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男が箱から取り出したのは黒いタバコだった。シュッとライターで火をつけると、わずかに甘い…
地元の小さな書店の店員として働いている僕に、とある本を探している、と尋ねてきたのが彼女だ…
「23時50分になると星座の間に美しい亡霊が現れる」 とあるVRダンスフロアに伝わる噂。もちろ…
リリカは嘘をつくとき耳が赤くなる。本人は気付いていないのかもしれないけれど、そういうと…
小さい頃から夢の中で遊ぶのが好きだった。明晰夢とも言ったりするが、夢であることを自覚し…
「アンドロイドの占い師?」 「そう、すごく当たるって有名らしいの」 同僚たちが噂する彼を私…
ここは繁華街の片隅にあるキャバクラ「800」。15人のホステスが務める小さな店だ。ここの特徴は何といってもメニュー。ドリンクメニューの裏側に、こんな項目がある。 『会社の上司と部下』、『高校の先輩と後輩』、『幼馴染』などなど。客はドリンク一杯につきシチュエーションも一緒に注文して、ホステスと二人でなりきって会話を楽しむのだ。 「ナツキちゃん、次5番テーブルね。シチュは『お兄ちゃんと妹』だから。」 店長である俺はメモを片手にホステスの子に耳打ちする。 「えっ、マジで? 妹役苦
ライターの私は頭を抱えた。締め切りが明日へと迫っているのに、原稿が白紙なのだ。ああ、こ…
由衣は明るくてやることが豪快で気まぐれな性格だった。そんな彼女が素敵に思えて付き合った…
「ミディ、救難信号を送って」 『リリア、今日は既に二度も送っています』 神殿の奥で私はスマ…
「ネルウス、明日の予定は?」 「10時に全体会議、12時にランチミーティング、15時にアポが一…
待合室から新幹線のホームへ移るとまだ肌寒かった。桜前線はいま埼玉を抜けたあたりらしいか…
「では教科書128ページを開いて」 生徒達はタブレット型の教科書でページを捲った。 「前回はA…
オーロラを飼うことにした、と友人から連絡があった。珍しいものを飼うものだ、と早速自宅に見に行かせてもらうことにした。 「ほら見て、これが地球」 暗幕をかけられた部屋の中心に浮いている青っぽい球体がそうなのだという。 「え、お前これのために部屋用意したの?」 「専用の飼育ボックスもあるんだけど部屋でも飼えるっていうからさ。どうせ部屋余ってたし、いいかなーって」 「ふーん、この地球いま何歳?」 「うーん、まだ5億歳だから、原始生命が誕生したくらい?」 「意外と成長早いんだな」