TomoPoetry、欠けている星。
いつもひとつ欠けている
地
いつもひとつだが
かさねる手の隙のように
窓のない家のように
未来のない
眼のように
そこを
顔を隠して
走りぬける
存在には
形が欠けている
時に
気配を感じるが
光が届かない
炭のような
しずかな諦念
死者がもたれる腕のような
しなだれた慰め
彷徨う群れの
旗のように
風に裂かれる
証
生に
あとひとつ欠けている
いつも
あとひとつ
そこを深夜
風が
過去から
明確でない未来へ過ぎる
悲鳴のように
時に
意味が聴きとれる
言葉でなく
樹々の緑が落ちるように
風琴の音楽でなく
空が色を変える
舞台のように
肉体は
海底で溶解する
意識は
交差点で位置を失う
あとひとつ欠けて
わたしたちは
朝をむかえる
そこに光が射し込み
欠如が
立っている
わたしたちの影の
輪郭のように*
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