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疎ましくもあり希望【アルプススタンドのはしの方】
見終わった時の清涼感は
普通の青春映画の清涼感とはまた違っていて、
設定の面白さも細かい描写も全てが効果的で
ただ単純に「面白かったな」と思える映画だった。
夏の甲子園1回戦出場の母校の応援に来た高校生4人(演劇部員の安田と田宮、元野球部員の藤野、成績優秀な宮下)がそれぞれ抱える様々な思いや心の変化を波乱含みの試合展開に重ね、アルプススタンドのはしで繰り広げる会話を中心に描き出した会話劇。
そこは、
輝けない私たちの ちょっとだけ輝かしい特等席。
この映画の面白いところはなんと言っても
野球のマウンドが全く写らないという所。
ルールに困惑する安田と田宮のセリフ、表情、音でマウンドの様子を表現し
そこへ4人の気持ちが織り込まれていく。
原作である演劇の良さと映像の良さが上手く掛け合わせられているのが見ていて楽しい。
決して原作を肉付けし、“映画用”にいじるのではなく
1時間15分の短さのまま映画ならではのアップの
カット割りをしているのが良かった。
藤野くんが通路を挟んで座っていたのに、
宮下さんが最初は立って見ていたのに、
いつの間にか4人並んで座っている。
そんな距離感が分かる描写にワクワクする。
「白い雪に赤いマフラー、赤い血、赤い火」など
見え見えな映像美としての描写ではなく、
細かくてクスッとするような微笑ましい描写に
目を離すことなく見られた。
何事にも「しょうがない」と自己暗示のように言い逃げてきた4人からすると、レギュラー入りなんて出来ないと思われている矢野くんは 自分のようで疎ましく、それでも頑張る姿は 憧れで希望だった。
そんな矢野くんがプロの野球選手になるというオチ
は在り来りだけれど、そんな姿が4人の心を動かし、将来を変えていったという事実はすごく感動的だった。
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