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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2020年11月の記事一覧

TomoPoetry、いないきみのビブラート

TomoPoetry、いないきみのビブラート

日暮里駅のホームに
男ははりついている
うすい記憶
うすい黒髪
すきとおる手のひら
肉体はするすると
ノスタルジックな咽喉に落ちる

影は捨てられる
蕎麦つゆといっしょに
総武線でいつも並んでいた
出汁色のスーツ
誰にも見られることはない
光のなかの
輪郭だけの時間

昼の移動の合間
きみはわたしの隣に座っている
呼吸はかすかにひびき
日めくりを引きさく
隣の女性がスーツケースをきみの膝にのせると

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TomoPoetry、静まりゆく豆腐

TomoPoetry、静まりゆく豆腐

宇宙は凍えている
右と左の手を握っていた手は
透きとおり
くだけてなくなった
まだささやきは聞こえている

覚えているかい
心がこごえていく年月を

目的地にはたどり着いたかい
そもそもそういうものをきみは見ていただろうか

豆腐は悶えている
すべての愛のかたまりのように
憎しみの跡がのこる肉体
星が凍ると磨かれ
欲望が緑の芽のようにのびると
切り刻まれ
きみは浮いている

ぶら下がっている死を売

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