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ホークス沼に墜ちてるオタクのプレゼン(?)


  私は、2018年ごろにホークス沼に墜ちました。
 ヒロアカも、もうすぐ完結いたしますね…。
 最近、改めてホークスに狂っているため、ヒロアカを未読な友人にもこの気持ちを共有したくて、プレゼンのようなそうともいえないような文章を書くことといたしました。
 ホークスの魅力…を説明しつつ…オタクの悲鳴というか…。でもホークスの魅力も十分、第三者に説明できているものになっているともいえるような…そうであったらいいな的な…。そんな感じの1万7000字ほどの文章です。(その大半は未読の相手に合わせてシナリオの説明のための文章ですが)
 原作の20巻~21巻、25巻のネタバレどころか、がっつりとその内容を文章化しております。ヒロアカを初見で楽しみたいタイプの未読な方のお目には触れないことを願っております。
 お時間ありましたら、原作を片手にお読みいただければ幸いです。

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 ホークスがなぜこんなにかっこいいのか?

 それは部分的には語れない話である……。
 「ホークスのどこがかっこいいの?」と聞かれれば、私は暫く頭を悩ませた後、遠慮がちにおどおどと、「全部……」と答えることになるだろう。
 かっこいいところは沢山あるが、それぞれをピックアップして言ったとしても、私がいま感じているこのドデカく力強い「カッコイイ…!!!!!」と、痺れ憧れトキメき憧憬と共に愛おしさをも感じるようなこの気持ちには及び付かないことを感じる。
 ホークスのなにがどうかっこいいと私が感じているのか…、それを他人に伝えるためには、広範的にホークスの存在を語る必要があるように思う。
 というわけで、ここからは私がホークスに対して感じている魅力について長々と語らせていただければと思う。是非、身を乗り出して耳を傾けてもらいたい。


 ホークスは『僕のヒーローアカデミア』の20巻から登場したキャラクターである。
 初登場時22歳。(12月28日が誕生日と発表されているため、26巻以降は23歳となる。) 福岡県に自身の事務所を構えながらも、独自の機動力を活かして全国区で活躍する大人気ヒーローである。
 ヒーロービルボチャート(ヒーローとしての実績や、市民からの支持率などを合算したヒーローとしてのランキング)では、18歳で事務所を立ち上げたと思いきやそのまま最年少でトップ10入りを果たし、人々からは”速すぎる男”の異名で呼ばれている。作中の時間軸では、オールマイトが現役の間は3位、オールマイトが退役してからは2位へと繰り上がった。(※オールマイトは生ける伝説のヒーローでとんでもなく強くとんでもなくヒーローな、誰にも越えることが不可能な規格外神ヒーローなんだ!)

 初登場時の読者としての感想としては、"不遜で底知れない若者"といった感じだった。
 登場以前で存在が仄めかされていたこともなく、20巻から突然登場したな…という印象が強い。(作品のメインストーリーが学生達のドラマであるため、ストーリーとしてプロヒーローに焦点があてられはじめたのが20巻からだから、という理由はある。)

 言動は軽薄で、態度はでかく、表情も常に薄ら笑い。しかしヒーローとしてなにか確たる信念があることを窺わせつつも、よくわからないけれど、突然登場した割に前に前にと描かれメインを張り始めたため、これはなにかあるなと思わせるキャラクターだった。
 初期から登場しているエンデヴァーにとても絡んできており、オールマイトが退役したことでやっと積年の夢であったトップヒーローとなれたエンデヴァーに、なにかを期待し、求めているかのような描写がある。
(ビルボード発表の場で会場を煽りに煽って空気を悪くさせてからエンデヴァーにマイクを渡し、試すような視線を送ってくるホークスであったり、発表が終わり控室にて、エンデヴァーに怒られながらも自分が煽りに煽った後に100点満点の返しをしてくれたことを嬉しがるホークスが描かれている。)

『さァ、お次どうぞ。支持率俺以下No.1』
『安心しました。かっこよかったですよ』

『僕のヒーローアカデミア』20巻 185話「ウィングヒーローホークス」


 一体なんなんだこのホークスってヒーローは…と読者が思うのも束の間、翌週の話ではすぐにそのヒーローとしての能力のとんでもない高さが、なんでもないことのようにさらりと描かれ読者の眼前に提示されることとなる。

 


 ホークスからの要請でチームアップをすることになった2人。

 エンデヴァーがホークスの拠点の福岡までやってきて、そんなエンデヴァーに街中を案内する様子が2ページ分描かれているのだが、ホークスは常にエンデヴァーや進行方向を向き、エンデヴァーに話しかけながら、なんとその背後で一気に事件解決を1件と、人助けを2件、一瞬のうちになんでもないことのようにこなしてしまうのだ。テロを起こそうとした不届者を無力化し拘束、道路に飛び出してトラックに轢かれかけたわんちゃんを救出、歩道橋を渡ろうとしていたおばあちゃんの荷物持ち、をとんでもなく最速かつマルチタスクで行っていた。 
 さらに次のページでは市民に囲まれ歓声と応援を送られ、一コマのなかでその声援に応えながら記念撮影にも応じるというマルチタスクな神ファンサもこなす。
 支持率が実績に比べて低いエンデヴァーにわざわざそれを見せつける…などという雰囲気もなく、あくまでそれがホークスにとって日常であるという描写に止まり、何が彼をトップ2たらしめるのかを読者にわからせる表現となっていた。

