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空き家問題の本質 500兆円はどこへ?

一言で言うと、「空き家問題の本質は家が寒いことが原因だ。」

日本では2018年時点で849万戸、世帯数に占める割合で13.6%、つまり7件に1件は空き家になっている。簡単にいうと作り過ぎているのである。これだけ余っているのに、年間で82万戸(2020年)作っている。住宅の着工件数で景気を測るとはいうものの、完全に政策が破綻している。簡単にいうと作り過ぎてしまっているのだ。

需要と供給という点では作り過ぎているので余る。余ると値崩れを起こす。地方都市では、人口減少をなんとか食い止めようと新築の住宅を郊外に建てて良いとする。しかし、その結果、都市部がスプロールしてしまって、都市のインフラコストがどんどん増えていってしまう。

ここにグラフがある。これはリノベーション関係者にはあまりにも有名なグラフ。500兆円の価値毀損があるというグラフである。アメリカと日本は住宅政策に関していて、似ていて個人の消費を喚起しながら、ストックを積み上げてきた。日本では中古の住宅は価値がなくって、投資額にみあったストックになっていない。アメリカの住宅は投資以上に価値が高まっていっているということ。さて、日本の住宅は作ったら作りっぱなしでメンテナンスが行き届かず、どんどんだめになっていく。そして、新しいものがどんどん造られるから、そちらに引っ越していってしまう。もちろん、高齢化社会の問題もある。地方に住んでいる親がいる一方で、子供たちがそれぞれの持ち家を持つ。実家が余ってしまって、それが空き家になる。

さて、そのようなサイクルは健全ではない。空き家を作るために、新築を作って、価値がないから、ローンを組んで建てた人は、働いてローンを返した後には無価値なものが残っている。とんだ負のスパイラルである。戦後の復興期であれば、なんとか安く、ローンが組める人が建てるとりあえずの家でもよかったのかもしれない。しかし、すでに成熟社会。空き家が7軒に1軒という状況だ。ちゃんと資産価値がキープできるものを建てて、それを流通させていく意味がある。

資産価値がキープできる=ちゃんとした暖かい家だと思う。高断熱高気密住宅は「価値が目減りしにくい家」とも言える。空き家問題の本質はペラペラな寒い家だということだ。この問題は鶏と卵のような話。少しずつでも変えていかなくてはいけない。

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