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シンガポール住民の半数近くが「経済的自由を達成できない」と感じていることについて

 お金を稼ぐための国シンガポールで、シンガポール市民(帰化した者も含め)と永住者のリアルが垣間見える記事を発見した。

 シンガポールの住民の約44%が、現在の経済状況では「経済的自由を達成できない」と考えていることが、調査によって明らかになった。調査対象となった3,000人のうち、29%が「経済的自由を達成できる」と回答し、27%は「すでに達成している」と答えたが、残りの44%は「決して達成できない」と考えている。
 経済的自由を達成できないと感じる主な理由として、回答者は「収入不足」、「予期せぬ個人的または健康上の問題」、および「雇用の不安定さ」を挙げている。
 この調査は、Singlifeが実施した「第2回経済的自由指数」に基づくもので、2024年4月から6月にかけて、18歳から65歳のシンガポール市民および永住者3,000人を対象にオンラインで行われた。2024年の指数スコアは100点満点中58点で、2023年の60点からやや低下している。
 特にインフレ、老後の貯蓄不足、医療費の支払いに対する不安が大きなストレス要因となっており、44%の人が「子供を持つことで経済的自由が遅れる」と考えている。多くの人は、子供を育てるためには50万Sドル以上が必要だと見積もっており、経済的自由を達成するためには現金で約61万2,000Sドルが必要だと考えている
 また、調査対象者の80%が65歳までに引退を目指しており、快適に生活するためには月々2,856Sドルが必要だと考えている。さらに、回答者の約20%は、生活費の低さや穏やかな生活環境を理由に、マレーシアやオーストラリアなど海外での引退を希望しているという。

「シンガポール住民の半数近くが『経済的自由を達成できない』と感じている」より

 老後2000万円問題どころではない。老後7,000万円(弱)問題だ。


 元ネタである「Singlife Financial Freedom Index 2024: It could now take Singapore consumers 30 years to attain financial freedom」を覗いて、少し補足してみる。

  • 回答者の個人月収の中央値はS$4,922(約547,104円)

  • 年間貯蓄の中央値はS$20,195(約2,244,371円)、月額約S$1,682(約186,943円)。この金額に基づくと、「経済的自由」の達成には30年を要すると考えられている

  • 2023年の調査では、「経済的自由」の達成に必要な金額はS$566,640とあり、今年は金額が8%増加している


 更に、もう少しニュースを読んで理解を深めてみる。

  • 子どもを持つことで経済的自立が遅れるという感情は、55歳から64歳の回答者、末っ子が16 歳以上の回答者、また月々の世帯収入が高い回答者の間で、より一般的であった

  • 「経済的自由」とは、回答者によれば、心配することなく希望するライフスタイルを送る能力(21%)、借金の義務から解放されること(19%)、ライフスタイルを支える安定した仕事があること(12%)、自由にお金を使う能力(10%)を意味していた


 この調査で用いられる「経済的自由」という表現は、必ずしもFIRE(Financial Independence, Retire Early)を意味しないようだが、「希望するライフスタイル」が気になる。シンガポールでは「5つのC」を持っていることが成功の証と言われているからだ。5つのCとは、すなわち

  • Cash(現金、というよりは購買力を指す)

  • Car(車)

  • Credit card(クレジットカード)

  • Condominium(コンド)

  • Country club(カントリークラブの会員資格)

を指す。もっとも、5Cは物質主義から変容し「Cash」「Culture」「Credibility」「Career」「Convenience」になりつつあるという指摘も存在する。
 快適に生活するためには月々2,856ドルが必要と考えつつ、現実には月額約1,682ドルしか貯蓄できていない——そんな回答者の「希望するライフスタイル」を聞いてみたい。また、シンガポールに住む永住者以外の外国人のデータがあれば、是非チェックしたい。

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