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ナウシカの蟲笛がほしい その①構造の考察

ナウシカの蟲笛がほしい。映画や原作コミックスに登場する、王蟲やウシアブを宥めたり誘導したりできる、あの不思議な形状で、あの不思議な音を実際に発することができる蟲笛だ。どうやら商品化はされていないようで(あんなもん子供に振り回されたら危ないからな)、じゃあ自作するしかないと思って検索するも、「フィルムケースで作ってみた」などという、形も音も全く異なるものしか検索にかからない。3Dプリンタで作ったのもあったが、形は忠実でも、もちろん(?)音は鳴らない。「if anyone can figure out how to make it work, please let me know!!!」とのことだ。(→nausicca insect whistle(worm-flute)

じゃあ自分でイチから考えるか。

実はナウシカの蟲笛には二種類ある。原作コミックス版と映画版だ。前者の音は「ギギギギギ」という音、後者は「ファンファンファン」といったうなり音を発する。ほしいのはやっぱり後者。ということで、映画版をじっくりと見ていって、どんな外見か、そこから内部構造が推測されるか、を考えてみよう。

映画の中で蟲笛が一番大写しになるのは、振り回した蟲笛をナウシカが空に放り投げるこのシーン。

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サイズ感がわかるのはこのシーン。空に飛んだウシアブとナウシカが連れ立って空を飛ぶシーン。

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だいたい手のひらの幅と同じか、ちょっと大きいくらいの長さの円筒形。中央部にぐるりと隆起があり、隆起をまたぐようにブリッジ上の突起があって、そこに紐を取り付ける。円筒の一方の端側には四角い穴の列が空いている。穴の縁には特に傾斜などはついていない(=笛のように音が鳴る構造ではない)。円筒のもう一方の端は穴などは空いていない、ただの筒のように見える。

これは蟲笛を回転させている時の様子。穴の空いていない側から気流が入り、音を発していることがわかる。

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また、2枚めの画像にもどると、これは空を飛んでいるシーンで、四角い穴の空いている側(画面の左側)から風が吹き込んで鳴っている。つまり、蟲笛は、円筒のどっちの向きから気流が吹き込んでも鳴る仕組みになっている。

ではどんな構造になっているのか。外見から内部構造を想像できないか。

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円筒の内部に、隔壁があるのがわかる。この壁、あきらかに中央よりも手前側にある。四角い穴は内側からは空いていないように見えるが、簡略化された描画と思われる。だとしたら、内部の隔壁に実は穴など空いていたとしても(気流が通り抜けるので当然穴はあるはずだが)それも省略されているのだろう。

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これは、反対側の円筒内部。同様に中央よりも手前側に隔壁があるのがわかる。ここでも穴の描写は省略されているものと思われる。

さらにいうと、中央の隆起は板であり、板の裏表にネジが切ってあり、円柱を上下に取り外すことができるようになっているのではないかな。中に異物が入ったら音が鳴らなくなるから、掃除やメンテナンスのために、ある程度簡単に分解できるようになっているはず。

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これは原作コミックス版の、2巻の表紙裏のイラストから。円筒の左端が単なる筒ではなく、円錐をはめ込んだような形状になっていて、そこに放射状の穴が空いているのがわかる。穴が細いことから、異物(胞子とか)が中に入らないように、もし詰まりそうになっても傾斜で異物が中央に寄り、気流が確保されるような仕組みになっている。異物が入るだけですぐに鳴らなくなってしまうような、かなり複雑な機構が内部にあることを示唆しているのではないだろうか。

まとめるとこうなる。円筒内部に3枚の隔壁があり、2つの空間を構成している。その空間に何らかの形で気流が通ることにより音を発する。2つの密閉空間それぞれで音を発するので、うなり音が生成されることになる。気流が円筒のどちら側から入っても鳴る構造。

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さて、音を発するための構造だが、単純な笛のようなものではないと考えている。おそらくだが、サイレンホイッスル(→Wikipedia)ではないかと思われる。

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(画像はこちらから引用→https://www.datamp.org//patents/displayPatent.php?pn=537792&id=44991

円筒内部にプロペラ上の円盤があり、密着するように穴開きの円盤が配置される。息を吹き込むとプロペラが回り、穴開きの円盤により風を断続的に間切るので、サイレンのような音を発する、というもの。これならば、逆方向から気流が吹き込んでも音を発するように作るのはさほど難しくない。

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ここまでで大体の構造の考察が終了とする。あとは実際に作るだけ→その②に続きます。

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