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『ヴォクス・マキナの伝説』S2おまけ:D&D5e用非公式データ・魔法のアイテム群「ヴェスティッジ・オヴ・ディヴァージェンス」+「クレイヴン・エッジ」

序文

『ヴォクス・マキナの伝説』シーズン2の解説のついでとして、原作『Critical Role』第一キャンペーンで使用された伝説のアイテム群「ヴェスティッジ・オヴ・ディヴァージェンス」(散らばった"痕跡"(ヴェスティッジ))と「クレイヴン・エッジ」のデータを翻訳する。

『ヴォクス・マキナの伝説』および『Critical Role』については解説記事を、詳細な設定については本編を参照のこと(ヴェスティッジの登場はシーズン2から)。

今回紹介するアイテムの中でも、ヴェスティッジはプレイヤーと共に進化するアイテムであり、過去版を含めD&Dとしては他に類を見ないストーリー展開上重要なシーンで、GMの裁量によって覚醒するという解放条件を持つ。

今回はファイターの類型「ガンスリンガー」と異なり、各アイテムの設定面はアニメ本編で概ね説明されているため、この記事ではゲーム上重要なデータのみを紹介する。
なお、セッション中の断片的な情報をもとに再構成されているため、ルール上重要な情報が不完全であったり、筆者の補完が入っていてもご容赦頂きたい
また、アイテム名はD&Dの公式の翻訳に合わせ、英語名の音写に訳名を併記している。

ヴェスティッジはその性質上長期にわたって同じキャラクターを使用するキャンペーン向けのアイテムであり、Critical Roleのキャンペーンでは成長要素としてクラスそのものの能力だけでなく、GMマシュー・マーサー氏はヴェスティッジに限らず、各キャラクターに合わせた専用の能力を考案し提供している。セッション中でGMが考案したアイテムを贈られるということは、ある種の愛情表現と言ってもいいだろう。
今回紹介するのはあくまで一例であり、読者諸兄はキャラクターや世界観から、自由な発想で考えてほしい。この記事がD&Dのみならず、ファンタジーTRPGをプレイするGM諸兄のインスピレーションとなれば幸いである。

元システム製作:Wizards of the Coast
製作:Matthew Mercer、Critical Roleチーム
出展:Critical Role本編のセッション中の情報等をもとに再構成
翻訳、再構成:マイケル・スタンフォード / MSLabo102
最新翻訳:2023年02月18日

ヴェスティッジ全般について

ヴェスティッジ・オヴ・ディヴァージェンスはその一つ一つが使用者と共に進化する魔法のアイテムである。
長い間ふさわしい者と同調していなければ、ヴェスティッジは休眠形態に戻ってしまう。この状態では、使用者は同調してもごくわずかな力しか引き出せない。
装備しているうちに苦難を乗り越え個人として成長するのに応じて、ヴェスティッジは眠っていた力の一部を解放し、覚醒形態へと変化する。
やがて使用者が極限の試練を乗り越え進化することで、ヴェスティッジもまたポテンシャルを完全に引き出した超越形態となる。
各形態で得る特性や能力は累積し、特記がない限りそれ以前のものを引き継ぐ。

ヴェスティッジの進化について

一般にヴェスティッジの力の解放はその形を問わず、持ち主が冒険の中で自分自身を理解するのとともに起こる。しかし、ヴェスティッジが持ち主の苦痛やピンチに応じて自ら覚醒し、助けの手を差し伸べる事もある。何がこういった瞬間にあたるのかはDMの裁量次第であり、予想外の形で起こるかもしれない。

DMがヴェスティッジを進化させるタイミングの例として、以下のような例が挙げられる:

  • PCが自らの恐怖を乗り越え、仲間達を守ろうとする。

  • 長きにわたる仇敵に敗れたPCが、眠っていた内なる力を感じる。

  • 自らの運命がもたらす危険を目前にしたPCが、恐怖を捨て置き自らの宿命と責任を受け入れる。

  • 戦いの中で大切な仲間を失ったPCが、怒りと苦しみと共にヴェスティッジの力を呼び起こす。

ヴェスティッジ一覧

デスウォーカーズ・ウォード

Deathwalker's Ward / デスウォーカーの鎧
防具(スタデッド・レザー)、レジェンダリー(要同調)

休眠形態
この鎧を着用している間、君はACに+1ボーナスを得る。
・また、君は死亡セーヴィング・スローに有利を得る。

覚醒形態
この鎧のACボーナスは+2に増加する。
・君がこの鎧を着用している時、君はダメージ種別を1つ選んで、それに対する抵抗をこの鎧に与える:[酸]、[死霊]、[電撃]、[毒]、[火]、[冷気]。この選択は小休憩のたびに変更することができる。

超越形態
この鎧のACボーナスは+3に増加する。
・君はボーナス・アクションとして、黒く巨大なワタリガラスの翼を生やすことができる。この翼は1時間持続し、君に60フィート / 18メートルの飛行速度を与える。一度使用すると、君は大休憩を終えるまでこの特性を再度使用できない。

ミスカーヴァー

Mythcarver / 神話刻み
武器(ロングソード)、レジェンダリー(要同調、バードのみ同調可)

休眠形態
この魔法のロングソードは”妙技”特性を有する。(君はこの武器の攻撃ロールとダメージ・ロールに関して【筋力】と【敏捷力】のうち好きな方を用いることができる。ただし攻撃ロールとダメージ・ロールには必ず同一の能力値を用いる。)
・君はこの剣で行う攻撃ロールとダメージ・ロールに+1のボーナスを得る。
・君が友好的なクリーチャーを”バードの声援”の目標にしたなら、君はこのターンの終わりまで、この剣で行う次の攻撃ロールに有利を得る。

