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自分の進路が決められないありふれた東大卒の話

「無限の可能性」があるのはいつまで?「皆さんには無限の可能性があります!」 小学校の朝会で何度聞いた言葉だろう。物心ついて5年かそこらの子供に、この言葉の重みを理解するのは難しい。 校庭に立っていた頃の倍以上の年齢になった。「五捨六入すれば二十歳だから!」と言い訳していたのも今は昔、言い訳のしようがないアラサーになった。それでも尚、自分は将来何者になりたいのか、そもそも「何者」と自認できるような人生を目指したいのかすら決められずにいる。 物心がついた頃は、宇宙飛行士にな

    • 詐欺のお陰で世の中がハッピーになり得ることに気づいてしまった話

      はじめに:毒を以て毒を制す僕のTLでは突然転売行為に関する是非の議論が活発になりました。転売行為を否定する主張の一つに「転売によって価格が吊り上げられると、本当に欲しいがお金を持っていない人に行き渡らなくなる」という意見があります。例えば、将来的にずっとお金を落とし続けるファンになってくれるような中高生などでしょうか。 反対に、「転売などオークションに近い競争の制度を導入することでこそ本当に欲しい人に行き渡るようになる」という主張も見られます。では果たして、オークションを使

      • 「制度を憎んで人を憎まず」-マーケットデザインについて独断と偏見に基づいて語る

        はじめにマーケットデザイン、今の僕の商売道具ではあるものの、未だにその魅力を上手く伝える方法が分かっていない。というかそもそも自分が「マーケットデザインとは何か」についてよく整理しないまま過ごしている気がする。 ということで、独断と偏見に基づいてマーケットデザインについて語っていきます。 ※いくつかの媒体でマーケットデザインについて紹介する記事を書いていますが、それらと比べてかなり僕の偏見が混ざっており、正確性も担保できません。悪しからず。 マーケットデザインとは何かマ

        • 理論経済学徒が研究内容と程遠いベンチャー企業に就職した結果

          はじめに最近、実証分析・データ分析が出来るビジネスパーソンの需要が高まって(いる気がして)います。PythonやRが使える人優遇、という求人が結構増えてきたような。そんなわけで、経済学徒の中でも実証・計量系の経験を積んだ人は比較的ビジネスにおいてその専門性を発揮しやすい状況が日本でも整いつつある気がします。(アメリカだともっとちやほやされるという話も聞きます) 一方で、僕は修士課程までただひたすらにPure theoryのみをやってきました。具体的にはメカニズムデザインと呼

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          「掛け算で得られた強み」に頼り過ぎてはいけない

          まずは自己紹介四記事目になって今更かもしれないが簡単に自己紹介をしたいと思う。筆者は経済学部を卒業し(ここに至るまでの話は過去の記事を参照)、経済学研究科の修士課程を経てベンチャー企業に就職、現在は東大に戻って、研究センターのなんでも屋的なポジションで働いている。 現在の自分を支えているのが、「修士課程まで学んだことによる研究内容、および研究の世界に対する理解」と「ベンチャー企業で色々な業務に携わって得た、ビジネスに対する最低限の理解」の掛け算である。そして強いてあげるなら

          「掛け算で得られた強み」に頼り過ぎてはいけない

          松島斉先生とわが大学生時代②

          松島先生の連載で学んだオークション理論松島ゼミではオークション理論を中心に学習した。オークション理論の教科書といえば、クリシュナやミルグロム、当時はなかったがハーリンジャーあたりが今のスタンダードだろうか。そして当時の松島ゼミはというと…(誤植の発見等も兼ねて)松島先生が当時経済セミナーに連載していた原稿が教科書だった。 勿論後にクリシュナやミルグロムにも手を出すことになるが、今でも自分のオークション理論の知識は松島先生の連載が核となって身についている。仕事柄「オークション

          松島斉先生とわが大学生時代②

          松島斉先生とわが大学生時代①

          ※この文章はとある記事のパロディですが、松島先生は相変わらずお元気です。 これは何何者かになりたい人が何者かになろうとした痕跡の振り返りです。 経済学部進学、ゲーム理論との出会い「十で神童十五で才子、二十過ぎれば只の人」の言葉の通り、なんとか昔の貯金を切り崩して東大に滑り込んだもののその中で落ちこぼれていたある青年は、たまたま運良く不人気だった経済学部に滑り込んで進学。とはいっても、経済学についての知識は現代経済理論(※現在開講されている神講義とは全く異なる、それはもうカ

          松島斉先生とわが大学生時代①