娘が恋しがった久々の日本食とは
アメリカに留学中の娘が日本に久しぶりに帰国した。
流行病がまだ収束していない2021年6月、人気のないガラーンとした成田空港から飛び立って以来、3年ぶりの帰国。
学校行事が軒並みキャンセルになった高校生活、残念としか言いようのないまま卒業を迎えて、そのままアメリカへ留学。
帰国するや、待ち侘びていたように友だちと観光地に足を伸ばす。
広島、大阪、京都を巡ってやっと最終目的地の自宅へ。
旅行中ご当地グルメを堪能したのかと思いきや、お店に入ることもあったが、大抵の食事はコンビニで凌いだという。せっかく各地の郷土料理をエンジョイできる機会だというのに。
しかし当の本人たちは、日本のコンビニの品揃えに改めて感激。
おにぎりの種類の多さに新鮮なサンドイッチ。
デザートだって和洋が陳列され、その上驚異的な商品のハイクオリティ。
おまけにコラボや季節限定商品の、目を奪われんばかりのバラエティ。
レジ横のホットコーナーは魅惑のスナックが整然と並べられ、揚げ物中毒の娘にとって、これも、あれもと悩まない訳がない。
それでも何日もコンビニ食が続くと、さすがに手料理が恋しくなったようだ。
「今日、夕方に着くんでしょ?夕ご飯何がいい?」
こうメッセージを送ると返ってきた返事は
「すき焼きがいい!」
私は近所のスーパーへ、すき焼きの材料を揃えに向かう。
春菊、しらたき、長ネギ、しいたけ、エノキダケ、そして和牛。
そして一瞬、迷う。
「ニンジンをすき焼きに入れるべきか?」
鍋にニンジンは不可欠でも、はて、すき焼きはどうしていたっけ。
スーパーですき焼きの割下に貼られているパッケージを確認すると、ニンジンが入っているすき焼き鍋と入っていない鍋がある。
少々悩むも、ここは彩りがあった方がいいと判断。
しかしメインは何と言っても牛肉。
いつものスーパーは、野菜と精肉の品揃えが他のお店よりも格段に広いのだ。
大理石を思わせる美しい肉模様と鮮やかな肉色。
すき焼き用の最高ランク牛を奮発して購入することにした。
クックパッドに投稿されている数々のホームシェフのアドバイスに倣って、牛脂で土鍋の底を均す。熱された脂臭が料理の出来栄えを確約するかのように、香ばしくも甘い香りが台所に立ちこめる。
後は材料を土鍋に投入、シンプルかつ満足しない訳がない日本のおご馳走。
真夏のすき焼きはスタミナ補充で大満足。お肉とお野菜のおかげで、
「美味しい!」をいただけた。
一瞬ためらったものの、翌日の私のお弁当も、はい、すき焼き。
もちろん、生卵持参で!
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