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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2022年12月の記事一覧

TomoPoetry、背に背負うもの。

TomoPoetry、背に背負うもの。

まだ星が眠っている 歴史のなかを 光を背負う背 いたみを背負う背 涙を背負う背 時を背負う背 死を ひらいたままの口を 音のない言葉を さらさら砕ける音を 永遠につづく叫びを そのあとの静かさを なにかを見た眼を 背負う背が 遠ざかっていく 眼窩に 遠い星がひかる 地球ではない世界で 覚醒する 氏名がない 時計が示す時間は はるかな過去の空白 誰の誕

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TomoPoetry、あの手や足。

TomoPoetry、あの手や足。

どこに置いてきたのか あの右足 つぶれた居酒屋 裁判所の控え室 汗くさいベッド 行き先を知らず とびだした少年のポケット 右脚は どこを歩いているか どこに忘れてきたのか 痩せた左足 もしかすると 捨ててしまったのか 右側の星空 左側の珊瑚礁 真っ直ぐ歩いていたのだが 左脚は 空っぽの眼窩のわたしに 呆れて 水をたたいて 抱きかかえているのか 右腕

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TomoPoetry、欠けている星。

TomoPoetry、欠けている星。

いつもひとつ欠けている 地 いつもひとつだが かさねる手の隙のように 窓のない家のように 未来のない 眼のように そこを 顔を隠して 走りぬける 存在には 形が欠けている 時に 気配を感じるが 光が届かない 炭のような しずかな諦念 死者がもたれる腕のような しなだれた慰め 彷徨う群れの 旗のように 風に裂かれる

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