 その次からは、メインストーリーに即した少しシリアスなエンデヴァーとの会話が続く。
 その会話のところどころで、軽薄な態度を崩さないままにホークスというキャラクターの核となる発言がなされている。

 『欲しいと思ったらどうにも我慢できない性分で』
 『No1のあなたに頼れるリーダーになってほしい!』
 『俺は楽したいんですよ。本当。適当にダラダラパトロールして、今日もなにもなかったとくだを巻いて床に就く! これ最高の生活!』
 『ヒーローが暇を持て余す世の中にしたいんです。』

『僕のヒーローアカデミア』20巻 186話「エンデヴァー&ホークス」

 ここらの会話で、ホークスが軽薄な言動をしながらも、そういう"芯"がある人間なんだな、と、エンデヴァーと読者に感じさせる流れがある。戯けた顔でうそぶくように本心を語る22歳………。

 そして和やかな雰囲気は一転。その直後に、2人のもとに化け物のようなヴィランが襲来することになる。ここからはヒーローエンデヴァーとヒーローホークスの初の共闘で、大規模な死闘が繰り広げられることとなる。
 ここでやっと、ホークスのとんでもない、個性もそうだが、その個性を使いこなすに至る並々ならない能力の全容が読者に明かされるのである。

 シナリオの流れに合わせて、ここでホークスの個性の説明に入らせてもらいたい。
 ホークスの個性は通称「剛翼」。ホークスの背には身の丈ほどもある大きな赤い翼が生えており、ホークスはその羽の一枚一枚を自在に操ることができる。
 先ほどの最速マルチタスク人助けも、全てホークスが羽を自在に操り、犯人を攻撃したり捕縛したり、わんちゃんを優しく羽で包み飼い主の元へ届けたり、おばあちゃんの荷物を羽で浮かせて持ってあげたりとしている。
 一枚一枚の羽は剛健で、ホークスの意思によって鋭い刃にもなりコンクリートや鉄さえも切り裂いてしまう。作中の描写からは、この羽は“燃やす”意外に有効な無力化の手段はないように見える。ここまででさえとてつもなく強い個性であるのだが、このエンデヴァーとホークスの初の共闘シーンで、さらにとんでもない個性の使い方が披露される。

 高層ビルの上階にある料亭焼き鳥屋【ヨミトリ】にて、襲撃に合うエンデヴァーとホークス。ヴィランの攻撃によって、高層ビルの上半分が崩壊させられてしまう。しかしその直前、それを察知したホークスはすぐさまに羽を全て周囲に飛ばし始める。
 ビルの上半分が倒壊しはじめた瞬間に、市民が続々となにかに首元を引っ張られ、割れた窓からビルを飛び出していく姿が描写される。

『悲鳴、呼吸、衣ずれ、人から生じる振動!』
『感知しろ剛翼』
『被害部分の人間全員!!』

『僕のヒーローアカデミア』20巻 187話「燃えよ轟け!VS 脳無:ハイエンド」

 ホークスはビルが倒壊する一瞬で、倒壊部分に居た市民の全員を己の主要な羽のほとんどを使うことで救出し、隣接する安全なビルの屋上等に避難させるという、意味のわからないトンデモ技を披露したのだ。
 あまりにも最速な人命救助。俺(読者)でなきゃ見逃しちゃうほどの最速さ。
 なんとホークスの羽の一枚一枚は感知能力すらも身につけているらしい。
 ホークス自身の聴力や視力に頼らない羽の一枚一枚で周囲の音を感知し、空間認知をもすることができるようであるが、しかしそれを処理するための脳みそは一つだけなハズである…。この能力をこんな風に使いこなすためには、とんでもない規格外のマルチタスクを強いられることになる。とんでもない優秀な脳みそ。とんでもない胆力。状況分析力、行動力、etc…。ホークスの羽が合計で何枚あるのかはわからないが、100枚は超えているだろうと思えば、同時に100通りに個別の判断力を身に付けているということになるってことで…?聖徳太子もびっくりな脳みそをしているんじゃなかろうか…。
 ホークスの能力はその羽の一枚一枚であるため、ホークス単体に飛行能力はないのだが、ホークスはほとんどの羽を人命救助につかい、己は単身、崩れるビルから飛び降りている。そしてホークスの生身が宙に落ちている間に人命救助を終えた羽が再度ホークスの背に集まり、飛行を始め、ホークスはそのままエンデヴァーとともにヴィランの迎撃を始める。私(読者)の空いた口が塞がらないスマートさ。これが“速すぎる男”……………。

 しかし倒壊するビル内にいる人命を救助できたとしても、崩れゆくビルによって下にいる人たちの命が危ない。目の前にはとんでもなく凶悪なヴィランがいる。
 そんななかでこのトップヒーロー達はどうするのか?と思いきや、読者の思考がなかなか追いつかないままに、当然、二人のヒーローは誰一人として死人を出さないよう考えている。
 エンデヴァーさんの能力は自身から無限に吹き出せる炎であり、鍛錬によってその炎は変幻自在と化していた。エンデヴァーさんは高圧縮高火力の炎をムチ状に噴射し、大きな高層ビルの倒壊部分の全てを木っ端微塵に粉砕させ、焼き切った。
 焼き切ることができなかった瓦礫の一つ一つを、今度はホークスの最速の羽が市民に当たることのないように分配し、安全を確保する。
 目の前には凶悪なヴィランがいる。そんな状況で、二人のトップヒーローは人命救助を第一優先に、ここまでの離れ業をやってみせたのだった。

