2022春アニメ感想・前編
パリピ孔明、サマータイムレンダ、スパイファミリーと、原作読んで楽しみにしていた作品もいくつかあれど、そういう「原作ファン」として見るアニメは、原作とアニメの相違点や、解釈違いの点に目が行ってああだこうだ文句も垂れたくなりますから、本当は、原作なしのオリジナルアニメや、原作を読んでいない作品、その中でも原作のよさを生かしつつさらに高度に洗練されたアニメ化作品を見たい、と思うものです。
冬アニメの着せ恋と明日ちゃんは最高の出会いでしたが、そういう意味では、今期、純粋にアニメとして楽しめた作品は少なかったかな、と。
であいもんくらいかな。
であいもん。ヤングエース連載、既刊13巻。アニメでやる内容じゃねぇだろ、これ朝ドラだろ、と言いたくなるような、ところどころずしりと重たい鬱々展開もありつつの、全体としては、明るい無自覚モテ男の30代男子・和(なごむ)さんと、息をするように吐く毒とジト目の印象的な小学生・一果(いつか)ちゃんの年の差バディ・ダブル主人公が、京都の和菓子屋といういかにもな舞台設定でうまく躍っていて、ふんわりとやわらかなキャラデザと相まって、いつまでも見ていたくなるような仕上げりになっておりました。OPとEDも最高レベル。
横で見ていた妻が「あなたこういうの好きね」とつぶやいておりました。そうね、こういうの好きだね、たしかに。マンガの「味噌汁でカンパイ」とかも似たような系統なのかね。やさしい登場人物たちが、命のはかなさや、どうしようもなく避けがたい理不尽にさらされながらも、目の前の小さな幸せを大事に胸にうずめるような。そこに、何かワンテーマ。本作であれば「和菓子」を一定以上のリアリティをもって組み込んでもらって。そうすればもう合格点ですよ。
互いにフラれたと勘違いしている元カノ・佳乃子さんと、和に恋心を抱く女子高生・美弦(みつる)ちゃんとの関係性も素敵(?)ですね。王道的には一果ちゃんが横からかっさらうんだけど、さすがに年齢差があるかな。原作マンガ、少しずつ読ませてもらいますね。
キャラデザ・いもさん。かわいい絵よの。覚えましたぞ。
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今期、パリピ孔明という作品が日の目を見てよかったな、と思います。PA WORKSもよく本作を選んでくれたなと。慧眼。原作を少しでも読んでもらったら分かりますが、面白いけど尖ってるんですよね。
もとは講談社のマンガアプリ・コミックデイズのオリジナル作品で、絵もだいぶ独特な感じで、タイトルもお話もかなり尖ってる。原作ものはほとんどやらないPAがあえて選ぶような作品でもないだろうと。でも出来上がってみれば、関口さんのキャラデザは本作の原作絵に絶妙にマッチしているし、気合の入った歌唱シーン、美麗な背景はさすがのPA。多少テンポ悪い部分があったのは尺の問題かな。最近アニメ界で流行りの「ラップバトル」も正直分からないのでアレだけど。なんというか、わけの分からなさも含めて楽しめる作品。分からなくてもいいんですよ。孔明だから万事OK。万事解決。
あらためて、1話、最高でしたね。挫折した英子ちゃんのもとへ謎の(謎過ぎる笑)軍師が登場し、互いが互いを支え、補い合う展開はお見事。
最終回への流れは強引にも思えましたが、歌・音楽でねじ伏せる展開は嫌いじゃないよ。実際素晴らしい歌でしたし。ミュージカル的な要素もあるのかね。
原作はヤングマガジンへ移籍して今も続いています。変わらずキレてますよ。
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キレといえばかぐや様ね。3期となった今回もキレッキレでしたね。
ええっと……でも今回何があったっけ? 原作も読んでるし、もう時系列が分からん。最後のハートの風船わーってやってチュッチュするので全部吹っ飛んでしまった 笑
あぁラップバトルか。これも原作屈指の名回(迷回)でしたが、パリピ孔明とかぶりましたね。アニメであそこまでド変態的に描くとは。エンディングも特殊エンディングで意味分からんやつでした。
本作って感想書くの難しくないですか。原作がもともと一風変わった趣向のおかしめな作品ですので、そこをしっかり「楽しむ」には一定期間見続ける必要がある。チューニング合わせるの難しいですよね。あえて言えば「関係性」を楽しむ作品かな。かぐや・会長もそうだけど、石上・ミコちゃんや、かぐや・石上、かぐや・早坂、ミコちゃん・大仏さん、などなど、多彩な関係軸が、本作をメッシュ状に覆っていて、そのひとつひとつを考察し、感情移入していくと、本作の奥行きを感じられて「楽しむ」ことができるのかな、と。あ、今期はマキちゃんもしっかり掘り下げられててよかったな。書記ちゃんの存在意義よ……
さっそく続編製作が発表されて、さすがの愛され作品だなと思います。映画とかじゃなくて4期、ですよね? たぶん。ふつうに考えれば来年にはやりそうだけど。推しの子のアニメと同時期になりそうですね。
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今日はこのへんで。明日「後編」を上げるつもりです。