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フランス留学 チーズ日記 ②

フランス留学中に味わったチーズを写真ともにひたすら書き留める、チーズ日記です。

Saint Nectaire AOC

牛乳 26.80€/Kg (2023/9/30 @ La Formagerie de Biévres)
少なくとも17世紀にはオーベルニュ地方で作られていたチーズ。サンネクテール元帥がルイ14世に献上し、太陽王のお気に入りとなったチーズ。これ以降、元帥の名を用いてsaint-Nectaireと呼ばれるように。それまでは、ライ麦の麦藁の上で熟成させることからライチーズと呼ばれていた。
18世紀の旅行記には、オーベルニュでの豪華な食事には必ずサンネクテールが用意される、と記されており、もてなしのチーズ。
現代では農家製以外に、牛乳を加工する工程を含む工場製品もあるけれども、工場製品は正方形で作ることで識別しているとのこと。
私が購入したものは農家製。灰色の皮で緑色のカビがついている部分も。セミハードっぽいつやっとした表面だけれども、口に入れるととってもクリーミーにねっとりととろける。ナッツのようなかおりに混ざって、とてもマイルドな酸味も後を引く、とてもよくできたチーズでした。
シェーブルやフレッシュチーズの酸味とは全く違い、後からくる、大人の酸味です。
ちなみに、近所で見つけた隠れ家チーズショップで買いました。スーパーのチーズ売り場よりもお値段は高かったけれども、購入したものは農家制のよく熟成したお品みたいだし、カットする際に、試食する?と言ってかなり大きい切れ端をくれるし(ワインテイスティングみたいな習慣でしょうか?)、やはり個人店は間違いないな☆と思いました。
ちなみに、ふさふさのカビ如くれるので、皮も全部食べるみたい。

Camanbert de Normandy AOC

牛乳 3.41€/Piece (5.84€からdiscount @Auchan 2023/10/2)
賞味期限切れ近くで30%オフになっていたので。
日本でも食べられますが、無殺菌乳((Lait cru)のものは貴重で、手に入ってもかなり高価なんじゃないかと思います。
無殺菌のカマンベールは、ブリーのような強いにおいがあるのですが、ミルクの味が濃く、うまみと甘み、鼻に抜ける爽やかな酸味のバランスがすごくいい。定番ですが、やっぱりおいしかったです。
ブリー・ド・モーは全体にとろんとマイルドなんですが、カマンベールはあらゆる要素が強い印象。
やっぱりカマンベールおいしいな、と、改めて思いました。
日本の明治のカマンベールもコクがあってすごくおいしいと思うのですが、パッケージのせいか、香りが単純で何となく人工的な印象を受けてしまって、やはり本物を食べると、複雑な香りと味他相まって、別格でした^ ^

Tomme noire des Pyrénées


牛乳 12.99€/Kg (2023/10/5 @Auchan Velisy2)
ピレネー山脈近く、スペインとの国境あたりで生産されるチーズ。黒いのは、熟成を止めるためのワックスです。12世紀ごろから製造されている古いチーズだそう。
21-45日の熟成なので、フレッシュなミルクらしさを味わえるチーズ。日本で真空パックで売られているモッツァレラチーズやエダムチーズの食感に似ているような。
そのまま食べても美味しいし、ポトフに乗せて温めて溶かしても美味しかった。お値段も手頃だし、冷蔵庫に常備していていると何かと重宝する感じ。

Maroilles AOC

牛乳 13.99€/Kg (2023/10/5 @Auchan Velisy2)
ベルギー国境近くの同名の村が原産のウォッシュチーズ。ベルギーのHerveというチーズと似ているそう。表面はオレンジ色で、少し濡れている。四角形なのが特徴的。
強烈な匂いがあり、マンステールと色も香りも似ているけど、中はマンステールよりしっかりしたテクスチャ。ナッティだけれども、味わいもマンステールよりはマイルドな気がする。正直、ちょっと物足りない。
オーブンで焼いちゃった方が楽しめるかな?
結果、オーブンで焼くといい塩気でおいしい料理ができました。


Bleu des Causses

牛乳 23.90€/Kg (2023/10/10 @La Formagerie de Biévres)
ロックフォールを含むAveyron県周辺で広く生産されるチーズ。ガリア産のブルーチーズに関しては、ジュリアス・シーザーが食べたという記録まであるそうで、相当の歴史を持つよう。
この地域は石灰岩の高原が広がっており、古くから牧畜が盛んで、牛乳と羊乳の区別なくブルーチーズをつくっていた。ところが、ロックフォールのAOC認定に際してロックフォールは羊乳のみと厳格にさだめられたことから、ブルーデコッスを含む名称が使われだしたとのこと。
味は、ロックフォールにすごく似ているけれども、牛乳を使う分、少しだけ全体にマイルドに仕上がっている。
安定の、安心のおいしさ。
フルムダンベールのようなフレッシュな酸味はなく穏やかで、一方、ブルードオーベルニュほどの野趣と力ずよさとはまた違う、穏やかな豊潤さ。
日本で食べたときも思ったけど、やっぱり、ブルーデコッスすきだなぁ。

