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女性への漢方薬の役割と活用方法

漢方は西洋医学と違う観点から体の不調にアプローチしていきます。若い女性の冷えからくる月経不順や月経痛、更年期症状の冷えのぼせ、やる気が出ない、イライラするなどの症状は漢方治療の得意とする分野です。

例えば、熱が出ているなら解熱剤、腫れや痛みがあるなら消炎鎮痛剤というように、原因や症状がはっきりしていれば、西洋医学で対策が立てられます。しかし、女性特有のトラブルの多くは原因がはっきりしません。そのため、西洋医学的な治療の対象にならない場合が多いのです。
漢方医学は西洋医学のように一臓器をターゲットに治療するわけではなく、「からだ全体を整え、その結果症状も良くしていこう」といった考え方で治療を進めていきます。そのため、西洋医学ではお手上げとなる「なんとなく」な訴えでも、漢方医学なら治せるがたくさんあります。「女性だからこんなもの」「年をとれば仕方ない」などと、つらい症状を我慢せず、漢方治療を活用しながらケアをしていきましょう。

実際に、顔がカサカサして化粧のノリが悪い、吹き出物が出る、赤みが引かないなど、肌の悩みを訴えて受診される女性の患者さんが多く来院します。皮膚は身体の表面を覆い、外部からの刺激から内臓を守るという役割を果たしているものですが、女性にとっての皮膚は「美しく整えることによって魅力的に見せる」という役割も兼ね備えたものです。だからこそ、ひとたび肌にトラブルが生じると、大きな悩みのタネになってしまいます。

20〜40代の女性に見られる肌のトラブルの多くは、月経周期にともなう肌荒れです。
こうした肌のトラブルに対し、漢方療法はホルモンのバランスを正常な状態に整えることによって、肌の状態も改善していくことができます。身体の内側から働きかけて肌をきれいにする―それが漢方医学の強みなのです。漢方では自然な形で女性ホルモンの乱れを正し、体調を整え、健康と自然な美しさをもたらします。

また、在宅医療においては、「先端医療の導入が困難」という課題もあります。
治療手段が限定される中で、患者の暮らしと乖離しない技術として、漢方薬は伝統医学との親和性が高いのです。特に高齢者の在宅診療では、「虚弱に対する補法」として真価を発揮します。
ただ、同時にこちらも問題点がいくつかあります。
まず服薬の管理が難しいこと。漢方薬は、飲むタイミングや味などが独特です。漢方は顆粒または粉剤となっているものがほとんどなので、認知症患者さんにとっては飲みづらい形状です。うまく飲み込めず誤飲してしまう場合も少なくありません。また、「食前」または「食間」に飲むことが多いため、管理を難しくしています。在宅医療や介護を担う側からすれば、飲み続けるのは難しいでしょう。また、漢方薬の味は、拒否感を示す人が多い印象です。

もちろんメリットもあり、漢方薬は病名ではなく症状に対して処方できること。
治療法がない病気であっても、何らかの対処をすることができるのです。これが在宅医療で重要な安心感につながりますので、相性を見るためにもまずは試してみてはいかがでしょうか?


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