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保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて06〜乳児保育の初心、生命を見つめて

2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。
それに寄せて書いています。


乳児保育の初心はぜんぜんわからないけれど・・

乳児保育ってやったことないんでぜんぜんわからない。でも横からちらちら見るかぎり、日本の乳児保育の質って全体的にはとても高いんじゃないかと思います。

とても細やかだし、ていねい。見ていて、いいなぁ、心地いいなと思える園の乳児保育は、空気ふくめてとてもやわらかいし、そう思える園は思い浮かぶだけでいくつもあります。

その日本の乳児保育が積み上げてきた質や、わざは様々にあるのは感じ取れるのですが、今回の乳児保育の初心、溝口義朗さんにご依頼したわけだから、それとはまったく別物になる予感がしています。

枠(わく)をはずす人、枠から考えない人

日本の保育界において、枠(わく)を外したり、そこから考えない人って何人かいます。すぐ思い浮かぶのは、前回紹介したりんごの木の柴田愛子さん。それに、札幌トモエ幼稚園の木村仁さん。そしてウッディキッズの溝口義朗さんです。

前回書いた、りんごの木の誕生ストーリーに見られる通り、枠をはずす人、枠から考えない人って、物事をとてもシンプルに、率直に、つまりは原理的に見ているわけです。

だから結果として枠をはずしてしまう、はみ出てしまう。決して、枠をはずすことが目的ではない。

りんごの木でいえば、「おとながどう育てたいか、ではなくて、肝心の子どもってどうなのよ?子どもに聞いてみよう、子どもを見てみよう」というものの見方、考え方。

札幌トモエ幼稚園でいえば、「子どもにとってのいちばんの環境はお母さん。お母さんが幸せにならなくちゃ、子どもも幸せになれないでしょう」という主張。

とてもシンプル、率直、原理的なわけです。既存の「幼稚園」とか「保育」とかいう枠から考えないで、この原理的な思考から形を生み出していく。

そんな原理的な匂いが溝口義朗さんにもします。

乳児保育の初心、溝口義朗はきっとこういうことを言いたいのか?

ですから、溝口義明さんが乳児保育を語る際にも、乳児保育という枠のなかでの洗練を語るわけではない予感がします。

これはある意味、フレーベルが『人間の教育』という本の冒頭でつぶやいたことともリンクします。
フレーベルは、「人間ってなんだろうね」と冒頭につぶやきます。そして、そうつぶやいているフレーベルの頭の中にあったのは、ゲーテの自然観に影響を受けた、草花が大地から湧き上がるように生い茂るさまだったように思います。

日本語でいうと、「生える」ですね。
上から教え導き、育てるのではない。

いま、春の野にでてそぞろ歩くと、三つ葉の群生が頭をもたげ、オオイヌノフグリもぱちぱちと咲き、たんぽぽぽたちが日を照り返しています。
そんなふうに、生えていく。大地からまるで湯気のように立ち上っていく生命。

生命そのものは目に見えないけれど、実際に私たちはそれを感じ取ります。このときに、その感じることそのものを見つめてみると、たんに草花という自分の外にあるものに感じているわけではない。その「生え」に感応し、それに伝染し、共鳴し、私たちの身のうちからも「生え」を感じます。

そんなふうにフレーベルは人間を見ていたように感じます。

きっと溝口義明さんが言いたいのもこういうことなのではないでしょうか。「乳児保育」はやったことはありませんが、私も保育をやってきたので、なんとなく、それがわかるのです。

初心連続講座「乳児保育のきほん」の2つの内容の予想


フレーベルも、溝口義明さんも、「保育」「教育」を見ているわけではなくて、人間を、その根源にある生命を見ています。

さてそこから「乳児保育のきほん」として語られる講座はいったいどんな内容になるのでしょうか。

講座は2回に分かれていて、ざっくりと1回目が私たち保育者の関わり、2回目が子どもの育ち、に焦点があてられています。

見えない、でも感じ取られる生命に関わるというのはどういうことでしょうか。そのときに、保育者として関わるというのはどういうことでしょうか。どんな特徴があるのでしょうか。

私たちは風の中にあって風を感じ、風になって吹かれ、また吹いていきます。風がやめば木立のあいだにしずかに休み、私たちのなかに出たり入ったりする風を息遣いとして聞き入ります。

そのような「流れとして生命」から、どのように「わたし」という分化が起こってくるのでしょうか。生えてくるのでしょう。それをまざまざと見てみたい。

このような講座になるはずです。大外れかもしれませんが、いずれにしても楽しみです。

溝口義明さんは「むずかしい」でしょうか。でも彼が語っているのはいつも春の野であり、川の流れであり、水面に踊る陽の光です。

皆様ぜひ!

保育の初心連続講座2024 5月から順次開催です!

保育の初心(しょしん)を問い、確かめる連続講座です。
講師には、溝口義朗さん、岩田恵子さん、そして柴田愛子さん。

個人での講座ごとの単発参加、通し参加、団体参加、いずれも可能です。
詳細、お申し込みはこちら!



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