 そしてここからは主にエンデヴァーとヴィランとの戦いの描写がメインとなる。
 最初はエンデヴァーをフォローする形でホークスもヴィランと戦っていたのだが、なんと序盤でこのヴィランが己の体からさらに新たな化け物を生み出してくる。産み出された化け物は四方八方に散らばり、市民の元へ。市民を無差別に殺傷しようとするそれらを倒すため、ホークスが最速で向かう。エンデヴァーが親玉ヴィランに集中できるように、ホークスは人命救助に注力するのだが、その時の台詞がまたかっこいいんだ……………。

 ホークスが来てくれたことで安心した市民を、しかしホークスは一瞬のうちに羽を使って遠くに飛ばす。

『ハーイ。見えなくなるくらい下がっててください。何を隠そうパワー押しには割と無力なんで』

『僕のヒーローアカデミア』20巻 188話「父はNo.1ヒーロー」

 ホークスの能力は剛健な羽の一枚一枚だが、パワー型の相手と真正面からぶつかるとやはり分は悪く、力負けしてしまうらしい。
 そして次のコマの台詞。

『俺の背中やったら、安心させられん』

『僕のヒーローアカデミア』20巻 188話「父はNo.1ヒーロー」



 まてまてまてまてストイックすぎるクレバーすぎるまてまてまて。22歳???

 パワーのない己には、市民の救助はできても、何よりも大切な「安心感」を市民に与えることはできない。自分の背中では多くを守ることができないのだということを、ホークスは己の口で語る…………。
 この台詞があってやっと、なぜホークスがエンデヴァーに固執しているような様子を見せるのか、その本質が見えてきたように思う。
 圧倒的なヒーローだったオールマイトはもういない。絶対的な正義と安心の象徴だった唯一無二のヒーローがいなくなったことで市民の間には不安が広がっていき、ヴィランは幅を利かせていく。
 そんななかで、オールマイトに変わる「平和の象徴」が不可欠なのである。
 不遜で態度がデカく、しかし有言実行で大きな口を叩くに値する実績を重ねているホークスである。そんな彼が、「自分は平和の象徴にはなれない。“エンデヴァー”なら、その役割をこなせる。平和を守るために必要なのは有象無象のヒーローではなく、唯一絶対の、市民の心の拠り所となる“ヒーロー”の存在なのだ。」と、言っているということとなる。しかしエンデヴァーさん個人では支持率俺以下No1なので、今後の世界全体のことを考えて、ホークスはエンデヴァーを盛り立てるためにビルボチャートでも会場を煽りに煽ってエンデヴァーの存在を国民に印象付けさせた。
 あまりにもストイック。そして、冷静。なにより目的第一…。はたからみて軽薄に見えるその言動の全てを、かなり俯瞰した視座で計画的に、そして"誰かのために"行なっている…。ホークスが望むのは、だれもが安心して暮らせる、平和な世の中で、そこには利己的な心理が見えず、むしろ自己犠牲的な奉仕の精神が見えてくる………。

 こりゃあ大分……。
 私の心が…傾いてきちゃいましたよね………(震えている)。


 とりあえずは少し話を進めて、エンデヴァーとヴィランの戦いは佳境に入ります。この親玉ヴィラン、まじで化け物で、無限の再生力をもってるやらなにやらあまりにも規格外。エンデヴァーさんは苦戦を強いられました。ここでヒーローエンデヴァーが倒れれば、福岡の市内は地獄絵図と化す状況。今この場で平和を守る、唯一の砦。それがエンデヴァーさんでした。
 しかしエンデヴァーさんももう体力の限界。体は痛めつけられ、気力だけで意識を保っている状況。この戦いはリアルタイムで実況され、全国に放送されていましたが、見ている全員がエンデヴァーに限界が来ていることを察します。しかしそれでもエンデヴァーが勝ってくれることに祈りを捧げる。頭部さえ再生を許すことなく破壊できれば倒せそうであることを分析して、並の人間では気を失い死に向かうほどのダメージを負いながらも己を奮い立たせるエンデヴァーさんの姿が描かれます。
 なかなか倒れないエンデヴァーに、化け物は言います。

『おっオ前も再生さイせいも持ちなノか?』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」


 それに応答する余力すらなく、動かない体を炎で無理やり押し出し、ヴィランへと立ち向かうエンデヴァー。

『動かん体を火力で押し出せ』
『ありがたい!痛みで意識が保てる』
『倒れてなるものか!霞むこの瞳で勝機を見据えろ!』
『火力を上げろ!!もっと!!更に!!』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

『超えろ!こいつの反応速度を! 超えてその面、炭にするまで』
『倒れてなるものか────』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

 神聖ささえをも感じる迫力で、そこに希望がなかったとしても、それでも決して諦めることのない「Endeavor(努力)」の不屈の炎が燃やされるなか、しかし火力があれど反応速度で劣っていたエンデヴァーは、こうして立ち向かったとして、このヴィラン相手のどこに活路があるのかはわからない状況でした。そんな絶望的な状況に、飛び出してきたのが、ヒーローホークスでした。

 ホークスの能力では、この化け物には有効な傷をつけることはできないなかで、ホークスはヴィランとエンデヴァーの間に飛び込んで、ヴィランの意識を一瞬、エンデヴァーから逸らすことだけに注力する。

『そーゆーとこです』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

 エンデヴァーの、血に塗れながらも、誰もが絶望する状況のなかでさえ前を見据え決して諦めず己の限界を越えようとする姿に、ホークスは一言、軽薄な口調でそう言って、ヴィランから一瞬の隙をもぎとります。

