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水道の蛇口にホースをつけるだけと侮るなかれ。進化しているニップル

今回も買ってよかったもの紹介ですが、ちょっとマニアックに水道の蛇口につけるアダプターというか、ニップルです。

株式会社タカギの「ラクロック蛇口アダプター」という商品なのですが、この商品の存在を知っていて購入したのではなく、単にホースリールが古くなったので交換のためにホームセンターでホースリールのセットを購入したらついていたという次第です。
ですが、滅茶苦茶、取り付け易い上に、グッドデザイン賞も受賞したスタイリッシュさも持ち合わせています。

水道の蛇口とホースをつなぐ方法

水道の蛇口につけるニップルと言われてもピンと来ないかもしれませんが、蛇口とホースをつなぐための継ぎ手のような部品です。

水道の蛇口とホースを繋ぐパターンは大きく2種類あるかと思います。
ホースを蛇口に直接差し込み抜けないように止める方法と蛇口側に専用の部品(ニップル)をつけて、ホース側の部品と勘合させる方法です。

ホースを差し込んで止めるタイプ(タカギのHPより)

子供のころからニップルと言えば、写真のような三方向からネジで締めるタイプだと思い込んでいたのですが、順調に進化していたようです。

三方向からネジで止めるニップル(タカギのHPより)

最近のニップル

今回紹介する蛇口を包み込むような「ラクロック蛇口アダプター」に進化しました。工具不要で一瞬でニップルが取り付けられます。
イメージとしては蛇口の曲がった部分に滑り込ませるように差し込んで、レバーを回すだけ。これでちゃんと固定して、水漏れなくホース側の部品と接続できるようになります。

ラクロック蛇口アダプターの取り付け方(タカギのHPより)

「考えた人天才!」と思ったのは、ネジ止めしていた時は水流と直交する垂直方向(水道管の周方向)から力をかけて締めていたものが、水流と同方向(水道管の延伸方向)に力をかけて締めるようになったこと。ものすごく、合理的だと思いました。

グッドデザイン賞の受賞は2021年で、発売が2022年1月だったそうです。

グッドデザイン賞の説明に
「一般的な3本ネジの蛇口ニップルは、取り付けの手間がかかり、使い勝手の悪さが目立ちました。 ~中略~ 金属ネジで蛇口が傷つくことや、取り付け方のわかりづらさなどの課題が残りました。それらの課題を踏まえ、これまで以上の使い勝手とデザインを追求した蛇口ニップルを新たに開発しました。」
とあり、使い勝手の良さとデザインが強調されていますが、まさにその通りだと思います。

特許にみるニップルの進化

せっかくなので、タカギの特許も調べてみましたが、上記の製品(ラクロック)以外の発売している製品についても出願されており順調に進化していました。

つまり、
工具を使ったネジで3方向(水流とは垂直方向)から締める方法、
→ 工具を使わず1方向(水流とは垂直方向)から締める方法
→ 工具を使わず、水流と同一方向に固定する方法 といった感じです。

工具を使わず1方向から締める方法(タカギのHPより)

ちなみに、ラクロック(水流と同一方向に固定する方法)に該当しそうな一番古く基本特許となりそうな特許は、特許第6110550号っぽいです。今回も、メーカから使用している特許技術の発表はないので、「ぽい」という訳です。

この特許は優先権主張をしているので、基礎となる最初の出願日は2016年6月6日。特許登録が2017年3月17日でした。
最初の出願から、発売の2022年1月まで5年近くかかってます。

最初の案以外にも類似の特許が多数出願されていることから、アイディアの修正や、設計や製造過程の作り込みに時間がかかったのでしょうか?
エンジニアの一人としては興味深い点です。

発明としては「順当な進化」といえると思います。

TVのリモコンやマウスなどの箱状のネジも同様で、
古くは4本で角付近を止めていた
→ 2か所は爪にして、残りの2か所をネジ止め
→ 4か所とも爪にして、中央付近の1か所をネジ止め
→ 中央のネジもなくし、ネジゼロ化!! といった具合です。

この「順当な進化」は、最初は10から5とか一気に減らせるのですが、最後の1からゼロが、まあまあ難しいことが多いかと思います。

ですが、ゼロになったら「順当な進化」は終わりなのでしょうか?

耐久性、防水性、コスト、部品点数、廃棄時の分解などなど、付加すべき価値はまだまだあります。もちろん、単純に別機能がつけられると進化はさらに別方向に進むはずです。

今回のニップルで別機能の付加価値ってあるかな?と思いを巡らせたところ、私が欲しい付加価値は、ホースリール内の水を強制的に抜く機能。
ニップルを外してホースリールを移動させる時に無駄に重かったり、ホース内の水が氷る冬になる前には、ホースリールの水を抜いておきたいというのがその理由です。
ニップル部に誘導サイフォンを生じさせるような機能をつけたら出来そうな気も。。。

最後に

たまたまホームセンターに行ったタイミングが良かったか、最新のものを入手できました。

その機能性にびっくりして、過去の製品と特許を調べてみたのですが、ばっちり進化していました。

タカギさん!次の進化も、よろしくお願いいたします!!


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