太陽光発電の誤解

これはボイシーでも話したことだが、東京都の太陽光発電義務化に関して、あまりにも誤解が多いので、メモとしてもここに記す。

まず、国の方針を確認しておこう。
国は2050年脱炭素を掲げた。つまり、その時点では石炭火力発電は使っていないし、ガソリンで走るクルマも無くなっている。アンモニアを入れたとしても、それは脱炭素にはなっていない。ハイブリッドのクルマも過ぎ去った過去のモノとなっていることを意味する。

先日、G7の閣僚会議で、2035年に石炭火力の全廃が合意されており、それに対して、萩生田経済産業大臣は、日本のロードマップどおりと強弁したが、本当にそれができる計画になっているかは検証が必要である。本来なら詳しいロードマップを持って示すべきことだと考える。
(さてさて、この辺は石炭火力の話になるので、この 原稿内では脱線気味だ。)

一方、脱炭素に向けた動きの中で、2℃以内を1.5℃以内にする動きが求められているが、日本は国としての各施策の前倒しを明言していない。(できていない。)現在は、ロシアのウクライナ侵攻により各国ともバタバタしているので、特に言及されていないが、これを機に一気に脱炭素の流れが加速することが予測され、そうなった時の矛先は確実に日本に向けられることが予想される。たとえば、石炭火力に対する投資が温暖化対策のブレーキになると考えられれば、そのこと自体が訴訟問題あるいはダイベストメントにつながる恐れがある。日本の国内で考えられているより、急速にかつ厳しい対応が求められているのである。

2021年にまとめられたエネルギー基本計画では、2030年までに住宅分野で66%の削減、業務(住宅以外の建築物)では51%の削減が言われているが、これは国土交通省などの合意を受けている前提だろうが、この厳しい目標を達成するための具体的な政策は作られていない。一方、国土交通省、経済産業省、環境省で構成された「脱炭素に向けた住宅・建築物の省エネ等に関するあり方検討会」のロードマップで、「2030年には新築戸建の住宅の60%に太陽光発電(以下PVと略す)が載っている状態にする」と載せている。それに対する具体的な施策はまだないが、この分野における責任省庁は国土交通省であることが、確認された上、報告書にもその文言がある。
以上が国の動きである。さて、いくつかテーマごとに書いていこう。

【義務化求められるレベルはどのくらい?】
大手事業者の供給量の85%に2kWあたりの義務を課している。85%がフルに積めないのが前提になっている。だから、会社の判断で場所を選ぶことができる。建築側から言うと5kWくらいを積むのが一般的である。その理由は、太陽光発電のパワコン(直流電源を交流に変える装置)につなげる形になる。となると載せる総量は0.85x0.4=0.34 つまり、着工数の34%で良いことになる。東京都の義務化のレベルは大手の会社対象である。

【これにより家が高くなるというけど、どのくらい?】
5kW載せるとすると大体100万円以下でできる。おそらく、大量に仕入れる人たちはもっと安く調達できる。世田谷区の役所に載せる太陽光発電が最近でもkWあたり100万円ぐらいだったがなんでそうなの?と言うレベルである。(これ本当に社会問題です。)
【中国のパネル買うのはどうなの?】
ちなみに日本の貿易国、輸出入とも一位は中国である。日本でも、ドイツでも世界中のどこでもこのパネルを買っている。日本のパネルは価格競争力がなかったと言うことである。ただ、これに関しては、中国が国策として推し進めてきている一方、国内の再生可能エネルギーを推進してこなかったと言う問題もあるはず。

【ウイグルの人権問題との関連】
ウイグルのポリシリコンは太陽光パネルだけではなく、自動車や電子機器にも使われているから、これだけを別に取り出すのはフェアではない。シリコンは半導体に使われている。太陽光だけではなく、中国の半導体に関して、取引しないと言うのは現時点でちょっとフェアな見方だと思えない。

【中国のトップはすでに日本より進んでいる。】
中国には、日本にはまだ少ししかないパッシブハウスが20万㎡を超えてある。中国も2060年までの脱炭素化を目指している。トップの意向で動く国は動き出すと速いのです。日本は断熱の基準も相当低いし、色んな点で問題がある。

【原発って本当に動かせるの?】
現在動いている原発は関西を中心に9個、他に検査合格しているものが5個。他はまだ合格をしていない。原発の一番の問題は、使用済み核燃料を保管しておく場所がないと言う点。また、今回のロシアが原発を狙ったように、防衛上の問題も大きい。
泊原発が安全基準が十分ではないと差止めされたばかり。残りを全部動かしても、日本の総エネルギーの8%にしかならず、これが動いても電気代は下がらない。(燃料調整費とは連動しない。)
そんなものの現状把握ができていない今、コストが合わない原発の将来を考えるべき時に来ている。

【省エネルギーの可能性】
省エネルギーは採掘地でも差別もうまず、住む人は健康になる。これをやらない手はない。今までじゃぶじゃぶの雑巾だけに絞れば絞れるのが実態。

【再生可能エネルギーの分散性と主体の問題】
メガソーラーを地方で国が建てれば良いと言う意見は全く無責任。そもそももうメガソーラーを作れるところはあまりない。森林を切ってまでする必要はない。また、メガソーラーは投資家が行う営利事業である。海外の投資家がFIT価格で儲けようと作ったもの。トラブルが多いのは儲かったあとは、あとは野となれ、山となれという無責任だから。再生可能エネルギーは本来、分散型エネルギーその特性を活かし、屋根に載せれば、系統への負担もなくなる全く問題の施策であると言える。

色々誤解が多いので、NOTEにまとめてみた。

ぜひご参照ください。

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