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50名以上のコミュニティ運営者に聞いた「運営に大事な事」「助けが必要な事」

Discordコミュニティの運営者56名に「Discordコミュニティが成り立つ上で、重要だと思う要素は?」「運営の中で、助けが必要だと感じる事は?」といった問いを投げかけて、各々の考えを伺いました。今回はその内容をお伝えしますよ~。

1.はじめに

先ずはじめに、アンケートやインタビューにご助力いただいた皆様、ご協力本当にありがとうございました!多様なコミュニティ運営者の考えを知る事が出来る機会は少なく、有意義なデータになったと考えております。

今回の情報収集は、「コミュニティ運営では何が重要視されるのか」という運営指針の参考として活用できる他、コミュニティ運営者同士の協働において何が求められているかという点においても有益です。

下記に、データをまとめて提示していきますので、是非参考にお願いいたします。


2.実施・集計方法

・アンケートにて48名、直接の聞き取りにて8名、計56名から聴取しました。内容は「コミュニティが成り立つ上で重要だと思う要素」と「コミュニティ運営の中で助けが必要だと感じる事」となります。

・情報収集期間は2021年5月から2022年1月までとなります。

・集計した回答内容は、内容に応じてカテゴリ分けし、表にまとめました。


3.結果

(a) コミュニティが成り立つ上で重要だと思う要素

各項目で挙がった具体例を一部ご紹介します。

1.円滑な運営能力
・利用者から運営スタッフへの信頼醸成
・運営スタッフから利用者への積極的な関わり
・利用者からの意見をくみ取り反映する姿勢
・一人ではなく複数人で行うチーム運営
・コミュニティ運営に必要な知識の習得

2.コミュニティの「文化」を作る
・話しやすい、良好な雰囲気作り
・新規メンバーでも参加しやすい雰囲気作り
・尊重し合う姿勢や雰囲気作り
・コミュニティルールの作成、周知、運用

3.コミュニティの「場」を作る
・見易い、使い易いサーバーレイアウト
・セキュリティ対策
・メンバー間の交流を促進する仕掛け作り
・新規メンバーの物理的な動線

4.コミュニティの存在理由を生み出す
・コミュニティコンセプトの構築
・独自性のあるコンテンツ創出
・持続的、定期的にコンテンツを提供する事
・コンセプトに適したユーザー層を意識する事

5.コミュニティを利用する「人」を集わせる
・アクティブユーザーの存在
・初期導入、オンボーディング
・交流に繋がる動機づけを作る事
・周囲に好影響を与えるユーザーを意識する事

6.運営にプラスとなる能力
・ユーザー目線に立って考える視点
・コミュニティ運営を楽しめる事
・コミュニティの状況を把握し課題を見つける事
・忍耐強く貪欲に運営を続けられる事

7.コミュニティの「循環」を生み出す
・持続的に新規ユーザーを獲得できる事
・コミュニティ情報や成果物を発信できる事

(b) コミュニティ運営の中で助けが必要だと感じる要素

各項目で挙がった具体例を一部ご紹介します。

1.運営スタッフの獲得
・運営スタッフをどの様に確保、選ぶのか
・冷静に第三者視点から意見をくれる存在が欲しい
・運営負荷の大きい「お問い合わせ対応」等の対処を任せられる存在

2.コミュニティ広報
・コミュニティ宣伝文の作成
・宣伝を行う時の手法をどの様にしたら良いか
・コミュニティスタートアップ時の基盤となるメンバー集め

3.コミュニティレイアウト
・サーバーレイアウトの考案
・定期的なコミュニティレイアウトの整理
・見易い、分かり易いガイド文作成

4.セキュリティ対策
・セキュリティBotの設定
・アクシデントへの対応方法
・アクシデントに対応できる運営スタッフ

5.人的対応
・人間関係のトラブル対応
・コミュニティの雰囲気コントロール

6.Bot情報の収集・設定・活用
・Botの利用方法を習得する事
・適したBotを探し出す事
・Botの設定を行う事

7.コミュニティの活用促進
・「過疎」への対策
・各チャンネルの利用促進策
・新規メンバーへの応対、導入対応

8.Botの作成スキル
・Botの開発


4.考察・感想

4.1 コミュニティは循環するもの

収集した内容を読み解いていく為には、オープンコミュニティが成り立つ為の「循環の輪」を理解すると分かりが良いです。

コミュニティ運営の段階は以下の5段階に大まかに分類できます。

1.「コンセプト」を整えて
2.「場」を作り
3.「人」を集わせ、
4.「文化」を生み出し、
5.「循環」させていく

オープンコミュニティが成り立つ為の「循環の輪」

コミュニティ運営者は何かしらの「希望」を抱き、それを叶える為に「目標」を設定します。そして、その目標を達成しようとする「動機づけ」を得る事でコミュニティ作りに動き出します。

この時、設定した「目標」や「動機づけ」を元に、誰のための、何が出来る、どの様なコミュニティを作るか「コミュニティコンセプト」を定めて、これを元にコミュニティを形作っていきます。

先ずは活動する為のDiscordサーバー、その具体的なチャンネル構造を整えます。交流する為に必要な場を考えていくのです。

人が居なければ交流は生まれず、コミュニティとしての活動に結び付きませんので、告知や人づてに新規メンバーを呼び込んでいきます。

集った人々が交流し始めることで、徐々に「見知っている人」「いつも遭遇する人」「仲良い人」など、関係の深さは多様なれど、人間関係が生まれます。初めは、運営スタッフ×新規メンバーから、コミュニティの成熟につれて、運営メンバー同士の人間関係も生まれていきます。

すると「いつもこのチャンネルで話しているから」「あの人と交流したいから」「なんとなく毎回見ていると面白いから」等々、多様な動機づけの元にコミュニティを利用する「習慣」が構築されていきます。