『エンデヴァーさん! 俺の羽じゃ破壊力が足りない。けれど、スピードなら互角です』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」


 激闘の予断を許さない刹那のなかで、ホークスのモノローグが入ります。

『俺ね、見てたんで知ってんですよ』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

   偉大なヒーローオールマイトの背中を見ながら、
『本気で越えようなんて人は一人もいなかった』
『あなただけですよ、本気で超えようとしてたのは』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

 オールマイトの背中は大きく、他の人間との間には、飛び越えることのできない大きな大きな、底すら見えない崖が空いている。
 エンデヴァーだけがその崖を前に身をかがめ、その崖をどうにか越えるための、側から見れば馬鹿げた、幼稚な努力を続けていた。

 『いや無理でしょ……。』
 『どんだけ不器用なんだ、この人は。』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

 それを後ろから見つめる、幼少期のホークスと、現代のホークス。

『羽、あらかじめ飛ばしておきました。』
『あなたの火力に俺の羽(スピード)を上乗せする!』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

 ヴィランに匹敵するスピードを出せず有効打を入れられなかったエンデヴァーの背を、ホークスの羽が押し出していく。

『背中押しますよ、No1────!!』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 189話「彼は何故立ち続けたか」

 ホークスの後押しによって、そしてなによりも、エンデヴァーさんの弛まない「Endeavour(努力)」、不屈の炎によって、からくもこの化け物のようなヴィランに勝利する。
 誰もオールマイトの代わりにはなれない。ましては万年No2だった、市民からの支持率も実績に比べて低いエンデヴァーなんて。
 しかしこの一幕が、エンデヴァーをNo1ヒーローとして世界に見せつける最初の出来事となったのだった…。



 正直、もう……この、幼少期からエンデヴァーのことを見ていたホークスの描写で大分、もう、ホークスに…籠絡しました………。

 や、やばくない???
 この描写、つまりホークスは幼少期からエンデヴァーのファンだったんじゃん………。
 嘘でしょ………。
 こんなにもエンデヴァーのファンでありながら、ここまでのこの一貫した態度……。その上でホークスは幼少期からのエンデヴァーのファン………。
 嘘でしょ………(涙を湛える)。
 みてたんだ、エンデヴァーさんの努力を…。この他人に興味がない男の、人知れない努力を…。それってほんとにただのファンじゃなくて、ガチでエンデヴァーさんになんらかの執着や固執がなければ、「見てたんで知ってた」ことにはなりようがないわけで…。
 エンデヴァーさんがこんなにも「Endeavor(努力)」であること、私たち(読者)も、ホークスのモノローグがなかったら知らなかったんだけど…???だれよりもエンデヴァーを理解する男(22歳)が現れたんだけど………。
 ここまででエンデヴァーさんってマジでクソみたいな感じで描かれていたので(エンデヴァーさんは父親としては最低な男です。)なんにもエンデヴァーさんのこと好きじゃなかったのに、いきなりフルスロットルで一気に好感度爆上げされました。流れ、変わったな……………。父親としては最低なエンデヴァーさん…しかし、このあともホークスの視点が加わり、また色々なエピソードが入ってくることで、なぜ彼が父親として最低であったかの理由づけがかなり好感触で我々読者に伝えられることとなりました………。(とはいえやったことは許せず父親としては最低であったという事実は覆されませんが。)
 ホークスのなかの、平和を渇望する気持ちを、とても強く…感じる……。ホークスはとんでもなくストイックだ…。彼はたぶん、平和を願うからこそ、現実を見据えるからこそ、「Endeavor(努力)」であるエンデヴァーさんに憧れと尊敬を持っているのだと感じる…。
 その心根…このストイックさ、頭の良さ、現実主義さ…、目的のためならどんな自己犠牲も厭わないような様子、自身の自由意志すらも上回るのであろうほどの、平和への渇望…。
 強個性で要領が良く、なんでもこなしてしまうヒーローホークスが、己の手では叶えられない望みをそれでも叶うようにと最善を尽くすその姿の、はたから見える傲慢さや軽薄さと裏腹な、謙虚で健気で、己の全てを差し出すかのように必死なこの様子…。

 わ、わたしの心が撃ち抜かれるでしょ!?!?!そんなんさあ!!!!!!!(狼狽している)

 あまりにも自己統制が上手すぎる。感情コントロールが出来まくっている。理性的すぎる。けれど、情熱と渇望がある。22歳という年齢で許される精神状態じゃない。彼の過去には何がある。
 ヘラヘラと笑う軽薄な若者然としたその表情に色々なものが含まれまくっている…。どうなってんだ一体……。
 あとホークス、初登場時はなんか不遜で可愛さの欠片も別に感じない髭も蓄えてるし眉毛もモサっとしてるし態度もでかいしヘラヘラしてるし突然登場しはじめたしで全然魅力的に感じてなかったのに、回を重ねるごとにところどこの描写が可愛くなっててそのギャップでもヤられるんだけど…。22歳………。

 しかし私がリアルタイムでホークスに墜とされた描写はもう少し先で、そしてホークスのカッコよさはまじで最終巻まで続きますので…(これに関してはホークスだけじゃなく登場人物の全てがそうなのだけど)。まだこのホークス語りも続きます……。



