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鬱p 全アルバムディスクレビュー

ご無沙汰です

今回僕の一番好きなボカロP、鬱pさんのニューアルバムのリリースが決定したので今までの振り返り的な感じでこれを書くに至りました。

え、ボカロ聴くの?って思うかもしれないけど中学校3年間はほぼメタルはお休みしてボカロに音楽捧げてました笑。中一の時に部活の友達に千本桜を勧められて以来メタルしか聴いてこなかった俺はキャッチーさとその世界観に衝撃を受けたわけです。

そんなかんだで13歳の夏、いつものようにボカロdigをしていた訳ですがそこでたまたま聴いた鬱pさんの「え」という曲をきっかけにボーカロイドでもメタルチックな曲があるのか?!って驚いてそれ以来全ての楽器をチェックするようになりました。丁度その時「悪巫山戯」というアルバムのリリース時期が被っており始めて聴いた「え」もそれに収録されています。

鬱pさんの楽器は直接的に自分のバンドに影響はしていないものの曲構成、メロディ、世界観共に間違いなく自分の中の大きな1ページです。でもボーカロイドのアルバムだからか中々ロックやメタルの様にディスクレビューをしている人がいないので自分なりに紹介していこうと思います!

※ボーカロイド作品のみレビューをしていきます

鬱pさん プロフィール

鬱P(Utsu-P)

1990/12/1生 名古屋市出身 世田谷区在住
A型
 
2008年6月より活動開始。
VOCALOIDでの表現が難しいとされるシャウトやグロウルなどを多用する過激な調教や、極端に低くチューニングされたギターによるラウドロックサウンド、それと相反するキャッチーで歌謡的なメロディが特徴。
 
2013年からDJ活動開始、2015年におはようございますというバンドを結成。2019年よりアイドルグループ「Zsasz」立ち上げ。

1st EP 「DOLL e.p.」

2008年

1.ドール
2.dope disco
3.クビククリ•モンスター
4.華

最初にリリースされた音源は100枚限定リリースだそうで今は入手するのは困難みたいです。4曲という限られたトラック数の中でも鬱pワールド全開で素晴らしい作品です。美しいバイオリンのイントロからのブラストビートで突進、叙情的なサビへと展開を見せる名曲「ドール」から始まりミドルテンポながら不気味さと美しさのハーモニーがたまらない「dope disco」へと続く。さらにリズミカルな「クビククリ•モンスター」も鬱p節を繰り広げながらもボーカロイドならではのキャッチーさがあって魅力的です。さらに4曲目の「華」はスピーディーなツービートからのビートダウンパートがハードコアファンの心を掴む…そこに入る不穏なピアノもいい味を出していて最高です。今作は4曲とも揃って不気味さと美しさがいい感じに混ざり合っていてとても18歳で作ったとは思えない作品でした!

オススメトラック 1.2
オススメ度
★★★

1st Album 「DIARRHEA」

2009年

1.ぽいずん⭐︎あっぷる
2.骸Attack!!
3.アンチ•デジタリズム
4.メランコリー豪雨
5.シューゲイズ•ライブ
6.かくさしゃかい
7.イニシアチブ
8.ようこそ恋愛病院へ
9.SHIRONOIR
10.Psychokinesis
11.DIARRHEA
12.鳥葬
13.自爆

10代でボーカロイドを使いこの作品を生み出したと言うことは天才以外の言葉が見つからないです!ミクのスクリームは今ほど完成したものではありませんが十分パッションが伝わりメタル×ボーカロイドという形に仕上がっています。チューニングもこの時期からドロップBやドロップAでヘヴィな楽曲揃いです。鬱pアルバムお馴染みの「1曲目は激しい」はここから始まります。疾走ナンバーの「ぽいずん⭐︎あっぷる」から幕を開け、今もなお鬱pさんの代表曲となっている「骸Attack!!」のお出まし!グルーヴたっぷりなリフに一度聞いたら口ずさみたくなるサビやブレイクダウンへの持って行き方も名曲としか言いようがない!さらにクリップも出ている「Psychokinesis」は中学時代に鬼リピしまくった思い出の曲でブラストビートやグルーヴパートを使い分けながらこの曲の一番の見せ場でもあるサビへと転調する。なんか中華っぽいと言うか切ないサビからのAメロへの持って行き方は鳥肌物です。タイトルトラック「DIARRHEA」(ダイアリア)もミドルテンポながらもこのアルバムの顔と言えるでしょう。悲しいアルペジオから始まり拳を突き上げたくなるサビへ、さらに2サビ後は表情が変わったかの様なブレイクダウンへの曲進行は喰らいましたね。明るい曲と暗い曲が交差した今では聴くことの出来ない叙情的な曲が詰まった1stアルバム、是非聴いてみてください。

