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夕陽を見ているか

在宅勤務が始まって一週間、なんて穏やかな日々だ。日が沈む空を眺める余裕がある平日はいつぶりだろう。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で経済は大打撃を受けている。きっと僕の給料も大きく下がるだろう。夏のボーナスをもらってから辞めようと思っていたが、夏のボーナスは出るのだろうか。いや、まあ別にそれはいい。

働くことを制限されたことで、人間らしい生活を思い出した。

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朝、牛乳を飲みながら近くのパン屋で買ってきたパンをかじりながら仕事を始める。昼は朝に浴び逃したシャワーを浴び、テレビをつければ坂上忍が今日も唾を飛ばして安倍政権を批判している。ウイルスは蔓延しているが、まだまだ日本は平和だ。

眠気を抑えながら仕事をしているとあっという間に夕方で、防災無線から流れるメロディをぼんやりと聞いているうちにパソコンをたたんだ。サンダルをつっかけて近くのスーパーまで歩く。通り道の商店街はこのご時世でも晩御飯の買い出しに出かける近所のマダムで賑わっている。空はまだ青さが残る、マジックアワー。

今日の晩御飯はナポリタンを作った。ケチャップをたっぷりいれて、大きめに切ったベーコンと玉ねぎを入れた。ピーマンは買い占められたのか手に入らなかった。満腹になったころ、ようやく7時半だった。

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時間がとてもゆっくりだ。世界が大変な騒ぎになっているにもかかわらず、僕の生活はむしろとても穏やかになった。そうでなければ、ナポリタンは冷凍だし坂上忍を受け止める心の広さもない。

心のどこかで、外出自粛がずっと続けばいいと思う自分がいる。この淀んだ時間を、あともう少しだけ。

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