 エンデヴァーと化け物との死闘がひと段落して、おそらく当日中の描写。
 夜中の、廃工場。人気のないそこで、密会する人影。

『色々話が違ってた』
『そうだっけ?』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 次のページ大ゴマで、ストーリー上、すでに読者にヴィラン認知がされている敵キャラの一人、「荼毘(だび)」に、己の剛翼の一枚を刃物として向けて相対しているホークスの姿がある。

『もっと仲良くできないかな、荼毘』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 えっ!?ヴィランと繋がってる!?!?と初手驚きの読者。
 荼毘とホークスは顔見知りの様子で、会話が続きます。

『予定じゃ明日、街中じゃなく海沿いの工場だったはずだ』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 今日あったエンデヴァーと化け物との死闘は、予定としては日付は違えどホークスは承知していた出来事だったことが明かになります。
 ホークスの顔に軽薄さは一切なく、険しい表情で荼毘に詰め寄り、しかしそれに相対する荼毘は薄ら笑いを浮かべながらホークスに答えます。

『違うというならそっちもそっちだぜ?  “適当な強い奴”って言ったろ。No1じゃテストにならねぇ。程度を考えろよ。』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 今日エンデヴァーと死闘を繰り広げた化け物は、ヴィラン連合が作った人造人間。どうやらその性能テストのためのお膳立てを、ホークスは要請されていたようでした。

『No1に大ダメージ、喜ばれると思ったんだけどな。約束は破ってない。反故にしたのはそっちだけだ』
『いきなりNo2ヒーローを信用しろって方が無茶だぜ。今回はおまえの信用テストでもあった。何で今日のアレが死者ゼロで済んでる?俺たちに共感して、協力願い出た男の行動とは思えねぇや』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

『こっちも体裁があるんだって。ヒーローとしての信用を失うわけにはいかない。信用が高い程仕入れられる情報の質も上がる。あんたらの利益の為だ。もうちょい長い目で見れんかな。連合の為を思うからこそだよ、荼毘。』
『まァ……、とりあえずボスにはまだ会わせらんねぇな。』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 ホークスの望みは、ヴィラン連合に入ることなようで、つまりは入るためにはボスと会って認められることが必要です。
 しかしそうなると、死者ゼロで済んだとはいえ、大勢の市民を危険に晒し、またともすればエンデヴァーさんが死んでいた可能性の全てを、ホークスが引き起こしたということでもありました。

『また連絡するよ、ホークス』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 荼毘の去っていく後ろ姿から一転、険しい、苦しみを滲ませた顔で1人歩くホークスの姿と共に、過去回想に入ります。

『ヴィラン連合に取り入れ、ホークス』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 どこかの小綺麗なビルの上階で、スーツを着た人たちに囲まれ話を受けるヒーローホークス。

『は?ちょっと待ってください、意味がわからない。そっちで捜索チーム組むんでしょ?グラントリノさんとかが』
『どこで聞いた?まだ公表してない話だ。』
『………。』
『そういうところよ、ホークス。あなたは目敏く耳敏い』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 淡々といまのヴィラン連合の危険性の説明が入り、ホークスの台詞。

『取り入る間、奴らが出す被害は?目を瞑れって?』
『瞑れる男だと見込んでの頼みだ。』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

『名誉名声に頓着がなく、ただただ”長期目標“を見据え動く。君程適任な者はいないと考えている。』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」

 回想から、リアルタイムへ。化け物との戦いで全身に包帯を巻かれたエンデヴァーの病室の扉を開けて、エンデヴァーと向き合うホークスのコマとともに、ホークスのモノローグが入る。


『エンデヴァーさんごめんなさい。俺は────』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 191話「荼毘・ホークス・エンデヴァー」


 ボロボロのエンデヴァーさんの変わらない顔を見て、初めて、なんの計算もない、ホークスの素の人間らしい表情の描写がここで入ります。憧れのヒーローの尊敬すべき姿を前に溢れ出る憧憬。死んでもおかしくなかったあの状況で、やはりこの人は希望を勝ち取ってくれた。彼が生きていることへの安堵。そしてヒーローとしてあるまじきことをしている己の葛藤、罪悪感に、複数の意味での涙を堪えて笑おうとしてる青年の顔が描かれる。


 に、にじゅうにさい〜〜~~~……!!!



 その後、翌日以降、治癒の個性のおかげですぐにほぼ全快したエンデヴァーを、いつもの調子でヘラヘラと軽薄そうに雑談を交わしながら駅まで見送るホークスのシーンが入ってから、また過去回想に。

 公安トップとホークスの会話から始まり、更に昔の過去回想へ。(なんの説明もしていませんでしたが、ホークスにスパイを要請しているのは「ヒーロー公安委員会」という組織です。)
 酷い交通事故を背景に、それでも助かった人たちに、公安の偉い人たちの台詞。

『子ども?子どもが助けてくれたって?信じられん。130km/hの大事故だぞ』
『探してちょうだい。すぐによ』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 192話「轟家」

 ゴミが散らばる床を背景に、少し汚れているふうの服を着て、エンデヴァーのぬいぐるみを両腕に抱く幼いホークスを前に、大人たちが話す。

『この子には天賦の才があります。ヒーローになるべき人間です。』
『今後ご家族ごとこちらで全面支援させて頂きます。』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 192話「轟家」

 コマや状況から推測するに、ホークスは虐待家庭にいた…?状況としてはネグレクト…?身寄りの不安定な幼い才覚あふれる"丁度いい"人材を公安は見つけ、そしてホークスの親は体良く自分の子どもを売った…??
 そしてエンデヴァーのぬいぐるみ…ネグレクトを受けているのであろう子どもが大事にするぬいぐるみって………、普通のケース以上の意味を持つよ………………。それはこの子にとって、とんでもない"心の支え"だよ……………。
 嘘でしょ………………。