オススメトラック 2.10.11.12
オススメ度
★★★


2nd Album 「TRAUMATIC」



2010年

1.Conspitation Of Death
2.子供の世界
3.オトナのオモチャ
4.The Dying Message
5.公衆便所のスミ
6.Traumatic
7.猿は知らない
8.ブラックショータイム
9.Potato-Head in Wonderland
10.生霊
11.害虫
12.スリープウォーク
13.ドール
14.般若心経ハードコア

2ndアルバムは全メタラー必見!前作よりもリフが洗練されてメタル的アプローチかつボーカロイド的アプローチも計った大作と言えるでしょう。なんと言っても1曲目のインパクトは半端ないです。ツインリードのリフからの疾走、Aメロへの持って行き方はメロイックサインやら拳やらあげるしかないでしょう。4曲目「The Dying Message」は当時は1位2位を争う再生回数であったことを覚えています。開始のリフはメタルコア、ラウドロックファンにはぶっ刺さりでリンの透き通った声とマッチしている叙情的名曲です。またまた代表曲「オトナのオモチャ」や00sメタルコア直系の高速リフが炸裂する「猿は知らない」、Come Clarity期のIn Flames感じる「Potato-Head in Wonderland」、エクストリーム増し増しの「害虫」、再録された「ドール」などメタル感じる曲が多いですね。2016年に再録されたバージョンもあり、リフが違ったりリマスターにより雰囲気が変わっているので聴き比べてみると面白いと思います!

オススメトラック 1.3.4.7.9.10.11
オススメ度 
★★★★



3rd Album 「MOKSHA」

2012年

1.Moksha (emancipation)
2.暴動
3.馬鹿はアノマリーに憧れる
4.再生
5.コロナ
6.ダルマさんが転んだ気がする
7.ディス•イズ•ラブソング
8.しゃよう
9.幸福列車に乗ろう
10.ナナシさんの背比べ
11.解脱
12.ブラックホールアーティスト
13.アレグラ
14.ダイヤに乱れはありません
15.まっしろな毒

個人的に鬱pさんのアルバムはこのアルバムまでが前期、次の「悪巫山戯」を中間としてその次の「ALGORITHM」からを後期だと思ってるんですけどこのアルバムは前期最高傑作だと思っています。シングルカットされても良い名曲が集まった捨て曲なしのアルバムです。アルバムの起承転結がはっきりしていて上手い言葉は見つかりませんがそれぞれの曲が2曲目っぽい、5曲目っぽいと言った曲一つ一つの意味を感じます。シンセを取り入れたダンサブルな「馬鹿はアノマリーに憧れる」、切ないテーマと共に響くリンの歌声が魅力的な「コロナ」、クサメロ、キャッチー過ぎる(褒め言葉)「ディス•イズ•ラブソング」、民族音楽要素満載のタイトルトラック「解脱」、おどろおどろしい雰囲気でダークな「ダイヤに乱れはありません」など全曲解説していたらキリが無いほどの内容です。是非アルバム通して聴いてみて下さい!

オススメトラック 全部
オススメ度
★★★★★


初全国流通 Album 「悪巫山戯」

2013年

1.ニャン黙の了解
2.馬鹿はアノマリーに憧れる
3.害虫
4.Ghost Under The Umbrella
5.え
6.コロナ
7.オトナのオモチャ
8.B-CLASS HEROES
9.看板娘の悪巫山戯
10.骸Attack!!
11.風邪
12.The Dying Message

初の全国流通作!2.3.6.7.10.12曲目以外は以前のアルバムに収録されていたものです。半分ベストアルバム的な位置でもあり新曲も十分に存在感のある曲が揃っているので鬱pをあまり聴いた事ない人はこのアルバムから聴き始めるのがいいと思います!モダンメタルコアナンバーの「ニャン黙の了解」、重いテーマの中にある美しさ、ブレイクダウンが魅力的な「Ghost Under The Umbrella」、単音リフのハモリが綺麗な「え」、鬱pワールドがありながらもボーカロイド特有の味が滲み出ている「B-CLASS HEROES」、ノリノリなダンサブル、キャッチーでZsaszでも歌われている「看板娘の悪巫山戯」、叙情的三拍子かつヘヴィな「風邪」と新曲もボリューム満点で是非初めて聴く人に聴いてほしい1枚です!

オススメトラック 全部
オススメ度
★★★★★


4th Album 「ALGORITHM」

2014年

1.終のファンタジー
2.ベイビー・デスマッチ
3.皆殺しのマジック
4.絶対音楽で踊れ
5.インパーフェクトアニマルズ
6.モンキーダンスの洗脳術
7.チョコレイトオンナノコ
8.Algorithmic Kabukicho
9.P.O.R.N.O
10.CR独特な世界観
11.地獄ポップス
12.宇宙人のアイラブユー
13.Miku Sabbath

