ルサンチマン

ルサンチマンと語学

語学ビジネス、語学ファッション

語学ビジネスが流行っています。これはいつでもそうです10年前もそうでした。その業態は少しづつ変わっていますけど。また、ファッションのように語学を始める方も多い。TOEICや英検などを”肩書き”として求めている。

語学にお金を使うことは否定するつもりもありません。自己投資の一環として、語学はリターンが堅い方だと思います。英語が話せるとカッコイイですしね。

ルサンチマンを生み出すビジネス

ビジネスというのは、私たちにルサンチマンを抱かせることで売り上げを上げようとします。

ルサンチマン
主に弱者が強者に対して、「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つことをいう。「ル」をフランス語の定冠詞 le と誤解して「ル・サンチマン」と表記する者がいるが、誤りである。 デンマークの思想家セーレン・キェルケゴールが想定した哲学上の概念である。(Wikipedia参照)

劣等感を抱かせることで、「それが欲しい」「手に入れて劣等感を克服したい」と思わせる。マーケティング。広告というのはそういう側面があります。「もっと美しくあるべきだ」「ハゲは恥ずかしいものだ」「高級時計をしていないと舐められる」という広告によって、多くの人がルサンチマンを抱き、そのストレスを解消するために購買に向かうのです。

「英語も話せないの?」

SNSはルサンチマン製造機

スマホで一日中SNSを見ていると、このような広告に触れる時間が必然的に長くなります。だから、私たちは無意識のうちにこのようなルサンチマンを生み出そうとする広告の影響を受けています。SNSはまさにルサンチマン製造機。このスマホに依存する率が高いのがまだ多感な思春期の若者だということは、影響がとても高い。いい意味でも悪い意味でも。だから、情報の裏の顔を見定めるリテラシーがどんどん重要になってきます。

語学を貶める人々

このようなルサンチマンをもって英語の勉強に励み、やがて話せるようになる人もいます。これは素晴らしいと思う。ルサンチマンが駆動力になってくれることも多々あります。これは事実。そして、英語が話せるようになって世界が思わず広がることもありますから。しかし希望を言えば、ルサンチマンのようなマイナスのエネルギーではなくて、英語の価値を知りそれを手に入れたいと願うプラスのエネルギーを上手く生かすことができないのでしょうか。

また、ルサンチマンは副作用として、以下のような人を生み出します。

「英語なんて価値がない。自動翻訳機があるから。広告に騙されるな!母語が軽視されてしまう。英語排斥運動をしよう!」

という人々。これも違うんだよなあ。世の中には何かと批判したりやっかみを言う人々が大勢います。質の悪い野党みたいな人。そうではなくて、言語の世界を広げることに価値を見出す人が語学をすればいい。ただそれだけなんだと思います。英語が過剰にファッション化されることに違和感を抱きつつ、でも世界共通語として英語を使えるようになった時の得られる恩恵が大変に大きいという事実を知っておくこと。

ルサンチマンは劇薬のようなもの

この辺りのバランス感覚がなぜ重要かというと、そのバランスが取れていないと語学の継続が難しいと思うんです。

自分自身が語学を極めていくことに納得していることが大事だと思うんです。流行しているから、会社の同僚がみんなやっているから、だからやる。ルサンチマンに駆動されたエネルギーは一時の最大パワーが出たとしても、それを継続するには劇薬を飲み続けないといけません。多くの人は夢から覚めたようにやがて語学をやめてしまうのです。それって、悲しくないでしょうか。

他者否定による自己肯定ではなくて、自分がしたいと思うからする。だから継続するのです。素直な自己欲求に根ざした語学を私は最大限に推進したい。素直な自己欲求というのは広告からは育まれません。自分の内面から湧き上がるものです。

あなたはなぜ、英語を勉強したいのですか?それはあなたの本当にしたいことですか?もし「はい」と答えるのならば、私はこう言いたい。「言語の世界が広がり言語の壁が崩壊した先の世界はそれは素晴らしいですよ。絶対に面白いですよ。」。そう伝えたいです。

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