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傷の向こう側にあるもの

国立新美術館で開催されている展示
「DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに」へ。

作家の宮永愛子さんと港千尋さんのトークイベント「かわる景色」も拝聴。

宮永愛子さんのことは、山本貴光さんのご著書『投壜通信』の装丁をきっかけに教えてもらった。トークイベントでは宮永さんのこれまでの作品や制作過程、旅の記録まで、スライドショーを通して知ることができた。

展示作品の《景色のはじまり》を制作している時に、あの東日本大震災が起こったそうだ。不安な日々の中、迷いや葛藤を抱えながら作り続けた作品は、何万もの金木犀の葉で繋げられ、繊細なレースカーテンのような姿をしている。震災の恐怖を乗り越え、美しく透き通り、生命の、すべてのモノの繋がりが感じられるものであった。

港千尋さんは、作品に光を感じたと仰っていた。

私が多摩美術大学4年生の時の恩師でもある港さん。沢山の言葉を交わすことはできなかったが、少しだけご挨拶をした。

傷ついていた。誰もがみんな傷つけられるし、傷つけもする。傷の向こう側に、いったい何があるのだろうか。

できることなら優しくありたい。そう思わずにはいられなかった。

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宮永愛子《景色のはじまり》

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