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学力低下と学校問題

こんばんは、

さて、今回は子供の学力低下と学校問題について書いていきたいと思います。

前回は運動が子供達の脳にどんな良い影響を与えるか神経伝達物質を中心に書きました。

今回はいくつかの運動能力と学力の関係性からいくつか論文を紹介しながら説明していきたいと思います。

Castelli (2007)らの子供の運動能力と学力の相関関係を調べた研究によると、子供の有酸素能力が高いほど学力も高いことがわかりました。また、Moore(2014)らの研究では有酸素能力の高い子供ほど認知機能、読解能力、計算能力が高いことがわかっています。しかし、LeBlanc(2021)らは、高強度身体活動と学力には関係性がないと述べています。

ここでポイントになってくるのが有酸素能力と学力にのみ正の相関があるということです。

前回の記事でも書きましたが、

有酸素運動によってセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌が増加します。(詳しくは前回の記事へ)

ここまでくると子供たちに有酸素トレーニングをさせたくなりますよね...

しかし、ここで問題になってくるのが...

子供たちが、                             
運動に対して良いイメージを持っていない、              
運動が周りと比べて苦手、                      
周りの目が気になる、                         
変な走り方だなど。

どれだけ運動が身体に良いと伝えても嫌いなことはしたくないですよね...

もちろん好き嫌いはあっても良いと思いますが、周りの影響を受けて運動を嫌いになるのは非常に残念ですよね。

ここで、なぜあなたは運動が嫌いになりましたか?           
他人の目や評価があったから?                    
体育の成績が悪かったから?                     
周りから馬鹿にされたから?

理由は多種多様だと思いますが、運動をすることによってのメリットよりも、周りからの自分の評価を優先してしまった結果、運動に悪いイメージを持ってしまったのだと思います。

これこそが日本の悪習だと僕は考えます。

しかし、残念ながらこの悪習には科学的な理由があります。

それはセロトニントランスポーターという輸送物質と内側前頭前皮質が大きく関わっています。

日本人は世界的にみてセロトニントランスポーターの数が少なく、内側前頭前皮質が活発であることがわかっています。

そしてセロトニントランスポーターの数が少なく、内側前頭前皮質が活発な人ほど周りとの協調性を大切にする傾向があります。

これだけ見れば日本人らしくて良いではないかと思いますよね。     
しかしこれには裏があります。

協調性の強い人ほど協調性から外れた人を強く敵対視する傾向があるということです。

思い出してください。                           チームワークが一番大切だ!!                      
自分が犠牲になってもチームのために行動しろ!!           
自己中になるな!!                             
みんなで頑張ろう!!                         
こんな言葉を嫌という程聞いてきたと思います。            
もし、みんなの団結を乱す奴が現れたら、みんなでよってたかってバッシングしますよね。(現代の不倫騒動みたいに笑)

特に日本は集団の結束>個人の意思が美徳とされているのでね。     
自分はやりたくないけどみんなの輪を乱したくないとか。

この文化のせいで運動が嫌いになる人が増えていると僕は思います。

運動なんてそもそもみんなで合わせる必要はないですし、        
(もちろんコミュニケーションという点では大切なことですが)       
ましてや競争する必要もありません。

運動=勝負ごとという考え方を全員に強要すること自体が間違いだと思います。

みんなで一緒に頑張ろう!!                      
みんなで仲良く過ごそう!!                     
こういった考え方や文化を強要することが学力低下、運動能力低下、いじめなどの学内の問題の増加に繋がってくるのだと思います。

皮肉にも教室の前に貼ってあるスローガン(みんなで仲良くしよう!!)を外すことがみんなで仲良くなる一番の方法なのかもしれませんね。

参考文献      
石原暢. (2020). 日本の子供の運動習慣・体力と学力および認知機能の関係− これまでの研究成果と今後の課題−. 体力科学, 69(1), 57-57.     
Castelli, D. M., Hillman, C. H., Buck, S. M., & Erwin, H. E.(2007). Physical fitness and academic achievement in third- and fifth-grade students. Journal of Sport & Exercise Psychology, 29, 239–252. 
Moore, R. D., Drollette, E. S., Scudder, M. R., Bharij,
A., & Hillman, C. H.(2014). The influence of car-
diorespiratory fitness on strategic, behavioral, and
electrophysiological indices of arithmetic cogni-
tion in preadolescent children. Frontiers in
Human Neuroscience, 8, 258. doi: 10.3389/
fnhum.2014.00258                            LeBlanc, M. M., Martin, C. K., Han, H., Newton, R. Jr.,
Sothern, M., Webber, L. S., ... Williamson, D. A. (2012). Adiposity and physical activity are not re- lated to academic achievement in school-aged children. Journal of Developmental and Behavioral
Pediatrics, 33, 486–494.                          
空気を読む脳 中野信子 講談社 2020 

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