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【第1章】NISEKO ADVENTURE RACE 2021 回想録

この物語は、2021年7月3日(土)~4日(日)に開催された『小鍛冶組プレゼンツ!ニセコアドベンチャーレース2021』に初参戦したteamKOKAJI JASOの軌跡であり、私の記憶と感想を綴ったものである。あまりに長くなったので、3部構成としている。長いが最後まで読んでいただけると嬉しい限りである。

そして、アドベンチャーレース初心者に向けての心得10か条を第3章の最後にまとめてみた(笑)。いきなり第3章に行かず、第2章を読んでから見てもらいたい。

アドベンチャーレースを志す者へ!あまり真剣に読んじゃいけない。

1.スタート前からアドベンチャー

2021年7月3日(土)午前1時半。
私は不快感で目が覚めた。部屋の空調が上手く作動していないせいか?室内が暑い。カラダが熱い。何故なんだ?しかも、口はカラカラで吐き気がする。気持ち悪い・・・。

体調が悪くなると必ず頭によぎるワード。「新型コ■ナか!?」

このご時世に熱が出て大会に出場できないなんて最悪だ!
チームに迷惑どころじゃない。
大会そのものが・・・そんなことが脳裏をよぎった。

とりあえず、ムカつきを取ろうと、胃薬を飲んだ。
そして、窓を開け、扇風機を回し、外から少し肌寒い風が流れ込んでくる。
なんだかんだで、この時期のニセコの夜は寒い。
「こりゃ風邪ひくかも」なんて思いながら、ベッドに潜り込み、丸まって、再び目をつむる。

1時間後。また目が覚める。
何とかムカつきは無くなっていた。
カラダのほてりも無く一安心。
ただ、鼻づまりで口はカラカラ。イマイチ寝つきが悪いなぁ。
その後も1時間毎に目が覚める。寝た気がしない。

とスタート前からこんな感じ。
緊張でカラダが震えるとか、筋肉に緊張がはしることは無いが、どこかで緊張していたんだろう。終わった今だからそう思える。

ただ、この緊張は、レースで「勝利する」とか「上手くやってやろう」といった類のものではなく、ただただ待ち遠しかった。

クリスマスイブにサンタにお願いしたファミコンソフトを布団の中で待つ子供のように。お母さんには、寝ない子にはサンタさん来ないよ!なんて言われながら・・・

サンタの本当の姿を見てやろう必死で起きるも、当時は根負けして寝てしまったものである。

さて、話を戻そう。寝不足感は拭えなかったが、これまでもロングレースだと、早朝スタートだから、こんな感じのことは何度かある。寝不足だったとしても、あまり気にしておらず「まぁ、何とかなるだろう」と楽観的だった。

2021年7月3日(土)午前11時。
ブリーフィング開始。全チームがテント下に終結していた。

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私はというと、、、1時間前くらいから準備すればいいかなと思っていたので、何も準備していなかった (笑)

急いで、ゴンテックスを足首に巻いて、ザックを持って、靴紐を結ばずブリーフィング会場に。

MTBやら補給物やら宿舎のカギやらと何度か行き来するために走った。良いアップになったと言えばそれまでだか、なかなか焦った。会場では「メインスポンサーさん待ちでーす!」のアナウンスに、より一層焦る(笑)

アドベンチャーレース初心者の心得(その1)
『ブリーフィング開始の1時間前くらいから準備すべし!』

気を取り直して、、、NAR2021のブリーフィングがスタートした。
運営からの挨拶。各チームキャプテンからの挨拶。皆さんワイワイ楽しくできたと思う。私はメインスポンサーでもあるので、一番はじめに挨拶。もはや何を言っていたか思い出せない。

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2021年7月3日(土)午前11時40分頃。
この辺で、地図が配られ、最初のミッションなどと簡単な説明が運営から行われる。ここからスタートまでは『あっという間』。落着いて聞いていられないし、準備をできていない私は靴紐すらまだ結べていない(笑)

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焦りに焦っていた。私は、地図を防水シートで保護しようと思ったが、そんな時間は、もはや無かった。

勝負はスタートラインに立った時点で決まっている。常日頃、そんなことを思いながら、準備を大切にしている自分としては、「また、やっちゃったなぁ」と反省。ある意味、いつものことなのだが・・・(笑)

ちなみに、地図を裸で持っていた私は、汗や湿気でボロボロになりました。

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アドベンチャーレース初心者の心得(その2)
『地図はしっかり防水対策すべし(特にナビゲーター)』

スタート5分前。全員での記念撮影。この写真好きです!