 回想は公安トップと現代のホークスのところに移って、ヴィランのスパイとなる仕事を引き受けた瞬間のホークスのコマが入る。

『俺が穢れて皆が安心できるようになるのなら、喜んで引き受けますよ。』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 192話「轟家」

 大仰にお辞儀をして答えるホークスの顔は、俯いていて見えない…。
 "公安の"ヒーローとして育て上げられた、彼の剛翼が、ホークスの素顔よりもホークスの"顔"として、画面の正面を向いている……。


 そこからリアルタイムにまた戻り、駅でエンデヴァーを見送ったホークスの横顔。
 エンデヴァーを見送る際の軽薄な表情はなくなり、真顔で前を見据えるなかでのモノローグ。

『俺はホークス、速すぎる男』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 192話「轟家」

 ホークスの顔が見えた。この平たいコマのホークスの目元は、たぶん、スパイの仕事を引き受けた瞬間のホークスの目だ……。目が……目、が……。
 虚ろさと諦念を感じさせるその瞳が、けれど、

『ヒーローが暇を持て余す社会』
『必ず手に入れてやる。俺の出せる最高速度で』

『僕のヒーローアカデミア』21巻 192話「轟家」

 しっかりと前を向いて、現実を見据えている………………。
 諦念も虚ろさも内包しながら、それでも………。



 というところで、ホークスの描写が終わり、しばらくご無沙汰だった、主人公の学園サイドのお話に戻ります……………。

 ぎ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!(苦悩)(悶絶)(涙)(震え)

 いやッ……さァ!!!!!!!
 いや…さァ………!!!!!!
 彼の固い意志は、強い覚悟は………優しい心は………、全て、己の苦痛に満ちた実体験から生まれ出てくる…………"優しさを生む母は強さではなく痛みなのだむしろ強さはその娘"を体現した…………。(私が大好きなサンホラの歌詞)
(強いから人に優しくあれるのではなく、痛みを知るからこそ人に優しくなれて、そして優しくありたいからこそ強くなるのだ、という意味。)
 苦しい幼少期、物心ついたホークスを支えたのはヒーローエンデヴァーのぬいぐるみ……………。

 そうか……だからエンデヴァーはホークスの希望なんだ…。心が砕け散りそうな現実を前に、虚ろさと諦念を持ちながらも、それでも己の全てを投げ打ってヒーローとして前を向くホークスの原点は、不屈の炎を燃やし誰しもが「無理だ」と言うような現実にも立ち向かい努力し続ける、エンデヴァーなんだ………。

 なんかデクくんとかっちゃんの関係性といいさァ…!!!!!
 まじでこの……人間同士の摩擦によって生まれる希望みたいなものを描くのがうますぎませんか!?!?!?!?!?!?


 ここまでのことが21巻の前半部分までで描かれていて、そこからしばらくはホークスの出番がなく、次にホークスが登場するのは25巻の半ばからとなります。
 たった4巻の間に、メインストーリーの事態はとても悪い方向へと運ばれていきます。
 ホークスはスパイとして、ヴィラン連合への潜入に成功しました。しかしヴィラン連合はとある事件を経て、とんでもなく強大な組織力を持ってしまい、今まではまだ厄介な小悪党の一集団程度と言えていた存在が、国家転覆が可能なほどの軍事力を有してしまいます。
 その場に、しっかりと居合わせるホークス。

『遅かった…!!』

『僕のヒーローアカデミア』25巻 240話「力」

 ヴィラン連合に賛同する人々が歓声を上げるお祭り騒ぎのなかで、ホークスも笑顔を振り撒き、周囲の人と同じように喜びながら、冷静に最悪な事態を推測します。
 目の前にはヴィラン連合を指揮する親玉「死柄木弔(しがらきとむら)」の姿がある。けれど、きっとコイツが全ての親玉ではない。
 笑顔をヴィラン共に振り撒きながら、ホークスのモノローグが入る。

『まだだ、まだ奥に後ろ盾がいる…!』

『僕のヒーローアカデミア』25巻 240話「力」

『さァ、ホークス!』
『ここからは、遅れを取れば日本が終わるぞ』

『僕のヒーローアカデミア』25巻 240話「力」


 ここまでで、ホークスのなかにある平和への渇望、正義感をめちゃくちゃ味わったので…、果たして、この場に居合わせたこの瞬間のホークスの心情って、どんなものだったと考えられるか?と思うと、私は大分……膝から砕け落ちそうな気持ちになります……。
 その上で言う、『さァ、ホークス。ここからは遅れを取れば日本が終わるぞ』の台詞がカッコよすぎてまじで膝から砕け落ちそうになるし……。
 ヴィラン連合が提唱する世の中に日本がなってしまえば、どれだけの人が理不尽な暴力のなかで死を迎えるか、人々が必死に守ってきた平穏が崩され、そこに待ち受けるものがなにか。そんな地獄の幕開けを、喜ぶクソどもに囲まれて、一緒に笑顔を振り撒かなければいけない。
 ここからの自分の選択のちょっとしたミスで、日本国民の死に繋がる……。
 わ、私だったら絶対に耐えられない………怖い……。そしてなにより周囲にいる人間の全てに憎悪がある………。きっとホークスも同じ気持ち自体は持っている…。その上でホークスはこんなにも冷静に振る舞える………。どれほどの焦りと不安が襲ってきているか……いますぐに大声で悪態をついて暴れ回りたい気持ちを持っているか……。

