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それは世界でもっとも有名な辛口ワイン

「シャブリ」
それは世界でもっとも有名な辛口ワイン。

日本ではバブル時代、その覚えやすい名前もあって、どこのレストランでもシャブリが飲まれていました。
居酒屋での「とりあえずビール」のように、レストランでは「とりあえずシャブリ」と言っておけば大丈夫くらいの感覚で。
もう今から30年ほど前の話です。

その勢いはすごく、その人気に遅れをとらないよう、たくさんのバイヤーが現地の生産者に赴き、「シャブリ」という名前がついているワインを根こそぎ買っていきました。
そして大量のシャブリが日本に輸入されたのです。

しかしそうなると、水っぽくて薄っぺらくても「シャブリ」という名前がついているワインがどんどん増えていきます。
シャブリは少しずつ美味しくないイメージが広まっていきました。

一方、ワイン愛好家たちはシャブリがあまりにも流行ったせいで、ワインにのめり込めばのめり込むほど、そのシャブリから離れていきます。
レストランでシャブリを頼むのは時代おくれ、ダサいというイメージが定着し、2000年頃には、レストランのワインリストから少しずつその名前が消えていきました。
その空白を埋めていったのが、モンラッシェという名がつくピュリニィやシャサーニュ、またはムルソーなど、酸がやわらかくてボリューム感のあるワイン達。
または新世界とよばれる樽のたっぷり効いたシャルドネです。
時代はロバート・パーカーが美味しいといったワインで埋め尽くされていったのです。


そして今。
「シャブリ」という名前はもう聞かなくなり、教本で覚えるだけの名前となって久しいですが、それでも昔から真面目に造っているすばらしい生産者に加え、新時代を予感させる若き天才たちがシャブリのイメージを変えようと努力しています。
シャブリはすこしずつその名声を取り戻してきています。


「シャブリ」

それは世界でもっとも有名な辛口ワインです。

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