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炎上猫

オーブンで猫を飼っている。

家に帰ってきたら、まず猫を焼く。オーブンから取り出した猫は焼けただれ異臭を放つ。嫌な気分だ。

焼け焦げた猫の毛は黒くガサガサしていて、抱く気にもならない。

今日の会議で絶対自分の意見を通したいと思うときは、炎上猫を武装して出社する。電車は毎朝混んでいるので、着ている服の材質にもよるのだが、炎上猫が当たって両隣の人たちの肩から腕にかけて汚らしくすすけている。彼らは顔を歪ませてチッと舌打ちをする。

会議ではどうせ自分の案は通らず、いつものように上司の独りよがりな案で決まるに違いない。上司のクソみたいな企画であっちこっち走りまわるのはごめんだ。それならば自分でやればいいんだよ。明日確認するといってさっさと帰りやがって。こちらは終電逃して朝まで作業だ。こんなの作って何になんだよ。

炎上猫はギャーギャーと泣き叫ぶ。
炎上猫は嫌なことを思い出させる。
炎上猫は嫌な気持ちにさせる。
炎上猫は良くないし、文字だけなのに猫に申し訳ない。
かわいそうなことをした。

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