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反省と半生

ニキビが潰れて苛ついている
五百円玉を落として胸が痛い
先回りしないで私のやること
恋を奪い去っていく君が憎い
極楽浄土で暮らしてみたいの
二人でスキーに行きましょう
過去に宣いその日ぬか床の中
その果てにパンくずのような
真夏の陰で汗を掻いているわ
浮気をしたいのと心は喚いた
二兎を追う者は全てをも得る
神は嘘つきよ夕べ吐き捨てた
ガムは視線の切れ端で磔の刑
口の中のよだれは乾き切って
恵まれた人々は両手に薔薇色
魚の眼をした元夢想家たちは
腐った都会で熱帯魚を飼って
凧糸で社会とつながっている
過去に夢見た人々は暗がりで
裏切りを覚え悲しみは右から
化粧水のように奥深く小骨に
浸透しもう何も言えなくなる
仰向けになる冷たい地べたで
金髪に染めた髪を掻き上げて
広い額に差す西日が肌を殺す
日本中が応援幕を掲げる頃に
口の中で飴玉を転がしている
誘惑に誘惑されるようにして
パラパラ漫画のような半生と
友達みたく手をつないでいる
騒げば騒ぐほど虚しくなって
待ち構えていたのは祭の後の
静寂と同じ女の子の綿あめと
同じいつか見た天井の模様は
クラシック音楽が似合わない
ライブステージの照明と同じ
恐ろしいほど真紅な空と同じ
覆せないくらい重い私と同じ
舌打ちの音が教訓もなく響く
お願いだから放っておいてよ
好き勝手に寝返り打たせてよ
宇宙の荷物にならないように
余りにも軽い空を支えさせて
有限が無限と交差する点の上
星空が太陽とキスをするまで
このまま私を眠らせておいて
辻褄の合わない世界で身体の
水分をアスファルトに湿らせ
一生分の償いをする時間少し
せめて少しだけ分け与え給え

苦しいからこそ、もうちょっと生きてみる。