TomoPoetry、あの手や足。
どこに置いてきたのか
あの右足
つぶれた居酒屋
裁判所の控え室
汗くさいベッド
行き先を知らず
とびだした少年のポケット
右脚は
どこを歩いているか
どこに忘れてきたのか
痩せた左足
もしかすると
捨ててしまったのか
右側の星空
左側の珊瑚礁
真っ直ぐ歩いていたのだが
左脚は
空っぽの眼窩のわたしに
呆れて
水をたたいて
抱きかかえているのか
右腕は
杙をだいている
左腕は右腕を支えている
杙を
いくつ立てるのか
ひとつの列が終わると
右腕と左腕は
地を見ることなく
天を昇っていく
管楽器をあやつるために
金管楽器の快晴
わたしの耳は
その空の向こう側
打ち寄せる波を聴く
隠している彫像を
砕き
海底の過去の堆積に
加えていく
波
その時
わたしに四肢はあるだろうか
意志は
わたしにあるだろうか
海底で忍耐する
手脚
その脆さ
あたたかさと
湿りの筋を
指でたどる
旅
こごえゆく地の
かたちを刻む
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