき、思わず「正解」を探してしまいそうになる。だけど、大切なことはどうやったらお客様に喜んでいただけるか、その一点なんだよなぁ。全力でやった結果が自分の思いとは真逆の結果になってしまうこともあるけれど、改善すべきことを見つけたら、あとは割り切って次への肥やしにしていくしかない。

すこし背伸びして買ったほやほやのバッグパックを抱えて、ホクホクしながら帰路につく。
そんな年末。

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