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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2021年7月の記事一覧

TomoPoetry、かれかけた紫陽花に雨が降る

TomoPoetry、かれかけた紫陽花に雨が降る

生まれて
最初の傷が額にある
一歳半
歩きはじめ
触れる世界はわたしのもののように
地球の
体温やよろこび
かなしみも感じた時

となりの邦のパッションフルーツを食べた
おじさんは
わたしを見ているようで
わたしの奥 あるいは
わたしの向こう側を見る目

わたしの秘密のノートに一行追加された

その時
パッションフルーツの枝が
額につくった傷
歳とるごとに
大きくなる

今は
わたしの額から足首ま

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Tomo Poetry、時のながれより数歩さきで。

Tomo Poetry、時のながれより数歩さきで。

骨を引きだして どこに立てておこうか 決断できない 地は波打ち 記憶の重さに沿って ながれつつある 肉や欲や言葉は あきらめて泡になり きみの望みやかなしみを 発酵させている 表面だけのわたしは ひらひらと 帽子かけにさがっている 乾くのだろうか 誰かが触れるだろうか それとも濡れたまま 何を待つべきか考えるだろうか 記憶をさかのぼり 振り返る もう戻

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宇宙を満たしているのは。

宇宙を満たしているのは。

赤児が
三人の眼の下で
葡萄の茎で殺された
ひとつの人種が
柵のなかに追われ
腹を裂かれ殺された
星のように
夢でかれらの眼を見る

きみの夢には出てこないの

たずねるその子は
眠りのなかの空の色
藍色の空
雨に打たれる紫陽花
過ぎさった死者たち

死者は白い布に包まれてはいない

海豚が行きつかない深瀬
砕けた馬車道
星が
穴あけ続ける


声が聞こえる

きみが泣く
わたしが泣く
涙で枕は

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