さてこのアルバムは私が初めてタワーレコードで手に取ったアルバムでもありとても重入れが深い一番ですがそれを除いても完成度の高いアルバムと言えるでしょう!なんと言っても一番の衝撃がダブステップやハウスミュージックのような近代的シンセ要素を取り入れはじめたのがこのアルバムからということで4曲目の「絶対音楽で踊れ」は衝撃を受けました。独特過ぎるネーミングですが聴けば一発で あ、これは踊らなきゃってなるほどアップテンポかつヘヴィな1曲です。「Algothmic Kabukicho」もシンセ色が強くて全ボカロ好きに届いて欲しい曲ですね。それ以外にも「インパーフェクトアニマルズ」「モンキーダンスの洗脳術」「地獄ポップス」のように今まで通りメタル色が強いキラーチューンも勢揃い。そしてなんといっても「チョコレイトオンナノコ」は今作一のメタリックナンバーで高速ツーバスとサビのツインリードに心打たれます!オススメです。「MOKSHA」レビューにも書きましたが個人的に今作を鬱p後期の始まりだと思う理由は今まで以上なシンセの使い方による近代的、実験音楽的な進歩にあります。だんだんとどの層にも刺さる音楽性へと変化していきとてもワクワクするアルバムでした!

オススメトラック 3.4.5.7.11.13
オススメ度
★★★★


5th Album 「GALAPAGOS」

2017年

1.ガラパゴスで悪いか
2.生きてるおばけは生きている
3.オブラートオブラブ
4.麺屋ぐろてすく
5.食事
6.HIKIZURI
7.未来の夏休み
8.飴ちゃん

キャッチーさは更に増し、このアルバムあたりから再生回数を大きく伸ばしたように思われます。ティーザーを見た時1曲目から度肝抜かれましたね!2分弱の曲ですがアルペジオのイントロからのザックザクなメタルコアリフは卑怯だ!ってずっと言ってました笑。2曲目、4曲目、5曲目はMVが出ており可愛いイラストとへヴィーな楽曲のギャップが素敵だと思います。8曲目はラストにふさわしい夕日を見るようなメロディックな曲調がたまりません!どの曲もキャッチーだけどバックサウンドはメタルバンドポスコアバンドそのものってことで普通のボカロ曲よりも聴いてて気持ちいいことが一番の特徴ですね!今作は今まで鬱pを知らなかった人の入り口に一番適しているかもしれません。なので僕は最初はあんまりと思っていましたが流石鬱pさん、聴けば聴くだけ耳から離れなくなって気付いたらいつのまにか聴いてるってことがあるので皆さんもヘビロテしましょう。

オススメトラック 1.2.3.4.5
オススメ度 
★★★★

6th Album 「RENAISSANCE」

2019年

1.RENAISSANCE
2.The Beautiful Puke
3.ハイパーリアリティショウ
4.お天道様とドブネズミ
5.毒蜘蛛の娘
6.ゴージャスビッグ対談
7.天使だと思っていたのに
8.世界中に笑われても

2019年にリリースされた6th Album、「RENAISSANCE」は活動開始10周年という事もあり今まで以上に洗練されたアルバムとなっています。重低音、そして近未来的でどどんとチューニングを低くしてシンセパートも多用、ミクのラップが聴ける曲も?2曲目「The Beautiful Puke」で気持ちよく疾走した後は「Greatest show on earth〜」のメロディが頭から離れないヘヴィシンセナンバー「ハイパーリアリティショウ」。この曲はYouTube100万回再生を超えておりマジカルミライ2020でも演奏され瞬く間に有名になった曲です。そして前作と同じ匂いのキャッチーなヘヴィボーカロイドナンバー「お天道様とドブネズミ」その後ににたたみかけるダウンチューニングでDjentチックにそしてダークに繰り出される「毒蜘蛛の娘」も魅力的です。そして7曲目の「天使だと思っていたのに」はアプリゲーム「#コンパス 戦闘摂理解析システム」に使われて有名となりました。ダークな歌詞テーマと切ないメロディ、それにうまくマッチしたドロップAの低音、初見新しいアプローチだと感じましたがきちんとモノにしていて説得力を感じました。もう誰が聴いても「これボーカロイド?」「かっこいい!」と思える曲を連発してくる鬱pさんには頭が上がりません。

オススメトラック 3.4.5.7
オススメ度
★★★★★


おわりに

さて、今回は鬱pさんのリリースしてきたアルバムを紹介しました。アルバムメインでEPについては1枚しかレビューしていませんがEPのカップリング曲にも隠れ名曲が沢山眠っているので是非探してみてください!

メタル×ボーカロイドというスタイルを初期の頃から貫き通し、ヘヴィかつキャッチーで人々の心を掴んで来た数少ないボカロpの一人で僕はその中でも群を抜いて一番魅力的なボカロpだと思っています。ニューアルバムの曲もかなり発表されていますがアルバムを通してどのような変化を見せていくのかが見ものですね!

それでは!

鬱g 7th Album 「UNIQUE」
2021年11月10日発売

1.切腹
2.ぬる
3.OGRE
4.ユニークパレード
5.dull
6.PEE PEE PRINCESS
7.デスロウ
8.2000年3月9日 [UNIQUE ver.]
9.ATARI FRONT PROGRAM
10.映えない
11.vivid
12.根腐れ


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