 ぎ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!(苦悩)(悶絶)(涙)(震え)


 ここから数話分開けてから、ヴィラン連合でうまく立場を固めはじめているホークスのシーンが入ります。(有能すぎる最速の男…)
 ヴィラン連合の幹部達が集う会議で、定例報告を済ますホークス。
 定例報告が終わればホークスは場から出され、そこからは幹部内のみで共有される情報が飛び交うこととなる。
 ホークスたち国家側がなんとしても手に入れたい情報は、そこにある。
 会議室を退室するホークスを背景に、モノローグが入る。

『どれだけ小さなSOSも、取り零さないように鍛えてきた。』

『僕のヒーローアカデミア』25巻 245話「決起」

 会議室の扉の、小さな小さな隙間。そこに挟まる、ホークスの一番小さな「剛翼」の羽。

『剛翼は、振動幅から音の種類を割り出す』

『僕のヒーローアカデミア』25巻 245話「決起」

 何くわぬ顔で会議室に背を向け歩き出すホークスの耳には、会議室の話し声が届いてくる。

『聞こえているぞ』

『僕のヒーローアカデミア』25巻 245話「決起」

 ホークスはどこまでも冷静な顔で、ただただ淡々と…己の役割を全うする……………。






 ここで、私が完全にホークスに墜ちたことをご報告させていただきます。

 完墜ちしました。


 ここで。


 えっとですね……………。
 ここまでの描写の全てがある上で、私はこのシーンの、この一言で墜ちたんです…。

『どれだけ小さなSOSも、取り零さないように鍛えてきた。』

 これ。
 これ………………。

 今までで描かれていることの全てがすごくて強くてとんでもなくて、そしてどこか悲しいホークスの描写だったのだけど、この一言で、私、なんか全部、ブワーーーーーッってきた。
 なんか、このホークスが言う「どれだけ小さなSOSも」の、「小さなSOS」に関して、私はその瞬間に、虐待家庭で誰にも助けを求められない小さな子どもたちの姿を思い浮かべたんです。
 私は、自分自身の体験談もあるし、そして自身の生業として、職業柄、虐待に関するニュースや事件を積極的に調べてきた。虐待サバイバーの方達の体験談なども読む中で、やはり虐待というのはとても関与しにくい難しい問題であることを実感した。
 日本の法律のせいで介入が難しいのが全ての背景にあって、それが一番の問題なのだけど、それも踏まえ、子ども達は虐待を受けながらも、助けを求めることが容易ではない。
 子どもたちは自分の親が、自分の置かれている環境が、なにかおかしいことはわかる。でもなにがおかしいのかがわからない。そして子どもは誰よりも空気を読むのが上手い。大人に依存して生きていて、子どもは自我をコントロールすることができないから主張が強くわがままであると感じられるだろうけれど、その実、なんだかんだ大人の言いなりになってしまう。大人に望まれると、それに従わなければならない、というような強制力が無意識下で働いていることを感じる。
 虐待をしている虐待親の意識としては、もちろん子どもが虐待の事実を他所で言うのは言語道断であるし、また、その他の大人達も、面倒ごとを忌避しているという現実が、悲しいながらに確実にある。その面倒ごとを忌避する大人の意識を、子どもたちはとても敏感に感じとってもいる…。子どもたちがあげられるSOSの声は、あげられたとしても、とても小さい。

 私はこのモノローグのセリフを読んで、なんか…ここまでで得たホークスの情報が勝手に脳で結び付いて…しまって……。
 私の解釈として、ヒーローホークスの原点はやはり、虐待を受けていた自身の幼少期の経験にあると思っていて。
 いまのヒーローホークスにとっては、「小さなSOS」と言えばそりゃあ広範囲にわたり、その全てを指すと思う。けれど、小さなSOSとして一番根っこになる、一番ホークス自身の心の柔らかいところに根付く、「どんなに小さなSOSも逃したくない」という思いは、きっと彼自身の経験からくるものになるのだろうなと私は、勝手に脳内で結び付けた…。
 虐待を受けて育った小さないとけない子どもが、ホークスの心の中にいる。
 それを感じた瞬間に、私はもう、ブワーーーーーーッと、ブワーーーーーーーーーッとなりました。
 もうダメです。

 あまりにもホークスがカッコイイ。そして愛おしい。
 全てが……好き………………。
 全て好きになって、またホークスを見ると、本当にあまりにもかっこいいんだ。
 強くて、冷静で、胆力があって、覚悟が決まってて、頭が良くて、自分のことは二の次で、でもはたからみたらすごくマイペースで不遜で態度がでかくて自由に生きてるみたいで、全然自由じゃない。全ての覚悟が決まってる。謙虚で、そしてあまりにも健気だ…………。
 そしてエンデヴァーが好きなんだ。エンデヴァーの「Endeavor(努力)」たるところに、憧れ続けている。多くに冷めているようなホークスの奥底に灯っている熱い熱い大切な炎…。
 それを全くひけらかさない所がまた死ぬほど好き。あくまでエンデヴァーはホークスの“オリジン(原点)”であるってだけで、ホークスの世界はエンデヴァーが占めるものではない。けれどホークスにとって大切な光……。
 そしてエンデヴァーが己のオリジンであるから贔屓して見てるってわけでも決して無い。全ては冷静に、俯瞰で、全ての情報を照らし合わせて、その上で、いま、平和の象徴としてエンデヴァーが最適であるとして、そしていま一番の戦闘力を持ちヴィランに台頭し勝てるのがエンデヴァーであるとしている。
 ホークスは平和を渇望している。全ての人が理不尽な暴力にあわず、その人生を全うできることを願っている。そのために自分が払う全ての犠牲に頓着がない。それを行うことで得られる富や名声や名誉にも興味がない。世界が平和になり、だれも理不尽な目に合わないこと。そのことだけがホークスが望むものなんだ…………。