Ossau-Iraty AOP

羊乳 25.90€/Kg (2023/10/18 @La Formagerie de Biévres)
フランスのバスク地方、サン・セバスチャンと接する国境沿いのエリアで作られるチーズ。バスク地方の歴史はきわめて古く、先史時代、約7千年前には家畜を飼育していた痕跡がある。チーズに関しては、ローマの将軍が、トゥールーズでバスク産の羊のチーズが販売されていたと記録したものが残ってる(オッソー・イラティかはわからないけれども)。
羊の出産後20日目以降に搾乳が開始されることから、旬は4~6か月熟成した6月~11月頃とされる。でも、長期保存可能なので一年中楽しめる。羊の品種も、バスク地方の3品種に限定。中世の頃には、この羊たちはボルドーで冬を越していたらしく、そこで生まれた羊たちがポイヤック子羊の起源だそう。
とろけるような食感で、通常そのまま小さなキューブに切って楽しみます。フランス・バスクの生産地では、ブラックチェリーのジャムと、お隣のスペインではマルメロのペーストと一緒に楽しむのが定番。
香りは全くなく、口に入れると、ゆっくりとほどけていくような、とろけながらも少しざらっとした舌触りが残る食感。鼻に抜ける香りもとても穏やかで、クリーミーなナッティ。食べ終わった後も、ふんわりと鼻腔に良い香りがとどまります。カンタルをとてもまろやかに優雅にしたような感じ。おいしいなぁ。

Crottin AOP

山羊乳 2.07€/Piece ((2023/10/13 @E'leclerc massy)
フランスのへそ、シェール地方で生産されるチーズ。同じ地域で生産されるサンセールとの組み合わせが秀逸らしい。
少なくとも16世紀ごろから生産されているこのチーズ、名前が面白く、Crottinは「馬糞」を指す言葉。しかしながら、名前の由来は馬糞ではなく、地域言語のベリー語で、川岸の洗濯用の穴を意味する「crot」から。この川辺の土は粘土質の地質でできており、この土から素焼きのオイルランプの器、そしてこのチーズの型が作られるようになり、このチーズの名前の由来となった。(以上、フランス語版 Wikipediaより)
セミ・ドライの状態から、青みがかったもの、青カビに覆われたもの、鉄化したものまで、状態に応じてフレッシュからナッツ、秋の土・キノコの香り迄様々な味わいを楽しめる。オーブンで焼いてもおいしいそう。
買ったものは、熟成していない状態なので、常温で紙袋に入れて放置。

Tome des bauges AOP

牛乳  17.55€/Kg (2023/10/232023/10/23)
Tommeは、この地方語でチーズの意味。生産地であるサヴォワのボージュ山の地名より。17世紀にはすでに作られていたチーズ。
表面は灰色からくすんだ白色に変色していて、サンネクテールと似ている。表面についているふさふさの微細な白いカビは、geotrichum candidumという人の皮膚にもいる真菌で、チーズについたものは「pile de chat(猫の毛)」と呼ばれるそう。製造工程ではこれをとるために時々ひっくり返される。
食べてみると、他のチーズとは一味違う、ひんやりした地下室の香りが鼻に抜ける。中はねっとりと舌に絡むようで、チーズに溶け込んだまろやかな酸味と鼻に抜ける洞窟の土の香りがなんとも癖になる逸品。

Picodon Carie noire AOP

山羊乳 1.90€ (2023/10/23  @E'leclerc massy)
ローヌ地方のチーズで、現地のオクタン語で「Spicy」という意味。
確かに、口に入れたときにピリッとした刺激と、強いヤギ特有の香りと濃いミルクの香り。正直、ちょっとくどい。
ロカマドゥールと似た見た目なので同じような味かと思ったら全く違う。
まろやかなロカマドゥールの方がすきだなぁ。。
その後、一週間経って31日に食べたところ、真ん中の白いザラっとした芯がとれてなめらかになり、くどさはとれ、ヤギ特有の酸の香りも消えていました。ロカマドゥールほどの芳醇なコクとまろやかさではないものの、ねっとりとなめらかで、ミルクの香りとコクを感じるおいしいチーズ。周りが黄色く、やわらかくなった頃合いが食べごろです。

Bleu de Gex AOP

牛乳 22.49€/Kg (2023/10/31 @Auchan Velizy2)スイス国境、ジュラ地方のチーズ。これはとてもおいしい!他のブルーチーズと違い、空洞がかなり細かく、アオカビが筋状に細かく入っている。柔らかいセミハードといったテクスチャで、ぽろぽろと崩れることはなく、なめらか。口に入れてもピリッとした刺激は全くなく、とても穏やかで繊細なブルーチーズ。こんなブルーチーズがあったのか、と驚きました。なんだか、やさしくホッとする、お母さんのようなブルーチーズでした。

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