2024年6月の読書記録

読書記録ルール
・1ヶ月分を月末または翌月初頭に上げる。
・紙、電子、Audible含む。マンガは除く。
・熟読を求めない。流し読み/抜粋読みでも自分が読んだと思えればOK。
・とりあえずタイトルと作者のみでOK。感想は無理しない。

【教養・実用】

ヒロシマ・ノート 大江健三郎
はじめて読みました。かの大江が戦後間もない(と言っていいでしょう)、1960年代前後に広島を訪れた際の記録です。原爆の爆風と放射線による直接的な後遺症で苦しみ、死に至る方がまだまだ多かった時代。大江の冷徹な文章は人類に何を訴えているのか。
「この人間の世界について、善悪二元論とでもいうべき考え方を適用する人たちは、すでに数多くないだろう。それは滅びてしまった流行だ」と本書に書いた大江。世界は真逆の方向に向かっているように見えますが。
必読。


私は元気です 病める時も健やかなる時も腐る時もイキる時も泣いた時も病める時も。後藤邑子
Audibleで拝聴。声優・後藤邑子さんの自伝的・闘病譚的エッセイを、後藤さんご自身が朗読するという豪華な企画。Audibleでは、アニメでもおなじみの有名声優さんが朗読されている本も増えてきました。
後藤さんが病気で療養されていたことは存じておりましたが、そんな過去があったとは。


体に悪い、悪くない、ホントはどっち? ジョージ・ザイダン
新・幕末史 グローバル・ヒストリーで読み解く列強vs日本 NHKスペシャル取材班
古代アメリカ文明 マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像 青山和夫、井上幸孝、坂井正人、大平秀一
パパいや、めろん 海猫沢めろん
使える新書 斎藤 哲也
使える新書2 斎藤 哲也


【小説】

月の影 影の海(上下)小野不由美
十二国記シリーズ第1作は壮大なるプロローグ。
わりと楽しく読めたけど……なんだかファンタジーって苦手な感覚がぬぐえないところはある。妻が読め読めうるさいので(笑)、次巻も読み始めています。


成瀬は信じた道をいく 宮島未奈
成瀬シリーズ2作目。今回も面白い! おすすめ。じわじわと仲間が増えていく展開がおかしくて愛おしい。作者のインタビューによれば3作目で終わる予定と。コミカライズも連載中です(くらげバンチ)。


歌われなかった海賊へ 逢坂冬馬
人類最悪の絶滅惨禍・独ソ戦を描いた『同志少女よ、敵を撃て』がデビュー作ながら本屋大賞、直木賞候補などに挙がった注目の作家・逢坂の2作目。舞台は終戦の近い1944年、ナチ支配下のドイツ。エーデルヴァイス海賊団を名乗る反ナチ少年団が、当局の目をあざむきつつ義勇的な活動に身をつくす序盤もさることながら、彼らが強制収容所を発見し、そこに至る線路を爆破しようと試みる中盤以降の迫力ある戦闘シーンまで、息をつかせぬ展開が続きます。同志少女よとはまた違った趣の本書。ぜひ合わせて読んでいただきたい。


あきらめる 山崎ナオコーラ
『人のセックスを笑うな』はかなり昔に読んだような。山崎ナオコーラ。コーラが好きなのかな。
火星への移住が現実となった近未来の日本。というとSF作品のようだけれど、本筋はそこではない。ジェンダー、有害な男らしさ(Toxic Masculinity)、児童虐待……日常にはびこる、かつては「当たり前」とみなされた不都合の数々がつねに意識され、議論の俎上にのぼる世界。配慮、配慮、配慮。少し窮屈でもあり、一方でやはりこうあらねばという相反する気持ちもわいてくる。
子どもに暴力を振るった(実際にはほんの軽く押しただけであったが)登場人物が、タイトルにつながるセリフを吐くシーンが印象に残る。
「あきらめるからこそ、二度と暴力を振るわないことが可能になると思うんです。自分が感情をコントロールできる人間だと驕らずに、考えて考えて、『暴力を振るわない』をします」
これは諦観ではない。自覚と受容だと思う。


城 フランツ・カフカ
今年、2024年が没後100年にあたるカフカ。いっちょ『城』でも読むかと思って読み始めたものの……「!?????」
なんだこれ。理解の範疇を完全にこえる。あらすじとしては、とある村にやってきた測量士の「K」が、仕事の依頼主がいるはずの城にいつになっても入れてもらえず、そのへんの村人と口論したり、村娘とねんごろになったりして、結局「城」に入れずじまいっていう話なんだけど、セリフがいちいちぐだぐだぐだぐだ、くどくて、なっっっがい! 解説文、感想文を読んでも分からない。この小説自体が城なのか? そんな陳腐なメタファーすら容易に受け付けないような難解な小説です。
『変身』が有名なカフカには3つの長編があるとのこと。『城』『審判』『失踪者』。短編や日記のほうが読みよい、らしい。


【雑誌】

小説新潮 2024年5月号
文學界 2024年6月号
群像 2024年6月号
世界 2024年4月号
流し読みですが。図書館で『世界』とか『中央公論』『正論』とかもぱらぱらめくってます。


2024年通算、106冊。



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