 このあともホークスがこなしていることって、本当にとんでもなくて、ものすごく精神的苦痛が伴うことでもあって、すごいことだらけなんだけど、ホークス、全くもって本当に、それら全てに頓着していない。
 ホークスがどんだけすげぇことしてるのか、作中できちんと知ってる人って、そこに注意を払ってる人って、公安委員会の人たちとエンデヴァーさんとベストジーニストさんくらいなのでは……??
 そして、エンデヴァーさんも…、いやエンデヴァーさんこそがなによりも、己のヒーローとしての活動に払う全てのコストに頓着してないんだよな…良くも悪くも…ね……。
 そんなエンデヴァーさんがホークスにとってのオリジンだからこそ、ホークスもそうであり続けられて、それが己に定着したっていう背景もありそうだよね。
 ホークス、まじで、自分の機嫌を自分で取れる人間なんだ……………。
 好きしかない……………。



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〆の挨拶

 というところで、どうして私がこんなにもホークスのかっこよさに心奪われてしまったのか、というプレゼンはおしまいとなります。
 この度、こうして言語化をすることで、自身も無自覚だった、原作のホークスへの様々な気付きがありました。
 友人からは無事に「なぜ貴方がしきりにホークスをかっこいいと騒いでいるのかしっかりと理解ができた」「ホークス、素晴らしいキャラクター」と感想をいただくことができました。
 途中でも書きましたが、これより先も完結まで(私は単行本派なのでまだ最終巻の内容は読めていませんが)、ずっとホークスのかっこよさは続きます。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
 ホークスのことだけを書きましたが、私はエンデヴァーさんも死ぬほど好きです。本当にありがとうございます。こんなに素晴らしいキャラクターを生み出してくれて、そしてエンデヴァーさんのあの素晴らしい肉体美をこんなにもたくさん見させてくれて…………。






以下、読まなくてもいい、もう少し掘り下げた個人語り。

 いやそれにしてもホークスまじで優秀すぎません?全てのステータス値が軒並み高すぎる…。全てのステータスが人よりもちょっと高いとかの器用貧乏タイプじゃなくて全てのステータスががっつり高い上にきちんと得意項目もあってその分野ではトップも取れてるってことがまじでやばすぎるね…。
 最速で走り続ける男…。脳みそと体に負担かけすぎてて早死にしそうで怖い…;;;;;;;
 36歳くらいの40を待たずして事故とか任務とかではない要素でぱったり死にそう;;;;;;;脳みその物理的耐久限界がきて……。
 いやすぎる;;;;;エンデヴァーさんの寿命を待たずして早死にしそうで嫌すぎる;;;;;;;;

 全角度から見た総合的なホークスに私は心乱され撃ち落とされているので、冒頭で言った通りにそこから要素を一つ二つピックアップしても、私が感じているホークスへのドデカい好意に足り得ないのだけど、それでもそのなかからホークスの一番好きなところを抜き出すとしたら、最終的には……、利己的な利他主義であるって…ところ……かな……。
 私ハガレンのエドワードエルリックのことも死ぬほど好きでカッコよくてそのカッコよさに心溶かされてるのだけど、エドワードエルリックに感じるかっこよさの根本にあるものも、利己的に利他主義なところのように思う。
 エドワードエルリックも、ホークスも、己の幸せのための絶対条件が、"他人が幸せであること"にある……。その上で2人とも他人に流されない。意志が強く自我が強い。頭がいい現実主義者視野が広く視座が高い精神的に自立し自己統制が取れているetcと繋がってっちゃって話が逸れるわけなんだけど、ええっと。
 ホークスもエドワードエルリックも、利己的でもあるのに、最終的にどこまでも利他主義で、自己犠牲的なところが、あまりにもカッコイくて……!!彼らは自覚的な選択のうえで利己的にの物事を判断しながらもそれでも利他主義なんだ………そして己の犠牲、支払うものに関しては、最終目標の勘定に入らないんだ………ってところが私を沼らせるのかもしれない。なんだろう、話として繋がってるかわからないけど、すごく"子ども"を感じるところでもある。"大人"の要素ではない…。その幼さがとても愛おしくもある。幼さというか……とても純粋無垢な……イノセントさを感じる。このイノセントさを感じさせられると、もう私は終わりなんだ。沼だそれは。無理が過ぎる。
 愛おしいという感情は、可愛いという感情に形容されがちなんだけど、エドワードエルリックやホークスに対しては、愛おしく、そしてそれは堪らなく「かっこいい」という感情として私の中で形容されている……。
 いやでもなんか語るに落ちてる気もするな…。語れば語るほど、「本当にそうかな〜〜???」って気持ちになってきました。
 いやまあだから結局、「総合的な」ホークスがカッコよくてたまらないのであって、一部分だけピックアップして語っててもやっぱりなんかそうじゃないってなっちゃうんだとも思う。

 蛇足の部分まで、長々とお読みいただきありがとうございました!
 とても楽しかったです!!!


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