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がんと体重減少について

がんになると、様々な要因で体重減少が起こります。
原因は大きく分けると4つです。

①がんによる消化管への圧迫
②抗がん剤治療の副作用
③不安やストレス
④がん悪液質(あくえきしつ)

食欲不振になってしまう場合、一言で言っても自覚症状は人によって違います。単純に食べたくないということもあれば、食べ物の匂いで吐き気がする、味を感じない、少量食べただけで満足してしまうこともあります。特に、④がん悪液質は、通常の食欲不振とは違うのでより注意が必要です。

悪液質は、主にがん細胞がつくり出す「サイトカイン」という物質によって、食欲が抑えられて食べられないことをいいます。サイトカインには食欲を抑えるほかに筋肉が減ってしまったり、何もしなくてもエネルギーが消費されてしまい体重が減ってきたりすることもあります。この状態を放置しておくと、がんの周りの健康な細胞からもサイトカインが放出されるようになり、ますます症状が悪化することがあります。さらに、悪液質によって体重が減少すると、抗がん剤の副作用が出やすくなったり、抗がん剤の減量が必要になったり、がんに対する治療の継続ができなくなるなど、がんの治療に対して様々な影響を及ぼします。できるだけ早く気づいて、治療を開始することが大切です。
また、がんの診断をされてから受け入れられない方も多く、ご本人だけでなく家族側も注意していくことが大切です。

体重減少は文字通り体重が減ることですが、加齢や運動不足による筋力低下で体重が減ることもあるので、必ずしも「病気」であるとは限りません。

目安として、ダイエットや食事制限、過度の運動をしていないにもかかわらず、「6か月で5%以上」の体重減少となった場合、BMIで18.4kg/㎡を切る場合には体重不足、栄養不良が疑われ、【病的な体重減少】とすることが多いです。例えば、体重が60kgの人が半年間で3kg以上体重が減った場合、医師への相談を推奨します。
数値だけでみると大したことないように感じ、放っておいてしまう人が多くいますが、前述した通りがんだった場合に治療への影響が出てしまいます。自覚症状としては、「身体がだるい」「疲れやすい」「何となく調子が悪い」などがあります。 

がんに限らず、「体重減少」や「食べられない」ことに注意を払うことが大切です。近年では過度なダイエットや栄養バランスの偏りが問題視されています。食べることは、栄養を摂るだけでなく、病気の治療にもつながります。適切な食事を取れているかを意識しつつ、食事をしっかりと楽しみましょう。


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