覚醒形態
この剣の攻撃ロールとダメージ・ロールのボーナスは+2に増加する。加えて、この剣がヒットした目標は追加で1d6の[力場]ダメージを受ける。
・君が敵対的なクリーチャーを”バードの声援”の目標にしたなら、そのクリーチャーは次に行うセーヴィング・スローに不利を得る。

超越形態
この剣の攻撃ロールとダメージ・ロールのボーナスは+3に増加する。
・君は1回のアクションを用いて、一時的に剣の魂に身を任せることができる。君は4回の近接攻撃を行い、その後1段階の消耗状態をこうむる(『Player's Handbook』付録A参照)。この特性は1回使用すると君が大休憩を行うまで再使用できない。

フェイ守りの憤怒、フェンスラス

Fenthras, Wrath of the Fey Warden
武器(ロングボウ)、レジェンダリー(要同調)

休眠形態
君はこの弓で行う攻撃ロールとダメージ・ロールに+1のボーナスを得る。
心眼の矢:この弓で矢を射るとき、君はこの矢を”心眼の矢”にすることができ、君は最大10分間まで”心眼の矢”を通して見ることができる。一度使用すると、君は小休憩か大休憩を終えるまでこの特性を再度使用できない。

覚醒形態
この弓の攻撃ロール・ボーナスとダメージ・ボーナスは+2に増加する。加えて、この弓から放たれた矢でヒットした目標は追加で1d4の[電撃]ダメージを受ける。
いばらの矢:この弓から放たれた矢が1体のクリーチャーにヒットした時に、君はこの矢を"いばらの矢"にすることができる。”いばらの矢”は矢本来のダメージに加えて3d8の[刺突]ダメージを与え、またそのクリーチャーは難易度15の【筋力】セーヴを行わなければならず、失敗すると矢から突如として生えた鉄のごとき硬さを持ついばらに捕まり拘束状態になる。このいばらによって拘束状態になっているクリーチャーは、自身のターンが終了するたびに、新たに【筋力】セーヴを行なうことができる。成功したならば、拘束状態は終了する。一度使用すると、君は小休憩か大休憩を終えるまでこの特性を再度使用できない。

超越形態
この弓の攻撃ロール・ボーナスとダメージ・ボーナスは+3に増加する。
・この弓から放たれた矢でヒットした目標が受ける追加の[電撃]ダメージは1d6に増加する。
・君は”いばらの矢”の特性を、次に小休憩か大休憩を終えるまでの間に2回まで使用できるようになり、そのセーヴ難易度は17に増加する。

タイタンストーン・ナックルズ

Titanstone Knuckles / 巨人岩の籠手
武器(ロングボウ)、レジェンダリー(要同調)

休眠形態
この一対の籠手を着用している間、君の【筋力】値は22(訳注:【筋力】補正値は+6)になる。
・君は物体ならびに構造物に対しては2倍のダメージを与える。

覚醒形態
この一対の籠手を着用している間、君の【筋力】値は24(訳注:【筋力】補正値は+7)になる。
・君は1回のアクションを用いて、10分間エンラージ/リデュース呪文の”拡大”か”縮小”の効果を受けることができる(精神集中は不要)。一度使用すると、君は大休憩を終えるまでこの特性を再度使用できない。

超越形態
この一対の籠手を着用している間、君の【筋力】値は26(訳注:【筋力】補正値は+8)になる。
・君がこの籠手によってエンラージ/リデュース呪文の効果を受けている間、君は[火]、[冷気]、[電撃]、[雷鳴]ダメージからの抵抗を得る。

ヴェスティッジ以外のアイテム

クレイヴン・エッジ

Craven Edge / 飢えたる刃
武器(グレートソード)、レジェンダリー(要同調、善以外のクリーチャーのみ)

暗黒のオーラ:この剣が鞘から抜かれているかぎり、君は【魅力】〈威圧〉判定に有利を得る。
弱者を貪る剣:君がこの武器を用いて生きているクリーチャーにダメージを与えたとき、そのクリーチャーは難易度12の【耐久力】セーヴィング・スローを行わねばならない。セーヴに失敗したなら、そのクリーチャーの【筋力】値は1減少し、君の【筋力】値は1増加する(最大25)。
これによって【筋力】が0になったなら、そのクリーチャーは死亡する。
この特性による【筋力】の変化は君が次に小休憩か大休憩を終えるまで持続する。
貪欲なる進化:もし君の筋力がこの剣の"弱者を貪る剣"の特性によって25になったなら、この剣の刃はより大きく、影の漏れだすギザギザの刃に変化する。
君が次に小休憩か大休憩を終えるまで、君がこの剣でヒットした目標は追加で2d6の[死霊]ダメージを受ける。
君が小休憩を終えたとき(訳注:大休憩の場合は1時間経過後?)、君は難易度16の【耐久力】セーヴィング・スローを行わねばならない。セーヴに失敗したなら、君の魂は力尽き飢えるクレイヴン・エッジに呑み込まれ、死亡する。

知性:クレイヴン・エッジは知性ある”混沌にして悪”の武器であり、【知力】16、【判断力】12、【魅力】18を有する。また、聴覚と距離60フィート/18メートルの暗視を有する。
この武器は使用者とテレパシーによって意思疎通する。加えて共通語と深淵語を話し、読み、解する。また、君が同調している間、君が知っているすべての言語も理解する。
人格:クレイヴン・エッジは冷たく残忍で、あらゆる状況で暴力を求める。そして、この剣が餌を望めばそれに応える、無慈悲なクリーチャーを持ち主として求めている。


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