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だからコザに来ざるを得ないのである
先週、池袋の芸術劇場に舞台を見に行きました。
本土復帰の2年前の沖縄で起きた「コザ騒動」を題材にした『hana-1970、コザが燃えた日-』の千秋楽。
この記事は多少のネタバレを含むので、これから見に行こうとしてる方はご注意ください。
「旦那さん沖縄のどこ?」って聞かれて「コザ」なんて言ってもほとんど誰も知らない東京で、いまや本籍地だけれども2年前ふらっと行くまで私だって知らなかったコザの舞台を一体誰が見に行くのだろうと思いきや、老若男女でほぼ満席。びっくりよ。
舞台の内容は、1970年12月20日に起きた「コザ騒動」の夜の、あるバーでの家族の会話劇。
そんな事件を背景にした舞台ではあるものの、直接騒動を描くことはなく、ストーリーとしても何か劇的なことが起きるわけでもなく、役者さんの自然な演技もあって、なんというかただただリアル。当時のコザの状況やコザの人の心境が勉強になったという点で私はよかったものの、コザに縁がない人が見て面白いのだろうか。
しかし勝手な心配をよそにTwitterを見ると絶賛の声が多いので、正直なところ演劇の楽しみ方というものは私にはまだよくわからない。
わからないながらも、よく見かける「この悲しい現実を知ることができてよかった」「うまく言葉にできない」といった感想は、せっかくコザを知るきっかけを持った人たちが早々にコザと距離をあけてしまった感じがして、なんだか寂しい。
舞台で描かれるコザの人の葛藤はどうしようにも救いがない。
米軍に対するデモに参加して胸がスカッとする沖縄人がいる一方、米兵相手に商売をするバーではお客さんが来なくなって商売上がったり。ベトナム戦争から帰還してトラウマを抱える米軍の脱走兵を匿う余貴美子演じるおかあだけれども、かつて娘を米兵に殺されている。米兵の車が次々破壊されていくことに歓声を上げる人がいる一方、中古で買った米軍ナンバーの松山ケンイチ演じる長男・ハルオの車も勘違いで破壊される。
自分たちが置かれた状況に怒りを覚えながらも、「人を恨むことはお天道様を恨むことと同じくらい意味がない」というおかあの台詞の通り、恨みの行き場もない。
沖縄の言葉として有名な「なんくるないさー」。
呑気な言葉に聞こえるけど、実は「まくとぅーそーけー(誠を尽くせば的な意)」という枕詞がつく。
「なんくるないさー🏝」は問題に目を向けずに楽観的なイメージがあるが、本来は「まことぅー(誠)そーけー、なんくるないさー」(どんなに苦しくてもくじけず真面目に頑張り続ければ、そのうち何とかなる)まさにHard Thingsなありがたい言葉。
— 豊里 健一郎@沖縄KOZAでStartup🏝 (@toyokoza) February 3, 2022
自分で変えられることが少ない状況でも自暴自棄にならず、誠実に生きようとした沖縄の人の想いから生まれた言葉なのかもしれないな、なんて想像しながら舞台を見て後から調べてみると、ちゅらさんでおなじみの沖縄の方言はウチナーヤマトグチといって戦後に誕生したもののようなので、この想像はあながち間違いでもないかもしれない。なんて。
そして、そんな白黒つけられない沖縄の、コザの葛藤は基地問題と共にいまも続く。
デリケートな問題に不用意に触れないようにしようとする優しくて賢い人たちだからこそ、この舞台を観た後に先ほどのTwitterでよく見られる感想に行き着くのだろうと思うし、戦争ものの映画やドラマを見た後に私が抱く感想も大体同じである。それに舞台からはいまのコザの姿は想像できない。
でも実際のコザの街は明るい。
街の雰囲気をお伝えすべく、コザの街中で撮ったもののお披露目のしどころがないウェディングフォトたちを少しばかりご紹介しよう。
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![](https://assets.st-note.com/img/1644112374329-Uj2OqUEj1y.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1644112373297-s45oQFX2UY.jpg?width=1200)
私としては、傷に触れないように距離を置くのではなく、悲しい歴史も飲み込んで独自の文化を強く発展させてきた街に敬意を持って飛び込んでいきたいと思うし、悲しい歴史を入り口にコザを知った人も飛び込んでくれたらいいのになと。シンプルに楽しく、何かが起きそうでわくわくする街です。
5月くらいから逆里帰り出産でしばらくコザにいる予定なので、遊びに来てね!
ちなみに今度はコザの街を題材にした映画が東京でも公開されているのでこちらもぜひ。(私は今日これから観に行くよ with 父&キャンくん)
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