動機づけや習慣を持ったアクティブユーザーが増える事で、彼らや運営スタッフのコミュニケーションを元に、徐々にコミュニティの「雰囲気」が醸成されていきます。

さらに、この様な一連の過程を通して、他コミュニティとの差異、独自性が見いだされていく事となります。「そのコミュニティならでは」の事、「そのコミュニティだからできる事」が徐々に発見されていくのです。そのコミュニティの良さ、つまり「価値」や「魅力」が発見されていきます。

「価値」や「魅力」に気が付いて貰う、もしくは伝えていく事は、新たに人を呼び込むコミュニティ活発化の促進剤となります。人が新たに集えば、新しい人間関係が生まれ、コミュニティは刺激を受けて更に成長していきます。もしくは、新しい希望や需要の元に、コミュニティをより良い形に改善していく事が出来ます。

この様に、「場」「人」「文化」が相互に呼応しつつ、コミュニティは成長の循環を繰り返します。

4.2 コミュニティ運営者は何を重要と考えるか

🌟コミュニティが成り立つ上で重要だと思う要素
1.円滑な運営能力
2.コミュニティの「文化」を作る
3.コミュニティの「場」を作る
4.コミュニティの存在理由を生み出す
5.コミュニティを利用する「人」を集わせる
6.運営にプラスとなる能力
7.コミュニティの「循環」を生み出す

コミュニティが成り立つ為には、「コンセプト」「場」「人」「文化」それらの「循環」が大切です。そのため、今回挙げられた「コミュニティが成り立つ上で重要だと思う要素」の回答内容は、コミュニティに必要な要素の的を得ており、納得がいくものと感じております。

また、「循環」させる為に何が必要かという視点に立った回答も多く見られました。例えば、「円滑な運営能力」や「運営にプラスとなる能力」がある事で、運営スタッフの言葉にメンバーは耳を傾けます。また、運営者自身が無理なく、長くコミュニティを続けていく事にも繋がります。

いずれにせよ、「循環の輪」を上手く回していく過程の中に重要だと思う要素があるという事は興味深いなと考えております。

コミュニティ運営者が何を重要視するのかは、自身が運営するコミュニティに「今何が足りないのか」を元に考えると思いますが、それは、「循環の輪」の何処で躓いているのかと言い替えてみると面白いですね。

4.3 何に助けを必要と感じるか

🌟コミュニティ運営の中で助けが必要だと感じる要素
1.運営スタッフの獲得
2.コミュニティ広報
3.コミュニティレイアウト
4.セキュリティ対策
5.人的対応
6.Bot情報の収集・設定・活用
7.コミュニティの活用促進
8.Botの作成スキル・Botの開発 等

「運営スタッフの獲得」や「コミュニティ広報」など、伝手やあたりをつけられる方であればまだしも、「何も情報が無い」「推し進めていく為の強みが無い」方が多く、困り易いテーマである事は確かです。

また、様々な内容が挙がりましたが、「循環の輪」を上手く構築していきたいという事を前提に据えると「何故助けが必要だと感じるのか」が見えてきます。つまり、「循環の輪」を阻害する部分に困り事が生じます。

例)
1.運営スタッフの獲得
→ コミュニティコンセプトを元に「場」「人」「文化」を改善したり、「循環」させていくための旗振り役が必要。
2.コミュニティ広報
→ コミュニティ成長に重要な新しい刺激をもたらしてくれる「新規メンバー」を獲得したいが、その為の手段を工夫する必要がある。
3.コミュニティレイアウト
→ 使い易いレイアウトでなければ、人が集まっても交流を生み出しにくい。

4.4 コミュニティ運営者は今どこに居るのか

・循環の輪のどの部分を推し進めているのか
・循環の輪を回す上で、何が障壁になっているのか
・自身の能力や現状を踏まえた実現可能性

といった要因によって、重要視する事、助けが必要な事は変わってくると考えられます。そのため、「コミュニティ運営者」と一括りにして捉えてしまうと、「運営に大切な事」「運営者同士の協働で求められる事」に齟齬が生じてしまうと考えています。

・はじめて「場」を作る段階
・はじめて「人」を集わせる段階
・はじめて「文化」が形成される段階
・コミュニティの「価値」や「魅力」が見つかる、生み出される段階
・ようやく「循環の輪」が回り始める段階
・順調に「循環の輪」が回り続けている段階
・何かしらの要因で「循環の輪」が滞っている段階

この様に、コミュニティ運営者の現状を段階分けして捉える事で、その運営者によりマッチしたナレッジの共有や、協働が可能になるのではないでしょうか。

集計した今回の情報も、「どの段階に居るコミュニティ運営者にとって」の重要な事、助けが必要な事であるか、という視点を持ち、結果を受け止める必要があると考えております。


5.まとめ

今回アンケートやインタビューを実施したManagement Support Serverは、「はじめてサーバー作ります!」「数年以上コミュニティ運営しているけれど悩んでいて…」といった経験年数の差や、

「企業でDiscordコミュニティを作ります。」「趣味の範囲でやっています。」「身内間のコミュニティを作りたい」など、背景や動機の多様性があります。

「コミュニティ運営者」といった大枠であてはめて俯瞰するだけでは、各運営者にとって物足りないだろうなぁと、ひしひしと感じております。

コミュニティ運営全般に共通するナレッジも勿論ありますので、集計した回答結果を元に、今後共有していくナレッジや方向性を検討してまいりますが、同時に、「皆さんは今、循環の輪の何処に居るのか」を意識した取り組みも検討していければと考えております。

是非是非、MSSに一度足を運んでみて頂けると嬉しく思います。


〇 運営者コミュニティの紹介

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執筆者:Sorawaf(Twitterはこちら)