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10秒前からカウントダウンが始まり、2021年7月3日(土)12時ジャスト、ニセコアドベンチャーレース2021の長い長い冒険が始まった。この先、どんなことが待ち受けているのか、期待に胸を膨らませてスタートゲートをくぐった。

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teamKOKAJI JASOのメンバー紹介
YMJさん:JASO女性メンバー。笑顔が素敵で、辛さを見せない精神力を持つ1児の母。北海道に魅了され数年前に札幌に移住。冬はファットバイクなどで雪原を旅する強者。
USKさん:JASOのムードメーカー。プロトレイルランナー(サロモンアスリート)、最近独立しLibra Blue Sheepの代表。北海道・札幌を拠点に、選手活動と共に、道内のトレイルランニング普及活動にいそしむ。
NOTさん:前回teamKOKAJIの優勝メンバー。現役自衛官でありメインナビゲーター。昨年鬼軍曹にナビゲーションのセンスがあると言われた逸材。
私(山中):チームキャプテン。メインスポンサーである小鍛冶組の専務。ウルトラ系ランナー。JASOではサブナビゲーター。

2.羊蹄山は序盤の“ジョ”

スタートして羊蹄山登山道(比羅夫コース)まではロードで約5~6km。ペースはキロ5分半くらい。チーム皆走れるメンバーなので、なんてことないペース。が、しかし、調子がおかしい。。。心拍数を確認すると150bpmを超えている。。。

「ちょっと高いなぁ・・・」

すかさず、メンバーにこの状況を伝え、若干ペースを落としてもらうが、気づけばトップ。

2021年7月3日(土)午後0時41分。CP1の登山口に到着した。

ここで、私のファーストエイドキットをNOTさんに移し、スタートした。

USKさんが先頭でチームを引っ張った。2番手が私で、3番手がYMJさん、シンガリはNOTさん。ドラクエ3的に言うと、武闘家-勇者-僧侶-賢者(戦士系)の並び。

30分くらい経過しただろうか?

体調はみるみる悪くなっていく。ペースを落とすようにお願いし、3合目、4合目で休憩する始末。あっさり、teamKOKAJI LEGEND(以下、LEGENDチーム)、蝦夷モモンガ123(以下、蝦夷モモンガ)に抜かれ、Sleeping Sheepにも追いつかれる。

完全に寝不足、エネルギー不足、気温上昇などにより、熱中症となってしまった。

その状況を見かねて、USKさんが私のザックを持ってくれるとの提案をしてくれたので、すかさずお願いした。

また、NOTさんからは「ヘルメットは頭に熱がこもるから脱いだ方がよい」とアドバイスをくれ、その通りに脱ぎ、私のヘルメットをNOTさんが持ってくれた。

そして、私とUSKさんが入れ替わり、私を先頭にすることで、私のペースで進むこととなった。

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私自身は、身軽になり、だいぶ楽になった。これ全然違います!

アドベンチャーレース初心者の心得(その3)
『最も遅いメンバーがチームスピードを支配する。遅いメンバーの荷物は全力で軽くし、その人を先頭(又は2番手)にすべし!』

3合目、4合目で小休憩をし、そして、5合目では、10分程休憩した。

スタート時に与えられたミッション。5合目を地図上にプロットすること。
もはや、よくわからなくなっていた。地図を見て登っても正直よくわからない。

後に、田中正人さんがアワードパーティで「私なら高度計を使う」と言っていた。それで良かったんだと若干拍子抜けした(笑)

私たちはというと、USKさんが、最近、十勝岳に行った際に、最新SUNTOの高度計の誤差がほぼ無いとのことだったので、完全にそこに依拠した。

5合目では下山中のハイカーさん達との会話を楽しむUSKさん。飴、干し芋などなどをどんどん搾取しまう(笑)

私もそれにありつきながら、USKさんのハイカーさんと山を楽しむ姿に感心していた。

レースは競うものであるが、ハイカーさん達には関係ない。人によっては登山道を荒らす無法者と思う人達もいたりする。レースに集中することも大切であるが、ニセコの大自然をつかって、我々はこんな冒険をやっているということを伝えることは実は大切なことなのではと思ったりもした。

アドベンチャーレース初心者の心得(その4)
『レースも大切だが、ハイカーさんとの会話も楽しむべし』

標高が上がっていくにつれ、気温も下がってきて、私の体調もだいぶ回復してきたが、8合目でも休憩。そこで、USKさんからありがたくも厳しい一言を頂く。「山中さん、序盤も”ジョ”ですよ(笑)」。なかなか心にグサッと刺さる一言であった。

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2021年7月3日(土)午後3時29分。スタートから3時間半、何とか山頂に到着した。

NOTさんは、突然、火口方面に下りていき、私のヘルメットに残雪をこんもり入れてきてくれた。

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みんなが私のために、私の回復のために、動いてくれることにとても感謝しかなく、良いメンバーとこの山頂の景色を眺められたことをありがたく思った。

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山頂で運営の方にパスポートを渡し、座り込みながら残雪でカラダを冷ましていると、ここでも、USKさんから「山中さん、まだここ、序盤の“ジョ”ですよ!(笑)」と再びグサり。

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今日のところは仕方ない。。。この借りはいつか返す!!

冗談はさており、大切なことは、回復に努めること、エネルギーをしっかり補給すること。気持ち悪いからといって食べないと悪化するだけである。何でもいいのでエネルギーを補給できる方法を考えるべきである。

アドベンチャーレース初心者の心得(その5)
『体調を回復させるために、食欲が無くても食べろ!メンバーが急いでいても休め!そして自身の回復を信じるべし!』

とにかく、前半戦のメインディッシュはこれで終了。
この先の回復を信じて、下山開始。

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CP2羊蹄山山頂時点での順位
トップ LEGEND 2時間58分
2位 蝦夷モモンガ 3時間3分(トップと5分差)
3位 JASO 3時間29分(トップと31分差)

この先、どんなドラマが待ち受けているのか?

気になる方は第2章もご覧ください^^

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なお、これより先に記事はありません。


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