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Tomo Poetry、時のながれより数歩さきで。

骨を引きだして どこに立てておこうか 決断できない 地は波打ち 記憶の重さに沿って ながれつつある 肉や欲や言葉は あきらめて泡になり きみの望みやかなしみを 発酵させている 表面だけのわたしは ひらひらと 帽子かけにさがっている 乾くのだろうか 誰かが触れるだろうか それとも濡れたまま 何を待つべきか考えるだろうか 記憶をさかのぼり 振り返る もう戻ることはできない そのことを理解する まず自分の左足首を 革靴の記憶に合わせて かためる 一週間後に左手首を マネキンの手に合わせて かたちづくる 一ヶ月後に左目を 望遠鏡に接着させる 一年後左耳を 時間の音が聞こえる方向にむける 十年後 記憶と意識を埋める そこにわたしは 横たわり 何かを待つ 私の価値はまだあるのか そのことを知るためには 何かが必要だ 朝 恋人は私の姿に驚く 野菜炒めとサラダとハムを並べながら 住宅ローンの残額を質問する 口をくしゃくしゃ動かし 秤が傾いているのに気づく いっしょに世界も傾いている わたしの 不在の分だけ テーブルから 皿が落ちる 重くなってきていたが わたしがいなくなることで 宇宙の 一部が軽くなり 透き通っている ある夜  残っていた記憶が 時間の向こうに わたしを通りぬけていく 私をまだ感じられるのか 恋人は 私の不在を知りながら ヨーグルトとウインナーとバターロールを二人分準備する 時間が波うつと 発酵は速い 私の位置から何が見えるか きみの背中にユーラシア大陸が埋まっていく 膨張する きみの存在の表面が 呼吸でゆれる 暖かい きみの言葉が聞こえる まだ眠るの 言葉は はるかの未来から かぼそく聞こえる

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